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2005/02/02 19:48 更新


「一太郎」判決の衝撃 (1/2)

ジャストシステム「一太郎」「花子」を製造販売停止とした判決に波紋が広がっている。経緯や争点、ソフトウェア特許問題などをまとめた。

 国産ワープロソフト「一太郎」に下った「特許侵害」と「製造販売の停止」という法の裁き(関連記事参照)。当面は現状通りの販売が続くが、ソフトウェア業界やユーザーに与えた衝撃は大きい。訴訟の経緯や争点などをまとめた。

経緯

 問題となった特許「情報処理装置及び情報処理方法」(特許番号第2803236号)は松下が1989年10月に出願し、1998年7月に登録された。

 2002年11月、松下はジャストのソフト「ジャストホーム2家計簿パック」を搭載したソーテック製PCが同特許を侵害しているとして、ジャストとソーテックに対し、PCの販売差し止めを求める仮処分を申請。その後ソーテックが同PCの販売をとりやめたため、松下は申請を取り下げた。

 ジャストは2003年8月、ジャストホーム2が松下の特許権を侵害しておらず、特許法に基づく差し止め請求権が松下にないことの確認を求める訴えを起こした。東京地裁は2004年8月、ジャストの特許権侵害を認めない判決を下し、ジャストが勝訴した。

 判決があった月、松下は「一太郎」「花子」が同特許権を侵害しているとしてジャストを提訴。2月1日の東京地裁判決で勝訴した。

-訴訟など
1989.10松下、「情報処理装置及び情報処理方法」出願
1998.7「情報処理装置及び情報処理方法」登録(特許第2803236号)
2002.11松下、「ジャストホーム2家計簿パック」搭載のソーテック製PCが特許権を侵害しているとし、ソーテックとジャストに対し、PCの販売差し止めを求める仮処分申請
2002.11以降ソーテック、上記PCの販売中止
2003.6松下、ジャストとソーテックに対する仮処分申請取り下げ
2003.8ジャスト、松下に対し「ジャストホーム2」の販売差し止め請求権がないことを確認する訴訟提起、松下は反訴
2004.8東京地裁、ジャストの特許権侵害を認めない判決(ジャスト勝訴)
2004.8松下、ジャストを特許権侵害で提訴
2005.2東京地裁、ジャストの特許権侵害を認める判決(松下勝訴)

アイコン特許とは

 松下が侵害されたと主張している「情報処理装置及び情報処理方法」(特許番号第2803236号)の請求項は以下の通り。

(1)アイコンの機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコン、および所定の情報処理機能を実行させるための第2のアイコンを表示画面に表示させる表示手段と、前記表示手段の表示画面上に表示されたアイコンを指定する指定手段と、前記指定手段による、第1のアイコンの指定に引き続く第2のアイコンの指定に応じて、前記表示手段の表示画面上に前記第2のアイコンの機能説明を表示させる制御手段とを有することを特徴とする情報処理装置。

(2)前記制御手段は、前記指定手段による第2のアイコンの指定が、第1のアイコンの指定の直後でない場合は、前記第2のアイコンの所定の情報処理機能を実行させることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。

(3)データを入力する入力装置と、データを表示する表示装置とを備える装置を制御する情報処理方法であって、機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコン、および所定の情報処理機能を実行させるための第2のアイコンを表示画面に表示させ、第1のアイコンの指定に引き続く第2のアイコンの指定に応じて、表示画面上に前記第2のアイコンの機能説明を表示させることを特徴とする情報処理方法。

 請求項からは分かりにくいが、「アイコンの機能説明を表示させる第1のアイコン」をクリックした後、「情報処理を行う第2のアイコン」をクリックすると、第2のアイコンの機能説明を表示させるというもの。ワープロ用の技術だったとされる。

yu_just_01.jpg

一太郎に搭載されているバルーンヘルプ機能

 訴訟では、ジャストのソフトに搭載されている「バルーンヘルプ」と呼ばれる機能が、同特許を侵害しているかどうかが争点となった。バルーンヘルプは、ヘルプボタンをクリックした後、別のボタンをクリックすれば、そのボタンの機能説明文が表示されるというもの。例えば、ヘルプボタンクリック後に「印刷」ボタンをクリックすれば、「画面上の文書を印刷します」などと表示される仕組みだ。

 ヘルプボタンが松下の特許でいう「第1のアイコン」、印刷ボタンなどが「第2のアイコン」に当たるかどうかが、訴訟で争われた。

争点1──「アイコン」とは?

yu_just_02.jpg

争点となった一太郎のボタン

 ジャストが勝訴した昨年の「ジャストホーム2」判決と、松下が勝訴した今年の「一太郎」「花子」判決の明暗を分けたのは「アイコン」の定義だ。両訴訟の判決で裁判所は、アイコンを「表示画面上に、各種データや処理機能を絵または絵文字として表示して、コマンドを処理するもの」と定義。「絵」「絵文字」が判断のキモとなる。

 ジャストホーム2のヘルプボタンのマークは「?」。裁判所は、「?」は単なる記号・文字で、アイコンに該当しないと判断した。

 一方、現行の「一太郎」や「花子」のヘルプボタンは、「?」とマウスの絵を組み合わせたデザイン。裁判所はこれを「絵」「絵文字」と判断し「アイコン」と認定したようだ。ジャストは「マウスの絵があった方が分かりやすいだろうと判断して追加した」と説明するが、この配慮が結果的に仇になった格好だ。

 つまり、同じヘルプボタンでも、文字や記号ならアイコンではないため特許権侵害にあたらず、絵や絵文字なら侵害となる、という判断だ。同様の機能を持つソフトは珍しくないが、ボタンのデザインが「アイコン」でなければ侵害を問われないと考えられる。

争点2──「進歩性」

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[小林伸也 岡田有花,ITmedia]

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