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少し以前の NEW

松本直樹

   以下に、NEW!として書いたものの、以前の分を転記しておきます。

2011年9月18日  弁理士能力担保研修コメント11年分を掲載

 ご質問をいただいてご返事したので掲載したのですが、今年は、宿題のコメントをちゃんとまとめてなかったです、すいません。

2011年9月18日  「2011米国特許法改正は先願主義なのか?」を掲載

 新法で先発明主義(発明時基準主義)ではなくなったのは確かですが、なかなか微妙な制度です。

2011年2月28日  移転しました

 地区のビル再開発の関係で、事務所を移転いたしました。松本法律事務所の案内図などを改訂しました。

2010年5月25日  弁理士能力担保研修コメント2010年分を掲載

 上記の文章を掲載しました。宿題へのコメントと、いただいた質問メールの問答(差止請求だけの場合の管轄について)を既に書きました。今後加筆予定です。担保研修の講師のメーリングリストで、作用効果と侵害の要件の関係の話など、ちょっと議論した点があったりしますので。

2010年4月1日  主引例を副引例と差し替えて特許取消を維持した判決を掲載

2010年2月13日  研究会のメモ10年に加筆

 上記のファイルに、「3. 機能的クレーム(2月9日TB)」を加筆しました。ここです

2010年2月12日  「先発明主義」の内容 にさらに加筆

 「先発明主義」の内容 に、6.7 早期米国出願の意義(10年2月加筆) を加筆しました。また、ここの6章の題名を替えるなどもしてあります。WTO以後の状況についての考察で、当初はパリ条約優先権の意義について書き始めたのですが(他の掲示板での議論に触発されたものです)、ちょっと違う点も重要視し始めたので、それに対応させました。

2009年12月5日  「先発明主義」の内容 に加筆

 「先発明主義」の内容 に、 6 現在の米国出願でパリ条約優先権の意味はあるか? を加筆しました(実際にはちょっと前にアップしていたのですが、トップページからリンクしていませんでした)。WTO以後の状況について考察した物です。元々の原稿の相当部分が、それ以前の104条の関係でのおかしさなどを取り上げた物なので、妙な接続になっていますが、お許しください。

2009年11月29日  研究会のメモ09年に加筆

 上記のファイルに、「7. 縫合材の均等(11月26日TB)」を加筆しました。ここです。(12月5日: そこにさらにちょっと加筆しました。また、縫合材の対応物を繊維だけとしている点についても修正というか加筆というか、しました。)

2009年7月23日  「消尽を強化したQuanta最判(連邦最高裁判決)と今後のライセンス契約」に加筆

 上記ファイルに、知財管理のQuanta最判評釈の文章への言及を加筆しました。ここ「2.4.1 知財管理の評釈の疑問(09年7月23日加筆)」です。インテルのメモリは無いのに、それの使用を義務づけているかのように書いてあるようで、疑問に思いました。

2009年6月10日  研究会のメモ09年に加筆

 上記のファイルに、K先生による特許無効の抗弁についてのお話について加筆しました。ここです

2009年5月28日  弁理士能力担保研修コメント09年分

 弁理士能力担保研修コメント09年分を掲載しました。

2008年7月22日  研究会のメモに加筆

 8. 進歩性(B2008年7月14日)を書きました。

  2008年7月12日  研究会のメモに加筆

 7. 著作権侵害と差止・損害賠償、民法との関係において(T7月8日)を書きました。I判事のレポートによる、回収するなら賠償は安くなるのか、賠償するなら以後は使っても良いのではないか、また下流の責任はなくなるのではないか、といった検討を伺って、私の思ったことのメモ、です。

  2008年6月27日  Quanta最判についての文章を掲載

 2008年6月9日のQuanta最判についての文章、消尽を強化したQuanta最判と今後のライセンス契約、を掲載しました。消尽が強化され、多層的なロイヤルティ徴収を受ける可能性が減りました。でも、本当に全部がなくなったかは分かりません。次の段階は、特許の方も工夫しての話になると思われます。

  2008年6月24日  専用実施権に関する最判の解説を掲載

 一昨年の文章を思い出したので、掲載します。最判(専用実施権設定時にも特許権者には差止請求権が残るとした最判平成17年6月17日)の解説です。

  2008年5月11日  研究会のメモに加筆

 パズルの著作権の話と、コミスキー事件の話、を書きました。

  2008年4月22日  研究会のメモに加筆

 今年の研究会のメモに、進歩性の話などを加筆しました。ここなど。加筆、というか、今年になって初めてですね、このメモに言及するのが。

 電脳環境のファイルにも加筆をしました。ドキュワークスについてのここです。

  2008年4月3日  今年の桜

08年の桜

 本日の外堀(飯田橋駅西口のところから)の桜です。クリックすると大きな画像が開きます。

 ……もうちょっと他のこともアップしなくては。ブログの方ではかなり頻繁に書いてるんですけど。大したことは書いてないですが。

  2007年12月23日  研究会のメモに加筆など

 11月27日の16. 進歩性認定における周知技術と、12月6日の17. 米国の話いろいろを加筆しました。

 また、電脳環境のファイルに、アミボイス AmiVoice の話と A3 スキャナの話を加筆しました。

  2007年11月23日  研究会のメモに加筆

 11月13日の著作権とパロディの話を加筆しました。

  2007年10月23日  研究会のメモに加筆

 8月24日のポストセールコンフュージョンの話と、進歩性の関係での「課題」についての10月22日付け、を加筆しました。

  2007年8月16日  弁理士能力担保研修コメント07年分のファイルに加筆

 商標権と一般条項についての問答を加筆しました。

  2007年7月20日  「車両ナビゲーション方法」特許事件(東京地判平成14年5月30日)

 「車両ナビゲーション方法」特許事件(東京地判平成14年5月30日)の評釈をアップしました。いや、正確には、既にアップしてあったんですが、リンクするのを忘れていました。『サイバー法判例解説』(別冊NBLNo.79 平成15年4月)に書いた判例解説です。カーナビでの位置検出につかう位置検出に関する方法をクレームした特許の侵害が主張された事件です。

  2007年7月11日  研究会のメモに加筆

 著作権侵害の主体の問題と幇助者の扱いなど(TB7月10日)、を加筆しました。

  2007年7月9日  研究会のメモに加筆

 数値限定発明の特許性(TB6月27日)、と、KSR事件(B7月6日)、を加筆しました。

  2007年6月22日  弁理士能力担保研修コメント07年分のファイルに加筆

 上記ファイルに、もう一つ加筆しました。「工場内での方法の発明の特許の意義」について、です。

  2007年6月11日  弁理士能力担保研修コメント07年分のファイルに加筆

 上記ファイルに加筆しました。均等侵害の要件事実について、です。

  2007年4月25日  研究会のメモに加筆

 o先生のレポートで米国の自明性判断の裁判例などについてお話を伺いました。

 

  2007年4月24日  私の電脳環境を改訂

 上記のファイルを改訂しました。自宅のPCのCPU冷却が不十分だったようで、その話が中心です。名刺作成ソフトの話とかも加筆しました。

  2007年3月28日  弁理士能力担保研修コメント07年分のファイルを作成

 上記のファイルを作り、その1号のコメントとして、これまでの試験問題を見ての感想を書きました。(4月22日加筆: その続きに、商標法の昨年の問題についての話を書きました。とっても簡単に、ですけど。)

  2007年3月20日  「フィリップス事件〜」に加筆など

 上記ファイルの末尾近くに、レーダー判事にお話を伺った話を書き足しました。また、研究会のメモ07年の独禁法の項をちょっと手直し(加筆)しました。

  2007年3月14日  研究会のメモ07年に追加

 8. 独禁法と知財権行使の関係、を書きました。

  2007年3月6日  研究会のメモ07年に追加

 研究会のメモに、3. 紙幣鑑別器の件、6. レーダー判事のKSR事件解説、を書きました。

  2007年2月6日  研究会のメモ07年を掲載

 研究会のメモの今年のファイルをつくりました。書いたのは、進歩性要件についてのサスペンション(S字型のコイル)の事例の話と、著作権法の立法関係の話、です。

  2007年1月4日  「フィリップス事件〜」を掲載

 「フィリップス事件と日本から見た米国侵害訴訟の注意点」を掲載しました。

  2006年12月13日  研究会のメモ、2006年に加筆

 昨日の研究会についてちょっと書きました。

  2006年12月6日  研究会のメモ、2006年に加筆

 このページに相応しい話を少し加えました。一番下のここです。(12日加筆: その後、少し書き足したりしました。)

  2006年11月24日  研究会のメモ、2006年にレーダー判事の講義の話を加筆

 研究会のメモ、2006年に上記のとおり加筆しました。

  2006年11月23日  研究会のメモ、2006年に加筆

 研究会のメモ、2006年に色々と加筆しました。しかし随分と久しぶりのインデックスページの更新になってしまいました。少しは中の方をいじっては居たのですけれどね。また、ブログの方でそれなりに書いています。ブログは、名称のとおり、ウェブを見ての(またはそういう体裁に出来るようなニュースを聞いての)リンクとコメントをもっぱらとしています。

  2006年9月23日  時効についての問答を加筆

 弁理士能力担保研修Q&A(05年分)に、時効の起算点についての問答を加筆しました。今年(06年)は、ご質問が少ないので、このファイルに加筆をすることにします。少なくとも当面は。

  2006年9月16日  フィリップス事件と日本から見た米国侵害訴訟の注意点

 拙稿「フィリップス事件と日本から見た米国侵害訴訟の注意点」を、『知財管理』56巻9号(本年9月号)に掲載していただきました。知財管理のページ、発行元の知財協会のページ。原稿の内容は、以前に こここの文章 でご紹介したフィリップス事件大法廷判決の見方を詳細に説明し、それと同類とも思われるミノルタ事件やセガ事件の話をまとめたものです。

  2006年6月11日  特許事件と要件事実論

 特許事件と要件事実論という文章を掲載しました。

  2006年5月27日  共同研修の文章(このファイルの下方へのリンク)、など

 共同研修の文章(このファイルの下方へのリンク)として、色々アップしました。

  2005年12月14日  研究会のメモの改訂、など

 研究会のメモ、2005年を改訂しました。

 また、私のNYUでの別のレポートを掲載してみました。私の商標法のレポート(PDF)、そのhtml。使用主義を原則とする米国の商標法の話で、登録があった場合に、それに遅れるがその地域での使用においては先行する使用者との関係を検討しました。

  2005年11月17日  ジャストシステム一太郎x松下の事件の高裁判決へのコメントを掲載、など

 今更ですが、しかもとても簡単ですが、掲載しました(なんか、手違いで断片的な書きかけがちょっと前から掲載されてたみたいですね、グーグルで検索したら出てきました。失礼しました。)。判決は、追加証拠のニューウェーブで無効ですが、そうでなくても良いものを地裁の顔を立てた、という見方もウェブ上で見られますが、そうかも知れないけれど違うかも知れません。現にそういう証拠があっての結論と見るしかないでしょう。

 また、私のNYUでのレポートを掲載してみました。私の特許法のレポート(PDF)、そのhtml

  2005年11月15日  フィリップス事件大法廷判決へのコメントを掲載

 11月10日に東大の知財研究会でレポートした話をまとめました。フィリップス事件大法廷判決へのコメント。大胆に(間違いないし誤解を恐れず)分かりやすく書いたつもりです。久しぶりにページの題名に相応しい文章だったりして。

  2005年10月10日  研究会のメモ05に加筆

 研究会のメモ05に、10. 著作権侵害の主体(T05年10月7日)を加筆しました。

  2005年9月19日  弁理士の能力担保研修の関係のファイル加筆改訂

 本年分のQ&Aが3件になったので、別ファイルを作ることにして、メールでのQ&A05年分としました。昨年のものは、ここに同04年分として残しておきます。

  2005年9月13日  研究会のメモ05に加筆

 9. 軽過失軽減規定について(B7月6日とB9月13日)を加筆しました。他のファイルも少しいじりました。

  2005年9月8日  仲裁センターについての文章を掲載

 ソフトの代金請求についての仲裁 (三者間での取引の清算)、という、NIBEN Frontier に初出の、仲裁についての文章をアップしました。元は事案のレポートだけでしたが、アップするに際して、仲裁センターについての話を書き足しました。

  2005年9月7日  セミナーの講師をやります

 9月27日に、技術情報協会というところの主催で、セミナーの講師をやることになりました。文書(ページを含めて)よりもより率直な話も出来るかと思いますので、ご興味のある方、是非どうぞ。

 http://www.kyokai.co.jp/seminer/TXS-T2509432-tokkyosinngaisosyou.htm

  2005年8月29日  いただいたメールに加筆

 いただいたメールに、薬の販売の関係での不正競争防止法違反の問題のご相談について加筆しました。ここの項目です。

 ここに書くのが随分と久しぶりになってしまいましたが、手直しはそれなりにしていました。

  2005年7月1日  研究会のメモ05年に加筆

 研究会のメモ05年に、特許法167条(T05年6月30日)を加筆しました。

  2005年6月27日  青色LEDの件、税金の話の修正など

 Sさん(発明交友会)からご指摘をいただいて分かったのですが、短期譲渡所得になりそうと思っていた私の理解は、逆だったようです。施行令の規定の仕方(特に見出し)が何ともヘンだと思うのですが、私の読み間違いで、むしろ期間によらずに長期譲渡所得の方に当てはめるのが施行令の趣旨と見られます。国税庁のページでも長期譲渡所得の例にあがっているので、そういうことのようです。

 また、知財判決速報1行コメント、2005年 を書き始めました。まだ「レガシィクラブ」の件しか書いてませんが。(7月7日: その後、もうちょっと書いたのですが、それ以上に「レガシィクラブ」について書き足しています。このケース、なかなか興味深いです。)

  2005年6月14日  マピオンとの往復メールを掲載

 マピオンから、リンクについて「許可」してない、とのお咎めをいただきました。私は、意に反してリンクするつもりはないのでリンクは削除しましたが、「許可」が要るとの言辞は疑問なので、問答して撤回していただきました。

  2005年6月4日  一太郎の件のコメに大合議の話を加筆など

 上記の加筆の他、DVDビデオ( DVD-Video )の私的コピーは違法か? にもちょっと加筆。

  2005年5月20日  研究会のメモ、2005年に無効の抗弁の新法についての話を加筆

 研究会のメモ、2005年に、5月18日に自分がレポーターをした、104条の3(無効の抗弁)についての話のメモを加筆しました。レポーターと言っても質問役に過ぎないお粗末な話だったのですが。また、用意の資料の部数が足りずに申し訳ありませんでした。メモの方に、そのPDFへのリンクを付けておきました。

  2005年4月27日  研究会のメモ、2005年に加筆など

 2005年4月26日の研究会の機能クレームの話について加筆しました。T先生から、ウェブページに載せるんですか? というお言葉があったので、張り切って? 即日に書いてみました。ついでに、昨年のメモに、ゴーマニズム宣言事件関係の話(虚偽陳述流布の問題、2004年12月3日の研究会)を書き加えました。少し前から尻切れトンボのままになっていたのを整えたものです。

  2005年4月15日  能力担保研修掲示板04年を掲載など

 2004年の弁理士の特定侵害訴訟代理資格のための能力担保研修の関係で、N先生開設の掲示板での問答のうち、私がご返事をしていたものを集めました。2005年の方の参考になるものもあるかも知れませんので、今更ながら掲載しておきます。

 なお、メールで頂戴した質問とそのご返事については、その当時に、ここに「弁理士能力担保研修Q&A(04年分)」として掲載しました。

 それから、ヘルプアイコン〜に、ちょっと加筆をしました(書いたのは昨日ですが)。

  2005年3月10日  研究会のメモ、2005年に加筆

 研究会のメモ、2005年に、2月28日のドイツの損害賠償についての話と、3月3日の秘密保持命令についての話を加筆しました。

  2005年2月12日  ヘルプアイコン特許侵害事件(松下電器xジャストシステム (一太郎など) )についてを掲載、また研究会のメモ、2005年

 2005年2月1日の東京地裁判決(ヘルプアイコン特許についての、松下電器xジャストシステム (一太郎など) )を読んで思ったことを書きました。これです。無効主張について、もう少し工夫の余地があったかも知れない、などの内容です。それにしても、青色LED事件に続いて、この分野の事件が新聞各紙の1面に大きく掲載されたのには驚きました。(3月2日: アイコン変更モジュールの提供が始まったことが報じられたので、それについて少し加筆しました。この辺りです。)

 夕方になって、研究会のメモ、2005年も掲載しました。とりあえず、1. 102条1項と他との関係(B05年1月24日)と 2. 秘密保持命令(T05年1月24日)を書きました。

  2005年1月23日〜25日  電脳環境に修正など

 電脳環境に、メーラーの話などの修正をしました。また、判決速報コメントhank-r04.htm に、12月8日のキヤノンのインクカートリッジ再充填の特許権消尽の話について加筆。他にも少し加筆。(24日に追加。また、青色LED事件のコメントに、和解成立の話と、それに伴う税務についての疑問の話を書きました。税務については、あくまでも“疑問”でして、分からないことばっかりなのですが。)(25日、税務の話をさらに書き足しました。久々に税法の条文を読んだので、かなり怪しいです。コメントを歓迎します。)(26日、さらに改訂を加えました。)

  2005年1月9日  判決速報コメントhank-r04.htm に加筆など

 判決速報コメントhank-r04.htm にいろいろと加筆しました。だいぶ欠落があるものの、興味深く見えたものについてはこれで一通りコメントを付けたつもりです。12月24日の「七人の侍」x「武蔵 MUSASHI」の著作権非侵害、12月8日のキヤノンのインクカートリッジ再充填の特許権消尽、10月8日の録画ネットの差止仮処分、などが注目です。

 また、青色LED事件のコメントの末尾に、四国新聞のここの、東京高裁での和解協議についての報道についてのコメントを加筆しました。

  2004年11月19日  研究会のメモ”に加筆(Phillips v. AWH Corp.について)

 11月16日の研究会の感想文? として、上記を加筆しました。他に、経歴書の体裁などをなおしたり、自己紹介に加筆したりしました。

  2004年10月14日  特許判例百選の原稿をここにアップ

 特許判例百選 [第三版](有斐閣 2004年2月)、同書のアマゾンのページ、に掲載していただいた原稿をアップしました。数値限定による進歩性についてのケースです。

  2004年10月4日  均等侵害についての原稿をここにアップ

 二弁の知財研の03年12月月例会での講演をもとにした原稿をアップしました。均等論。既に『特許実務の最先端』(商事法務 2004年5月)、同書のアマゾンのページ、の第7回)として掲載されているものです。

  2004年10月1日  研究会のメモ”に加筆

 研究会のメモに加筆。04年9月27日の、102条1項に付いての話。

 9月13日のCAFC大法廷のクノール事件判決で、守秘特権で鑑定などを出さなくても、それで故意侵害と推定されることはない、と判例変更されました。私のとこで変換したhtmlファイル。でも、ダイク裁判官の少数意見のように、注意義務までを否定するわけではないので、多数意見の場合、守秘特権を尊重するのは分かるにしても、それで一体どういう判断がされることになるのか、よく分かりません。……以上、こないだから書こうと思いつつちゃんと書けないで居るので、さわりだけ書いておきました。(10月2日加筆: このコメントを書きました。米国特許法による三倍賠償とディスカバリーに、「6. 2004年、クノール事件大法廷判決に接しての補足」として加えました。)

  2004年9月20日  研究会のメモに加筆など

 研究会のメモや、知財判決速報1行コメント、2004年に加筆しました。前者は、侵害の判断と非新規の判断は同型なのに我が国ではそう認識されていないらしいという話や、コーラル事件の話の加筆。

  2004年9月12日  知財判決速報1行コメント、2004年に加筆など

 知財判決速報1行コメント、2004年に加筆しました。8月31日のジャストシステムx松下が興味深いので、これについてちょっと書きました。

 ほかに、DVDビデオの私的コピーは違法か? に修正・加筆。

  2004年9月7日  ビジネス方法特許と国際的な特許侵害を掲載

 ビジネス方法特許と国際的な特許侵害〜複数国にまたがって行われる侵害行為と特許権行使〜を掲載しました。FM事件最判をうけて、改めて国際的な実施行為に対しての特許権の効力の問題を検討したものです。

  2004年9月6日  DVDビデオのCSS復号コピーと著作権

 DVDビデオの私的コピーは違法か? 〜 CSSは「技術的保護手段」なのか? 解読してのコピーはその「回避」なのか? を掲載しました。1年半も持ち越している企画ですが。

  2004年8月23日  引越

 家の引越ではなくて、ページの引越です。http://village.infoweb.ne.jp/~mat/ のアドレスが無くなってしまうことになりまして(もう閉じたので意味がないのですが、転居通知を見るために? リンクしておきます)、この新しいアドレスに強制的に引越となりました。プロバイダーは同じなのですが(というか、だいぶ前に合併したんですね)。

 検索エンジンなどの対処がどうなるのか、見物です。Yahoo! とかには連絡してみようかな。(04年9月2日追記: http://add.yahoo.co.jp/bin/change から申請するんですね、さっきやりました。)

 旧アドレスを書いていたところを、機械的に全部置換してしまいました。なので、不適切な変更をしているところもあるかも知れません。気付いたら直す予定です。

(04年9月2日追記: この引越の関係で、自分のページへのリンクなどをいろいろ調べていて、グーグルの検索結果で私のページに与えられている順位がとても高いのに改めて驚きました。グーグルで、「弁護士」「特許」とのキーワードで検索すると、こんな風に私のページが上位に来たりするので嬉しいです、と言う話をこないだから 電脳環境のページ に書いていましたが、「米国」でも随分と上に来ますね (日本語ページだけなら)。在日米国大使館が1番のところの、3番というのには感心しました。アドレスが変わるとどうなるのかなあ。)

  2004年7月15日  研究会のメモ”を掲載; 東京高裁要旨集の更新

 研究会のメモを掲載しました。私が出席した研究会で、私が後から思ったことをメモしたものです。とりあえず、4月下旬以降の話だけを書いてありますが(その中でも三倍賠償の話はとっても不十分、これは書き足します)、気が向いたらもっと昔のも書き足すかも知れません。

 また、高裁の要旨集を1頁にしたものに、4月27日の職務発明対価事件(日立の希土類磁石の件)を追加しました。このPDFも、文字の順番が崩れてしまうので、イメージにした後でOCRしました。かなり間抜けな話ですが。

 それから、弁理士能力担保研修Q&A(04年分)は、6月21日の追加でストップですが、先日来、内藤弁理士の開設した掲示板(弁理士研修についての)の方でディスカッションをしています。内藤さんの掲示板のための入り口。IDとパスワードは、内藤先生に聞いてください(加筆: ただし、この掲示板は研修受講生のためのもので、それ以外の人は参加できません)。

  2004年6月20日  東京高裁の知財部のページ

 東京高裁のページとは別に(いや、その中なのかな? )、東京高等裁判所知的財産部のホームページというのが出来たんですね、人に聞いて初めて知りました。

 この中に「最新裁判例紹介」のページがあって、読むに値するものだけがピックアップされているようで、便利です。現在のところで、審決取消訴訟などと侵害訴訟と、それぞれ6件だけ掲載されています。ただ、どれもそれぞれの用紙がPDFで掲載されていて、その点では読みにくいです(こういうページは、この日経のページのように批判されるべきものとも思います。まあ、せっかく用意されるようになったので、それ自体は大いに有り難いと申し上げたいとは思いますが)。それで、こんなのを作ってみました。まだ侵害訴訟の方だけで、中身も整形しただけですけど(ただし見出しは付けました)。そのうちに、コメントも書き加えておきます。……そんなのは無い方がよいかな?

 米国CAFCについては、IPOFederal Circuit Summaries のページに注目の裁判例だけが掲載されています。これも合わせて抄訳をつくると良いかも。

  2004年6月13日  弁理士能力担保研修Q&A(04年分)いただいたメールを掲載

  弁理士能力担保研修(侵害訴訟代理のための)の講師をやりました(私の分はもう終わりました)。その関係での質問メールへの返事を掲載しました。弁理士能力担保研修Q&A(04年分)

  ついでに、というのもヘンですが、以前からやろうと思っていてサボっていたことですが、いただいたメールをとりまとめて掲載しました。いただいたメール

  2004年6月2日  知財判決速報1行コメント、2004年を掲載

  ここしばらくの分については、大体コメントを付けています。2月分などにかなり欠落がありますが。(6月5日加筆: 本日も幾つかコメントを加えました。5月28日の判決が幾つか後から掲載された関係などもあって。)

  2004年5月21日  私の電脳環境(2004年版)を掲載

  (6月5日加筆: 本日も幾らか加筆しました。)

  2004年4月12日  近頃の米国でのクレーム解釈: 狭く解する例が目立つ

 (04/11/16 Tue、加筆の上で、研究会のメモの方に移動しました。)

  2004年3月11日  青色LED発明対価200億円判決について

  青色LED特許対価事件を考える(2004年1月30日地裁判決を読んで: 200億円は必然的!)を掲載しました。

  2004年3月3日  ネオジャパンvサイボウズの件、和解

  ネオジャパンvサイボウズの、前訴の和解に関する誤報の件ですが、控訴審で和解しました。和解条項。そこで書かれたとおりですので(3項を参照)、意見は付しません。

  2003年12月15日  ネオジャパンvサイボウズの件のアップデート

 9月30日の地裁判決では、驚いたことに敗訴してしまいました。控訴しました。控訴審の弁論記録をこちらに掲載します。

  2003年9月7日  ネオジャパンvサイボウズの件のアップデート

  弁論記録を掲載しました(掲載したのは昨日)。平成15年8月8日付けの答弁書も入っています。一銭の支払いもなく、著作権侵害を理由とするものでないなどと明記した和解なのに、「非を認めた」ものだ、と主張し、また「事実上」と入っているからあれで誤報ではない、などと主張しています。不当な主張と考えています。

  これに対する反論の書面でも説明を書いているのですが(現在ドラフト作成中)、なぜこんな風に自分のウェブページで批判を書いているかと言えば、このケースは、私自身が体験した事項についての被告の言動が問題となっているからです。一般的な事件での弁護士は、依頼者の説明にしたがって代弁をするだけですが、このケースはそうではなくて、私自身が被告の問題点を自ら指摘できる、また指摘するべき立場にあるからです。率直に言って、極めて立腹しています。

  答弁書での主張に接して、ますますそうなりました。多くの民事訴訟において、審理が進むにつれて主張がエスカレートして当事者の感情的対立がますます高まる、というのはありがちなことです。本件の場合は、私自身がそうなっているかも知れません。

  2003年6月27日  ネオジャパンadvサイボウズの件の和解と誤報

  5月30日付で、サイボウズxネオジャパンの件で和解が成立しました。一銭の支払いもなく、また著作権侵害としない和解です。

  ところが、これについて誤報が流れるというトラブルが生じました。その経過についてまとめました。和解と誤報を巡る問題……ネオジャパンadvサイボウズ事件の経過報告

  (7月11日追記: 誤報について、サイボウズが当方に対しては責任を認めず謝罪しないので、また著作権侵害としない和解であることを明確にしないので、訴えを提起しました。提出した訴状のpdf 同時に、和解と誤報を巡る問題……ネオジャパンadvサイボウズ事件の経過報告にも加筆しておきました。)

  2003年5月21日  詐欺メール

  昨日、こんな詐欺メールを受け取りました。料金を請求しているのですが、一体何の「コンテンツ」だというのか記載が無く、もちろん当方は身に覚えがなく、またこれまで督促などがあったと書いてありますがそんなものはまったくありません。近頃頻発している詐欺メールのようですが、「裁判所を通じた法的手段」などと書いてくるものだから、おかしいというか、呆れるというか、腹立たしかったので、警視庁に電話したりしてみました。

  それで話を聞くと、このところとてもたくさんある話のようで、警察としても放置ではないが、さほど適切迅速な対処が取れているわけではない、という感じの雰囲気でした。口座名義とかが出ているので、捕まえるのも簡単なように思ったのですが、こういうのは架空名義の口座を不正に作って使っているのかも知れませんね。

  ……などと思っていたら、今度は、架空名義の口座を売ります、というスパンメールが来ました。余りのタイミングの良さ? に呆れました。(6月8日追記: 来ていたスパムメールは、次のアドレスを勧誘していたものです。http://book-i.net/kakuu/http://www.newag.org/members/kakuu/index.html。「激安」で「通常流通価格の3分の1」と書いてあるけれど、こんなものの「通常流通価格」とは何でしょう? また、「絶対に悪用しないで下さい」とうたってあるけれど、悪用以外にどういう用途があるのでしょうか? もっとも、この宣伝自体がかなり怪しそうですね。「お受け取り、お支払いは【代金引換郵便】です。お品物を受け取る時にお支払いですので、詐欺などは一切ありません。」とわざわざ説明しているところから、逆に、中身が違う代引きが来るのではなかろうかと想像されます。そうだったとしても、文句を付けるのは難しいですからね。なかなか狡い商売です。)

  それでも、詐欺メールは余りに不愉快だったので、銀行に連絡し、また福岡県警にもメールしました(福岡支店の口座が書いてあったので)。果たしてこれで捕まったりするのだろうか?

  (追記: 5月23日) 丁度昨日(22日)の夕刊に、この手の詐欺で逮捕、という記事が出ていました。この逮捕された人たち自身も模倣犯のようで、「『架空請求の相談が増えているというニュースを知り、そんなに簡単に金が入るならやってみようと思った』と話しているという。」とのことですが(朝日新聞、ネットではこちら)、朝日新聞の記事だと「3カ月間で全国各地の331人から786万円の入金があった」とのことであり、これを見て更に模倣犯が出たりしないか、と思いました。

  2003年4月8日  今年の桜

  昨年は書くのを忘れていましたが、例年通りに、また桜の写真を掲載しておきます。左側が、牛込橋の上から見た外堀沿いの桜で、右側が、当事務所の前の通りです。

  先週の初めから急速に咲きましたが、今日は雨模様でしかも風もかなりあるので、花びらがだいぶ散ってしまっています。

牛込橋から見た外堀沿いの桜 事務所の前の通りの桜

  2003年3月24日  DVDの仕組みなどについて

  先日から、DVDビデオのCSSと著作権法の関係について興味を持っています。著作権法の解説書では、これを解読してコピーしても30条1項2号の「技術的保護手段の回避」には当たらないと説明されているのに(条文の文理からするともっともな話だと思います)、どういうわけか、その解読法を説明したウェブページや書籍では、解読してコピー(私的使用のもの)するのが著作権法違反だ、としているものが圧倒的なのですね。単に責任逃れでそういっているというのではなくて、著作権法違反だとわざわざ断定しているものが目立ちます。不思議です。自分で解説している内容が、実行すると違法だと断定しているのです。

  この関係の話を、近いうちにまとめてレポートしようと思っていますが、その基礎として、DVDの仕組みについて、とても詳しく解説したページを見付けました。DVD Frequently Asked Questions (and Answers) そのコピー)、その和訳の頁そのコピー)、です。

  2003年3月22日  昔の文章を3つ掲載

  大法廷回付の手続きについて著作権法30条2項と高性能デッキ司法研修所の話、の3つを掲載しました。いずれも随分と昔の文章ですが。

  2003年1月3日  「キルビー最判後を考える」を掲載

  ここに「キルビー最判後を考える」を掲載しました。

  2002年9月27日  FM復調器事件の最判

  平成14年9月26日付けで、FM復調器事件の最判が下されました。リンクコピー。ついでに地裁判決のコピー(私のOCR)高裁判決のコピー。上告受理したものの、棄却です。未だ簡単に読んだだけですが、さすがに、基本的に、もっともな判決だと思いました。

  或る程度まで異論を持つのは、法例11条2項により違法でない、としている点ですね。差止めが出来ないのはしょうがないと思うし、11条1項での原因事実発生地を米国としたのは期待された以上の判断です。しかしその上で、そうした外国での侵害(直接的侵害)の結果を生じさせる行為が、日本では違法ではない、とするのは賛成しかねるかな、と思います。そういう行為は、日本でもいけないことでしょう、と私には思われます。

  しかし、11条2項の点以外では、私としては“非常によく分かる”判決です。

  2002年9月20日  中村教授x日亜の件でラジオ出演

  この件(青色LED訴訟)を取り上げたラジオ番組、TBSの「アクセス」に昨晩出演しました。アクセスのこの日のページ。リスナーの方からの電話などを取り入れての番組ですが、改めて、“中村教授、敗訴”という報道のために奇妙な受け取られ方をしている、と感じさせられました。特許権が会社のものとされた昨日の判決は、会社が出願している以上は無理もない話であり、中村教授がどれだけの金額の対価を得られるかは、これから審理されるのです。この辺をご説明させていただきましたが、うまくしゃべれたかな?

  本当は、特許権の価値自体が大きくなっているために(均等侵害が認められたり、損害賠償額が高額化している、などの意味で)、こうした紛争の影響が大きくなっている、とかの話もしようと思っていたのですが、話題はそういう方向には行きませんでした。

  既に、裁判所のページのここに判決文が掲載されています。ここにコピー。これを見ても、相当対価額を決めるのは裁判所だ、ということが明示されていて、会社の決めた2万円で終わりということではなく、本件のように現に大きな値打ちのある開発の場合には相当な多額の対価が認められる可能性が示唆されていると思います。決して、中村教授の敗訴というわけではないと思うのですよ。また、そうした対価が認められるからこそ、会社への承継を肯定するのに問題が少ない、という論旨でもありますね(中村教授側が、2万円で奪ったのでは不当だから、自分が特許権者だ、と主張したのに応える形での判旨ですが)。

  2002年9月19日  やはり特許権は会社側

  中村教授x日亜化学(青色LED訴訟)、やはり中間判決だったようですね。一安心。読売新聞の記事そのコピー毎日新聞の記事そのコピー。昨日も書いたように、これは必然的でしょう。中間判決の内容としては、譲渡が有効だったという、事実認定のところで結論を出しているようですが、そもそもの理屈としても原告側のこの点の請求には非常に無理があります。

  これからの、相当の対価の審理こそが本来のポイントですが、それについての攻防への影響としては、果たして、このように無理のあるところを第一次的に請求していたことが有利に働くものかどうか、興味深いです。考え方としては、判決が間を取ったものになることを予期して、少し無理があっても高めの要求をしておく、というのと、むしろ控え目にしておかないと、主張全部の信憑性に疑いが付いてしまう、というのとがあると思います。今回の原告は、前者を考えているように見えますが、そういうものかどうか。

  それにしても不思議なのは、これが中村教授が特に負けた判決であるかのように報道されていることです。また、中村教授がこの判決に驚いているとコメントしていることも疑問です。信じられません。この段階でのこの結論は、昨日も書いたように、あまりにも当然だからです。実質的な争点は、上でも書いたように、これから審理される金額です。

  2002年9月18日の2  FM復調器事件、確定へ

  FM復調器事件(評釈(ハーグ研レポート)参考)について、上告受理の決定と共に、「9月26日(木)午後1時30分に判決を言い渡す」との通知が原告代理人(大野先生)のところに届いたそうです。口頭弁論を経ないでの判決ですから、高裁判決を維持の結論と決まっています。この種の事件に積極的とはならないようで、その点では残念です。でも、上告審としての判断が示されるものではあるようですから、要注目です。

  2002年9月18日  中村教授x日亜化学(青色LED訴訟)の行方

  かねて話題の、中村教授x日亜化学の青色LED訴訟の中間判決が、明日(2002年9月19日)に言い渡されます。ここは「中間判決」に決まっていると思うのですが、新聞報道は必ずしもそうではないようなのは、どうしてなのでしょうか。

  オーソドックスな議論としては、特許権は出願によって初めて与えられるものです。このケースでは、出願をしているのはあくまでも会社側であり、中村教授の議論によっても、“(発明したことによる)特許を受ける権利”の譲渡が否定されるとしても、それでも、中村教授が権利者になるという理屈には遠くて、せいぜい、会社側の出願が違法とされて特許が無効になるというにとどまるはずです。この点、最判平成13年6月12日は、特許権の移転登録請求を認めはしましたが、このケースは、原告側が元々出願をしているのですね。共有の関係の点を省略して説明しますが、元々出願をしているのが、不正に変更されて被告が特許権者になったケースであり、それを回復する、というにとどまる判例です。◆H14. 7.17の東京地判(29部・整形ブラジャー事件の2件目)そのコピー)による最判理解を参考にしても、本件で特許権の帰属自体は会社側ということになるのは揺るがないと思われます。

  こういう意味で、明日(9月19日)の判決は、決して決定的なものにはならないはず。実質的な問題は、相当な対価の額です。つまり、今後の審理の方こそが問題で、明日のは、ダメ元という感じのはずです。……などとまで書いておいて、もしも終局判決だったらどうしよう?

  2002年9月11日  海苔の関係の別件

  順番が前後してしまいましたが、先々週には、海苔の関係の別件で勝訴判決を頂戴しました。私の依頼者は同じですが、今度は、別の特許権で訴えられていたケースです。名古屋地裁の事件でここに判決が出ています: 名古屋地判8月30日そのコピーも掲載しておきます

  興味深いと思うのは、最小限度の判断だけをしているということですね。このケースは、先行技術の状況を含め、明細書の内容をよく見れば、到底、有効特許の侵害にはなり得ないものではあるのですが、その中でも、無効判断も十分に容易に行えたと見られるものです。1件については既に無効審決が下されているのです(別の当事者の請求によるものですが)。訂正請求があって若干はやっかいな面もありますが、それにしても無効というのに問題はないと思われます。

  こうしたことは名古屋ではある意味で常態になっているようで、7月18日の判決そのコピー)も、無効判断が出来そうに見える(その旨の東京高裁の判断が出ている。もっとも、その前に出た無効審決では特許が維持されているのですが)ケースなのに(判決文中にその摘示があります)、明白無効との判断はせずに非侵害で請求棄却にしています。

  民訴の理論からすれば、結論だけに既判力があるのであって、最小限度の判断でもちろん問題ないのだとは思います。しかし実際上の影響力を考えると、そしてまたせっかく審理したのだからと言うことを考えると、さらには上訴審での扱いをを考えると、必要でないところも判断をしても良いようにも思います。この辺りは、現在実務が非常に流動的な状況にあると思われます。

  2002年9月7日  ソフトの画面表示の著作権の件

  ソフトの画面表示の著作権が争われた件で、勝訴判決を頂戴しました。東京地判平成14年9月5日そのコピーサイボウズ v ネオジャパン、という件で、私は被告の代理人、類似していなくて著作権侵害に当たらない、という判示です。

  当方の準備書面(5)(リンクはそのpdfファイル)に見るように似ていないので当然の判決だと思うのですが、原告側は随分と違うお考えのようです。各種のニュースページに記事が見られます。たとえば、zdnetの2002年9月5日付けの記事

  2002年6月27日  生海苔異物除去機事件、もう1つ

  以前に均等侵害が認められたのと同じ特許についての、もう1つの侵害事件で、本日、勝訴判決をいただきました。◆H14. 6.27 東京地裁 平成12(ワ)14499 特許権 民事訴訟事件です。コピーも置いておきます

  こちらでは、文言侵害が認められました。ちょっと見たところでは、むしろこちらの機械の方が形が違っているところもあるのですが、クレームの「内嵌め」などの文言との関係では、こちらはそのままに充足するものであるためです。

  差止等の請求の他、ご覧のように、12億7440万円と遅延損害金の賠償請求が認められました。海苔の製造に関する機械ということで、マイナーなもののような印象をお持ちになられる方もいらっしゃるかと思いますが、こと、この発明に関しては、非常に実用価値の大きなもので、メーカーとしての利益も極めて大きいものなのです。ですので、現行の特許法102条1項によれば、このように大きな金額の賠償請求が認容されることになります。

  2002年6月9日  フェスト事件の最判の和訳

  フェスト事件最判(コピー)の和訳を作成し掛けていたのですが、井上雅夫さんの翻訳を見付けたので、中止しました。でも、たまたま、井上さんのものはシラバスの部分は翻訳しておらず、私の方は、シラバスの部分だけは手を入れていたので、ここに掲載しておきます。もっとも、シラバスというのは本文から重要部分を抽出してきただけのもので、別物というわけではないので、こうして出すことに本当は意味はないのですが。

  ご覧のように、私の翻訳は、IBMの“インターネット翻訳の王様”の出力を下訳にしたもので、特に後半は殆どそのままなので、メタメタです。でもこれも愛嬌? で載せておきます。

  2002年5月30日  フェスト事件の最判、破棄差戻

  フェストv燒結金属工業、5月28日付けで最判が出ました。結論は、破棄差戻です。FindLawの判決文のページそのコピー。CAFCの判示の2点のうち、エストッペルが成立する“特許性に関係する補正の理由”というのは、先行技術回避に限られず、他の特許法の要件もすべて含む、という点は、最高裁も支持しました。もう1点の complete bar を否定し、この点で差戻となっています。

  既に、豊洲先生のページや、そこからもリンクのあるFindLaw の解説ページ、またバーチ事務所のページに解説が見られます。

  確かに破棄差戻であって、CAFCの complete bar は否定されました。しかしそれでも、補正で入った要件についての均等を認めてもらうのは、決して容易ではない話に見えます。受け取りようによっては、あり得るのか、とすら思われます。補正の理由との関係で、主張されている均等があり得るものであることが前提で、さらに、適切な文言をドラフトするのが無理だったという場合に初めて均等の主張が認められ得る、というのですから。これは、たとえばWJ-HDの事案だと、まったく成立しないはずです。そもそもこの事案では、補正の理由が結局のところ明らかにならないでしょうから、均等は全部否定とならざるを得ないと思いますが、さらに、phの下限を6.0と設定したのは、それより下も均等と言いたければそれを含むように書きさえすれば良かった話であって、それ以外が“無理だった”とは到底言えそうにありません。

  こういう意味で、CAFCの傾向(均等侵害の制限の傾向)をそれほど実質的には否定しないもの、という風に私には見えます。だいたいが、WJ-HD最判に従うと、補正の理由が分からない場合は結局は均等を全部否定するしかなく(この点は今回の最判の文中でも認められています)、それに比べると、特許性に関係する理由だったという場合に、あまりに特許権者に有利になると言うのはおかしい、というのは否定しがたいことだと思うのです。特許性に無関係だったというのなら、エストペッルが働かず特許権者有利になるのは当然ですが、推定されたとおりの事実が証明された場合に却って有利になるというのは理解が難しいです。

  それでも、均等侵害というのは事案に応じて妥当な結論をくだすための“方便”であって、そういうものについてあまりに形式的なことを言う complete bar というのは似つかわしくない、とは思われます。今回の最判はそれを改めて指摘しただけ、という受け止め方が正しいように思います。

  でも、破棄には違いないので、みんなが私のように受け取るのかは分かりません。均等侵害が大いに復活することになる、と言うのも、あり得ることではあります。でも、近頃のCAFCの意見分布からすると、そうでもないようには思うのですが。

  2002年5月7日  「米国制度からの示唆(審判研レポート)」を掲載

  米国制度からの示唆(審判研レポート)を掲載しました。知財研での日本の審判制度のこれからを議論する研究会で、米国関係のレポートをしたものですが、米国の当事者系再審査制度の話(その法改正審議の状況などを含む)とともに、キルビー最判後は侵害訴訟で実質無効判断をするのだから、その確定判決は、後にもしも無効審決が確定しても、再審取り消しされるべきでない、という独自説を論じました。

  2002年5月2日  無効審判での無効理由通知

  4月3日に、例のパチスロの74億円訴訟について、無効理由通知があったのは、先行技術を発見したのだろう(形の上では)、という話を書いたところ、弁理士のY先生からコメントのメールを頂戴しました。無効理由通知の内容は先行技術とは限らない、とのご趣旨です。まったくそのとおりです。読み直してみると、断定しすぎていました。お恥ずかしい。

 そもそも特許法第153条は、次のように規定しているわけですね:

153条 審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
2 審判長は、前項の規定により当事者又は参加人が申し立てない理由について審理したときは、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
(3項は省略)

  このように、審判は弁論主義ではなくて、職権で「当事者が〜申し立てない理由」を取り上げることも出来るが、それで結論を下そうという場合には、反論の機会を与えるべく、通知をするわけです。

  もっとも、実際には、先行技術を指摘するものが多いのだとは思うのですよ(そもそもこうした場面での無効理由通知自体がそんなに多いわけではないでしょうが)。しかし、Y先生のご指摘では、無効審判において、請求人の主張していなかった、記載不備の無効理由通知を受けたご経験もあるとか。そういう例もあるとすると、なるほど私の書き方は不用意でした。

  2002年4月28日  生海苔異物除去機、金銭賠償判決

  木曜日(2002年4月25日)に、生海苔異物除去機特許の侵害事件について、金銭賠償を命じる判決を頂戴しました。この事件は、侵害差止については既に請求認容判決が確定しているのですが(控訴棄却と上告不受理で。私の判例集参照。)、その際には、差し止めだけを請求していました。訴え提起当時には、本格出荷が未だだったためです。差止判決が確定しても、和解交渉にすら応じていただけないので(被告にとっては、既に売ってしまった装置の業務利用の関係で、是非とも和解の必要があると思うのですが、とても不思議です)、金銭賠償を請求する訴訟を提起し、それがほぼ満額認められました。

  いや、本当に満額近くで、その点に感心しています。4億2880万2000円(と遅延損害金)の請求に対して、4億2109万円(と遅延損害金)の認容です。実に、98%以上です。本格的に争っていた事案にしては、珍しい程ではないでしょうか?

  しかし、その後も払ってきてはくれないので、執行するしかないのか、という状況にあります。被告は、かなりの規模で事業をしているので、それに対して強制執行をすることになるというのも、これもかなり珍しいような気がします。

  なお、我ながら意外にも、知財判決速報のコメント集は、3月下旬以来、この裁判例も含めて東京地裁の全裁判例とその他の目に付いたもののコメントを続けています。

  2002年4月27日  中古ゲーム売買合法、消尽論は適切なのか?

  中古ゲーム売買に関して、4月25日、最高裁判決が出ました。両高裁判決を支持して中古売買を合法とするものですが、その理由としては消尽を採用しました。大阪高裁のロジックを取ったと言えます。2002年2月5日 中古ビデオ売買は適法でも書いたように、この点については、3つのロジックがあり得ました。東京地裁のように映画でないとするかその事件の上級審の東京高裁のように大量複製物はこの条文の頒布権の対象の複製物ではないとするか、大阪高裁のように消尽論によるか、の3つです。最高裁は、この内の最後者を採用しました。

  これは、米国と同様と言えるロジックです。でも、結論が同じなのはよいとしても、2002年2月5日にも書いたように、前提となる法律が違っていることを思うと、ロジックには疑問もあります。こうした場面を消尽論で処置するというのは、自由度が大きすぎて違和感があります。わざわざ映画を対象として規定した中で、それに当てはまるとした上で、消尽する場合としない場合をどうやって分けるというのでしょうか? 今回の最判は、日本の著作権法でも消尽論が否定されていない、と判示していますが、それにしても、全部を明らかに解釈にゆだねている米国と違って、細かく規定しようとしている日本の著作権法をこういうふうに扱うのには、若干の違和感を感じます。

  もっとも、「映画」にあたるかどうか、とか、「複製物」にあたるかどうか、という解釈を試みても、本当の本当のところでは、その解釈によって結論を出しているわけではないのではないか、という疑問ももっともです。そういう意味では、消尽だ、という方が、潔いというか、或る意味で正直なのかも知れません。

  2002年4月3日  74億円訴訟のさらに続報

  3月20日3月26日に書いた、アルゼxサミーの74億円訴訟ですが、問題の特許に無効理由通知が出ているのですね(大野先生に教えてもらいました)。被告・サミーのニュースリリースのページに、被告・サミーの頁に3月27日付けのニュースリリースが出ています。  そこからのリンクのPDFファイルのコピー その中の「3. 今後の対応」の項に、次のように書いてあります。

 今後、控訴審にて特許侵害のないこと等、従来からの主張を一貫してより強力に主張して参るのと同時に、特許権自体の有効性についても訴えて参ります。

 このうち、特許権の有効性に関しましては、当社は既に特許庁に対し、無効審判申立てを行なっておりましたが、特許庁は3 月18 日、独自に本件特許権の無効理由を発見したとしてその無効理由を当事者に知らせる「無効理由通知書」を発し、翌19 日、東京地方裁判所の判決後に当社にこの通知書が送達されております。

  ダイナミックな進展は、少なくとも、傍目で見る分には興味深いです。

  この無効理由通知と判決との実に微妙な前後関係には、驚いてしまいます。これで無効になる可能性がどれだけあるのか、中身を知らないのでまったく分かりませんが、一般論としては、無効理由通知がわざわざ発せられたと言うからには、無効になるのがそれなりに蓋然的なように想像されます。しかし、そういう特許について、請求認容判決が出てしまうというのも、有り得ることではありますが、どうしてなのかな、と思う点もありますね。

  無効理由通知、ですから、これは、特許庁が職権で別の先行技術を見付けてきた、ということだと思われます。そうすると、侵害訴訟においては提示されていないものなわけで、そういう訳だから、請求認容になったんだ、という理屈は付きます。

  でも、実際的には、この理屈が当てはまるものかどうか、分かりません。以下は、この事案がそうだというわけではなく、あくまでも一般論ですが、無効理由通知が出される場合というのは、その建前とはちょっと違う場面がまま見られるように思います。実際の無効審判では、職権主義は余り機能していなくて、特許庁が良い証拠を見付けてくることなど滅多にないです(たくさんの事件があるのですから、無理もない話であり、この限りでは多くの人が賛成してくれると思います)。それでも無効理由通知の例というのは結構あるのですが、それは、中身としては余り良い証拠ではないのだが、とにかくそれまでとは別の証拠を提示することに意味がある、と考えてのことのように見える場合があります。それは、無効審判請求人が審査段階などでも既に出ている証拠しか出していない場合のことで、それで無効にしたのでは、特許査定をした審査官の立場がないだろう、という役人の論理で別の証拠を示している、と想像されてしまうことがあるのです。そういうことになるのは、発明としてとても無内容なのだが、どういうわけだか特許が成立してしまっている、という事案においてです。

  本件がどうかは知りませんが、もしもこういう話だと、上記の「理屈」は妥当せず、何故に請求認容だったのだろう、という事にもなるわけです。さて、実際はどうなのでしょうか?

  (2003年1月8日追記: たまたま、サミーのページ(http://ir.sammy.co.jp/release/index.jsp)を見たら、無効審決が送達されたとの1月7日付けニュースリリースがでてました。そのコピー(pdf)。訴訟の進行状況などについても、例の74億円事件については高裁で審理中、などの説があります。)

  2002年4月2日早朝  Johnson & Johnston 事件のCAFC大法廷判決

  ルービッツさんのファクスでのニュースレターで知ったのですが、均等侵害についてのCAFCの大法廷判決が、2002年3月28日付けで出ました。JOHNSON & JOHNSTON ASSOCIATES v. R.E. SERVICE and MARK FRATER で、均等侵害を制限する方向の結論です。といっても、同意意見によれば、新たに制限する判例を作ったのではなくて、あくまでもそれが従来からの判例法なのですが。しかし、Newman はそうはとらえていないようです。でも、反対意見は Newman ただ一人で、すっかり孤立してきている感じですね。

  内容は、開示されているがクレームされなかった対象は、均等侵害に出来ない、という判示で、これは、受け取りようによっては随分と均等侵害を制限します。しかし、事案としては、本当に並んで出ているが敢えてクレームされなかったものについての話のようで、そう強力な均等侵害制限ではないようには思われます(未だ良く読んでいませんが)。

  なお、ジョージタウン大のCAFC裁判例集には未だ載っていないし、エモリー大学のものに至っては、見出しが昨年2001年8月までしか出ていません。やめちゃったのかな。しょうがないので、フェデラルサーキット自身の公式ホームページに出ている圧縮されたMSワードファイルをダウンロードしました。ついでなので、ここにhtmlにして掲載しておきます。

  日本の裁判所のページは、着実に充実してきていますから、いつの間にかプロパテントもウェブでの裁判情報も日米で逆転が生じてしまった? ……いや、全体で見ればまだまだそんなことはないと思いますが。

  2002年3月27日  知財速報の解説; 辻元さんの辞職

  本日掲載されていた分の知財速報について、短い解説を付けてみました。ここに掲載します。 毎回やろうかとも思いましたが、この程度でも大変ですね。それにこのページの趣旨からすれば、CAFCについてこそやるべきだけど、とても不可能です。

  辻元議員の件は、まさに「議員辞職」で「議論に蓋」になってしまったようで(昨日の私の文章から引用)、大変に残念です。辞職で一番ホッとしてるのは、社民党の人たちでしょう。名義貸しや流用が恒常的になされていたように想像されますから、それが明らかにならずに済んだという点で、ホッとしているわけで、これでは、常々批判の対象としている自民党とまったく同じで、それをよりスピーディーにやってると言うくらいです。

  また、色々な経過からの推測ですが、辻元さんに、この秘書を紹介するなどの形で関与していた社民党の先輩議員というのは、土井党首自身だったように想像されます。そうすると、辞職をせずにいてこの問題がさらに紛糾することで一番に明らかになってしまうのは、土井党首の責任ということになります。それを辻元さんに暴露しろというのは、まあ無理な話だったんでしょうねぇ。でもそれをやるべきだった、と私は本当には思います。

  それにしても、辻元さんと同じ立場であろうと想像される、民主党の家西悟代議士の方はどうなったのでしょうか?

  2002年3月26日朝の2  辻元議員は辞めるべきでない

  この頁の本旨からは外れますが(元々近頃は米国の話と関係ないことばっかり書いてますけど)、時事問題について、ちょっと書きたいことがあります。辻元議員の話です。

  今晩(いや昨晩か)のNEWS23での彼女自身の釈明などまでを見たところでは、カネの扱い自体は、それ程に悪くないと思うのですよね。実際、まともな政治活動をしているようであり(もっともその方向の一部については、私は大いに反対ではあります。私は北朝鮮、嫌いですから。辻元清美落選運動のページ参照)、それに使われていると思える。流用といえば流用ですが、この程度のことは、確かに他の人もいっぱいやってると思います。むしろ、有用に使われていて、ましな方ではないですか? 公費の扱いというのは、使い切ってしまえば無駄でも何でも良い、という事になりがちで、そちらの方が問題だと思います。

  問題は、3月20日の記者会見です。あの説明は酷い。今となっては、辻元議員自身も謝罪しているのでウソだったことは明白ですが、それ以前に、あの説明を聞いただけだって、全然おかしい話です。電話で相談するだけの人に、なんで1千万円も払わないといけないんでしょう? そんな話があるわけないです。このウソの釈明記者会見は、それ自体十分に重大な問題ではあります。

  でも、謝って済む問題だと思います。

  これで議員辞職を必要とするなら、土井党首他の社民党幹部全員も同罪だと私は思うのです。だって、当時は、あの説明に基づいて「バックアップする。」といっていたのですから(毎日新聞の21日の記事「同党は20日、三役会や常任幹事会、両院議員懇談会を相次いで開き、対応を協議、「(報道を否定した)辻元氏の説明を理解し、党一丸となってバックアッする」との方針を決めた。」)。当時は辻元さんがそういっていたから、というでしょうが、それにしても、調査する考えもないとしていたのには、呆れるばかりです。身内の言うことなら何でも丸々信用するというのは、見識が問われる話であり、リーダー失格です。むしろ、辻元さんの話を社民党の身内では通してしまったから、問題がここまで大きくなってしまったのではないか、とも思われ、私は辻元さんに同情します。

  社民党は議員辞職をさせる積もりでいるようですが、そういうことで議論に蓋をするのではなくて、徹底的に議論してもらいたいものだと思います。辻元さんは他の党の人のことを引き合いに出したりしてますが、それももっともではありますが、むしろより期待されるのは、彼女にこの秘書を紹介した社民党の先輩の話であるとか、民主党の家西悟代議士の所でもこの秘書は同じことをしていたようですがその事情を開かすとか、などに私は期待をします。

  そう言えば、民主党の家西悟代議士は、2ヶ月間だけ採用されていたこの秘書について、「事務所に常駐はしていなかったが、主に政策についての助言などをしてもらっていたという。」「秘書給与については女性本人の口座に振り込まれ、事務所で通帳や印鑑を預かるようなこともなかった。また女性から献金なども受けていないという。」(いずれもasahi.comの3月24日の記事、ここにリンク)としており、当初の辻元さんの説明とまったく同様に、全然信用できません。家西代議士は、これからどうするのでしょう? 同氏のウェブページにはまだ何も出てませんが。

  2002年3月26日朝  74億円の話の続きなど

  20日の話の続きですが、ちょっと調べてみて、賠償額がこのように巨額になるのは、このパチスロの業界が実に儲かっているということに、原因の相当分があるのだろう、ということを改めて思いました。

  まず、原告・アルゼの単独決算(リンク先はYahoo!Finance)を見ると、売上高・161,343百万円、営業利益・78,893百万円、なのですね(2001年3月期)。5割に迫ろうかという、製造業としては実に驚くべき利益率です。こういう高い利益率を前提にすると、特許法102条1項に基づく賠償額は、確かに実に巨額になるでしょう。しかし、これはその特許による利益というのとは随分と性質が違います。そういう意味での疑問は、20日にも書いたように、ちょっと残りますよね。

  ついでに被告・サミーの単独決算(リンク先はYahoo!Finance)をみると、2001年3月期で、売上高・67,706百万円、営業利益・18,830百万円、となっています(2001年3月期)。こちらもとても儲かっていて、75億円も十分に支払えそうですが、利益率もかなり高いです。原告に比べると利益率は低いですが、普通に考えると、むしろ原告の方が異常です。

  さらについでにリンクをあげておきますが、サミーがちゃんと訴訟に関してのニュースリリースを出して、徹底的に争うと言っています。サミーのニュースリリースのページ  そこからのリンクのPDFファイルのコピー また、この件の原告代理人の升永弁護士は、このところ素晴らしくご活躍ですね。代表をしておられる東京永和法律事務所のページを見ると、このページがまた実にアグレッシブです。報告されている事件もそうですが、ご自身が当事者になって「かつて法律事務事務所を共同経営していた弁護士間で事務所経費の負担等を巡って争われた事件」なんてのまでが出ているのは、すごいです。「実質的に全面勝訴」だそうですから、ご自身には基本的に問題なかったのでしょうが、それにしてもそういうのが訴訟になるというのもすごいし、自分で頁に掲載するのもなかなかです。

  2002年3月20日  賠償額74億1668万円

  知財判決速報を覗いたら、3月19日付けで、74億1668万円の損害賠償を命じたケースが目に付きました。アルゼxサミー他。パチスロに関する特許のケースです。日本の特許訴訟としては、史上最高額と思われます。H2ブロッカー(シメチジン)のケース(ここにコピー)が30億円で最高といわれていましたから。今回は、同時に同じ特許権でアルゼxネット他というのも出ていて、こちらも9億8870万円と実は巨額な請求認容です。74億に比べると霞んでしまいますが。

  損害額認定の箇所だけ、簡単に読みましたが、特許法102条1項の原告の利益率による認定ですね。儲かる装置の場合には、これによる損害額の認定は確かに非常に大きな金額になる場合があります。本件は正にそのケースのようです。

  プロパテントの傾向を体現したケースだと思われ、また実際に高い利益率の装置のようですから、この結論はもっともなのでしょう。ただ、若干、疑問があるかもしれないと思う点は、利益の全部を特許権者に取らせてしまって良いほどに、装置にとって基本的で重要な発明なのかどうか、ということです。

  法102条1項の条文からすると、利益が出ていればそれに基づく計算になってしまうのが原則であって、そこから減額するのは難しいですが、でも、その発明があればこそすべての利益が生み出されているような事案だったら、その結論はまったくもっともですが、そうではない場合というのも如何にも多そうに思われます。このパチスロのケースは、私には詳細な内容は分かりませんが、他の要素も絡んで商売が成り立っているものであることは間違いないと思います。以前からパチスロはあるわけですから。また、損害額の認定の中では、被告の商品が先に出ていたのでその分の台数はカウントに入れないという認定もしているくらいです。そのような、せいぜい部分的な発明なのに、全部取らせるのが適切なのかどうか、問題はあるかも知れません。

  いやしかし、それで初めて、特許権の実効性があがるというものではあります。侵害してはいけないのです。

  2002年2月6日  生海苔異物除去機のビデオ

  ここに、生海苔異物除去機の概要を説明したビデオを掲載します。 約6Mあるので、ADSL以上の環境でないと、ダウンロードするのはお奨めできません。WINDOWS MEDIA VIDEO V7 (オーディオはV8) なので、最近のメディアプレーヤーが入っているマシンなら、そのままで再生できるはずです(ストリーム再生できるので、単にクリックすれば数秒以内で再生が始まるはずです、ADSL環境だったら)。もしもダメだったら、マイクロソフトの頁からコーデックをダウンロードしてみて下さい。

  このビデオは、侵害訴訟の件で当方から証拠提出したものではなくて、別に訴えられている方の事件(名古屋地裁)において、異物除去機の概要を説明するために提出したものです(乙15)。写っているのは、特許権者(親和製作所)製造の装置です。ですので、侵害の成否に関連した争点についての説明がなされているわけではありませんが、そもそも回転板式生海苔異物除去というのがどんなものなのか、を普通の人はご存じないと思いますので、そうした基礎知識をご理解いただくのに好適と思い掲載するものです。

  このビデオに説明されているような、回転板の円周部の隙間を利用して、生海苔を通過させそこを通過しない異物を除去する、同時に、タンク中に回転流が生じてそこでの遠心力により重い異物は隙間に達することもなく除去される、というのが本件発明の装置です。従前の装置としては、簀の子状のローラーの隙間を通過させるものなどがあっただけで、回転板を使うこと自体が発明です。対して、被告の均等侵害とされた装置は、この隙間の構造の細部が相違していて、ほぼ水平方向の隙間で、その上に回転板が載るような位置関係になっているというものです。

  2002年2月5日  中古ビデオ売買は適法

  東地判平成14年1月31日(民事46部)が目に付きました。ビデオの中古品売買について、頒布権に基づく差止等請求を棄却する裁判例です。ゲームの中古品売買についての一連の裁判例との相互関係などおいて特に、興味深く思われました。

  このケースは、著作権法の条文の表面からすると、原告の方にむしろ分がある面もあります。ビデオについてはまさに映画といわざるを得ず、ならば頒布権の規定(法26条)が当てはまり、中古品の売買もコントロールできる、という議論の方が、ある意味で法律の条文に素直です。しかし判決はこれを消尽論によって排斥しました。

  ゲームについてのケースに比べると、大阪高裁のものに最もよく沿っています。映画の定義の点についてはともかく、頒布権が及ぶべき「複製物」が何かという点でも、消尽論の点でも、大阪高裁の判決と平仄が一致しています。

  また、三村裁判長自身の東京地裁の判決とも整合的な判断を示しています。すなわち映画の定義については、「同一の連続影像が常に再現される(常に同一内容の影像が同一の順序によりもたらされる)ものであること」を要件とするのだとしており、ビデオの場合にはこれを満たすので映画であるが、(事案とは関係ありませんが)ゲームの場合にはこれに該当しないハズというのが明らかとなっています。自らの部の先例と同様の定義をしているのは、当たり前とも思えますが、しかし、その事件の上級審は違うことを言っていますから、どうするべきかは実は難しいところです。最高裁判決が出ればそれに従うのでしょうが、そうではない現状では、従来の自らの見解を維持するというのがこの裁判例ですね(この事案においては傍論なのでどちらでも良いようなものではありますが)。これはこれでもっともです。

  上記のように、ゲームについての東京高裁の判決とは、映画の定義の点でもまた頒布権が及ぶべき「複製物」の点でも、違っているところが興味深いところです。果たしてこのビデオの事案は、控訴されたとして、東京高裁のどの部に係属するのでしょうか? 仮に第6民事部だとすると、結論は同じなのがほぼ明白ですが、理由付けの点では2つの点で明確に相違がありますね。また他の部の場合にはどういう結論になるのか、それ自体も興味深いところです。

  これら、ゲームやビデオについては、消尽論または「複製物」論のどちらかで結局は中古品売買も適法とする方向の流れが出来つつあると思うのですが、冒頭でも書きましたが、日本の著作権法の規定ぶりからすると、こういう法解釈は難しい面があると思います。日本の著作権法は、このあたり、奇妙だと思っています。妙に細かく規定されている点で。

  日本の条文では、映画の著作物について頒布権を認めると言っているのですから(26条)、これをある意味で覆して中古品売買を合法とするというのには、それなりの困難があります。米国の著作権法はこれに比べると、かなりおおざっぱで、いかにも消尽論などの解釈の余地があります。つまり、米国法では、販売することも一般的に著作権の対象とされていて(106条、そのコピー)、著作物の中古品売買は一般的に解釈(the first sale doctrine)によって合法とされいる、という仕組みなわけですね。これなら、ゲームやビデオについても中古品売買を合法とすることにも何ら問題はありません。これに対して日本の条文(26条)では、映画について特に規定しているわけですから、ゲームやビデオを映画としつつ中古品売買を適法とする、現在主流となりそうな解釈というのには、いかにも難しいところがあります。そういう意味では、投資の回収についての議論などに耳を傾けると、ゲームについての大阪地裁の言うところにもまったくもっともなところがあります。それでも、中古品売買を合法とする結論は常識にかなっていると思いますが、条文解釈としては難しいところがあるのは、否定しがたいと思うのです。

  このような事態の根源的理由は、日本の著作権法には奇妙なほどに細かい規定がある、ということにあるように思うのです。よくある議論では、緻密な規定をすることは、予測可能性の観点などから望ましいことと言われますが、しかし、立法過程を考えるとそうとばかりもいえないように思います。

  それぞれの規定が実際にどういう機能を果たすことになるのか、という点について、立法過程において完全なコンセンサスがとれての話であれば、緻密な規定も適切でしょう。しかし、実際はそういうわけではないところに問題があると思うのです。つまり、利害関係者の政治力と官僚の緻密な作業で条文は出来るけれども、でもそれは、議論の末に全国民にとって受け入れられるものであるということで成立しているわけではなく、単に細かいところまで作っているだけ、のように思えてならないのです。むしろ、あるべき三権分立の観点からは、真に意見一致が取れるような抽象的な規範だけを立法し、後は法解釈にゆだねる、というのが正しい姿のように思うのです。これは、著作権法については30条関係で特に強く思っているのですが、この中古品売買と頒布権をめぐる話についても、かなりあてはまるところがあるもののように感じます。

  2001年12月18日  生海苔異物除去機事件の審決

  生海苔異物除去機事件で、元被告などから無効審判請求がなされていたのですが(元被告といっても、差止の方は既に確定したものの、損害賠償請求のケースが係属しているのでその点では現在も被告なのですが)、この件について審決が下されました。当然ながら、請求排斥・特許権維持、の結論でした。ここにOCRしたものを掲載しておきます。

  こういうケースに直面して改めて思うのですが(これはもちろんこのケースでの私の立場によっている面もあります)、特許を有効として侵害とする結論、は、いつまでたっても本当の意味で確定はしないわけで、これは不思議な制度です。本件では、差止請求訴訟は既に確定しているのですが、仮に無効審決が出て確定すると、民訴法が「第338条(再審の事由)/次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。(中略)八 判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと。」と規定するところ、「基礎となった〜行政処分が後の〜行政処分により変更された」に該当するものとされ再審の可能性があるわけですね。そういう意味で、無効審決の可能性が残っている以上は、いつまでも、本当には“確定”しないわけです。

  このケースでは、既に高裁も無効主張について検討しており、そのうえで差止請求認容の判決を下しています。ですから、今さら無効とされるわけはないと思うのです。それなのに手続き的な可能性だけが残っている状況というのは、適切なのでしょうか。

  被告の立場では、高裁の判断は明白無効ではないとしたにとどまる、とか、別の証拠の可能性もある、とかいろいろ言いたいことはあるでしょうが、事の実質としては、単に、実際上はあり得ない可能性を追及しているだけ、と思われます。本当は無効な特許を有効なものにしてしまうのはおかしいということで、無効審判がいつまでも請求できるというのはもっともな話ですが、しかし、紛争解決という民訴の機能を考えるときには、“或るところで最終的な決着をつける”という法制度でないとおかしいように思います。現状の民訴法および特許法では、そういう仕組みになっていません。

  こういう、いつまでも“本当には未確定”の状況というのは、特許訴訟以外にはないように思います。民訴法の再審の規定(338条)を見ると、上記で引用した8号以外は、確定判決の訴訟手続き自体に問題があった場合ばかりです。そして、8号の中でも、普通の行政処分についてであれば、出訴期間の制限が設けられていますから、いつまでも再審の可能性があるということにはなりません。この特許の場合だけが、問題の無い手続きによる確定判決が、再審によって覆る可能性がいつまでも残るのです。もちろん、実質的には覆る可能性はないわけですが、そういうものを手続き的可能性としてだけ残すということでは、ますます無意味で問題だけがあるように思います。

  付言。こういう勝ったケースでないと、ご紹介を書くのはやりにくいですね。もっとも、負けたケースもそのうちには掲載しておこうと思っているのですが。近ごろすっかりアップデートをさぼっていたのは、別に負けたケースばかりだったというのが原因というわけではないのですが(しかし、確かに最近負けたのが続いたので、それも一因かもしれませんね、今考えてみると)、負けたケースだとわざわざそれを知らしめるのは自分でもちょっと気持ち悪いのに加えて依頼者の方でもご希望に適わないことがありそうです。

  2001年5月23日(25日にちょっと加筆修正、6月26日に4件目と修正)  最判以後、均等侵害を認めた4件目のケース

  先ほど最高裁の頁を覗いたところ、東京地裁で、均等侵害を肯定したケースが出ていました。◆H13. 5.22 東京地裁 平成12(ワ)3157 そのコピー

  ざっと見たところだと、「構成要件E,H及びIを文言上充足しない」などと、それなりに相違の見られる被告装置について、大胆にも侵害を認めたのか、とも思いましたが、もう少し読んだところだと、そうは言っても内容的には実につまらない変更をしているだけのようではあります(図面がないので本当にはよく分からないんですが)。すなわち、クレームが少々細かく書きすぎていたんですね。均等侵害認められるべき場合というのは、必ずそういうものではありますが。

  興味深く思ったのは、次のくだりです:

(前記のとおり,被告製品の各貫通孔に設けられた切り欠きは,付加的構成であるから,その構成容易性は,本件発明との間での均等の成否を判断するに当たっての容易想到性の判断には影響しない。)

  もっともな話ですが、この類型の問題は、難しい場合があるように感じています。付加的構成だと当然に割り切るべき場合もありますが(本件は事実そうだったのだとは思います)、相違部分自体が容易でないというのと、どう切り分けられるのか、難しい場合もありそうです。場合によっては、なんで「容易」が要件となっているのか、実はそれは不要なのではないか、などと思うこともあるのですが(t-PAの大阪高裁の判決だと、容易を要件としないのだと実質同一の話になってしまう、均等というのは容易を要件とするのだ、といった説示がされていましたが)、“付加的構成”というのをどんどん進めていくと、容易の要件が空洞化していく可能性も感じます。

  なお、この事件は請求認容とは言っても、僅か151万2930円なんですね。そもそもの請求額も金189万1162円の金銭請求だけです。もしかすると、訴訟には直接にはあがっていない実施などがあって、双方譲れないものが背景にはある可能性もありますが、もしも本当にこの事件規模だとすると、経済合理的に言って、十分な労力を投入するのには無理がある事件だと思いました。

  2001年4月23日(6月1日に少し改訂)  均等侵害を認めた注射器事件、控訴棄却

  先週(2001年4月19日)、ボールスプライン事件最判以降で初めて均等侵害を認めた、大阪の注射器事件の控訴審判決がやっと出ました。最高裁のページそのコピー 実際、これは「やっと」というのがとてもふさわしいですよね。広く関心を持たれていた事件で、結審したとの話をだいぶ前に聞いたのに、なかなか判決が出ないで居ましたから(私はこの間、知財判決速報の大阪高裁のページを、このケースの判決を見るために、実に頻繁に訪れていました)。この判決書中にも「当審口頭弁論終結日 平成一二年一〇月三〇日」とありますから、結審から判決までに半年近くもかかっているわけで、多少とも変則的だと思います。また、一審判決は平成11年5月ですから(ペン型注射器事件についてのコメント参照)、地裁で十分な審理をした事件としては、高裁の審理は短くないと思います。

  で、結論は原審維持で、内容的にも概ね原審を踏襲しています。装置クレームの方は非侵害で、方法クレームの方を「ネジ機構」をそのまま広く解釈した上で、「ほぼ垂直」について均等侵害としました。

  印象としては、原審判決よりもさらにクリアに、「多室シリンダアンプル」と「ネジ機構」とを「結合」したところが発明なのだ、としています。それなら、「ほぼ垂直」以外の点で方法クレームに該当するというのはもっともですし、「ほぼ垂直」はいかにも均等を認めて良さそうな要件ではあります(もっとも、控訴審ではこの点に関して機能についてかなりの議論がなされたようですが)。そして、先行技術として両方を備えたものは無いようですので、こういう発明の把握も有り得るのかも知れません。

  しかし、それぞれの先行技術は存在するとのことですから、前者を前提として、それに「ネジ機構」を単に付け加えただけ、というもので果たして特許性が認められて良いのか、疑問を感じます。

  この関係では、判決は、「被告は、被告方法と本件方法発明とが一致する点については、本件優先日において周知の多室シリンダアンプル(乙二二の4、5)に、同じく周知のネジ機構による前進構成(乙六ないし九、二五の1、三九、四〇)を寄せ集めたものにすぎず、本件優先日において、当業者が極めて容易に推考できたものであると主張する。/ しかし、これらの公知技術を組み合わせることを示唆するものが当時存したことを窺わせる証拠はなく、これらを組み合わせることが容易に推考できたと認めるに足りない。そして、被告方法については、本件特許発明の方法を得ない限り、公知技術から容易に推考できたと認めることはできない。」と言っています。

  この記述は、「ほぼ垂直」の関係での均等侵害の検討での、非公知技術容易推考、の要件についてのものです。そういう場面での話としては、この指摘ももっともな所もあるとは思います。「ほぼ垂直」でないなら公知技術に近い、というものではまったくないからです。

  しかし、そもそもの特許性の話でも(少なくとも表面上は)同じ問題が出てくるわけですが、その際にこのように言えるのでしょうか? この「結合」ないし「組み合わせ」は、いかにも当たり前の寄せ集めのように、私には思われます。多室シリンダアンプルが既にあるところへ、ネジ機構を使う、ということが、ただそれだけで特許になる発明なのでしょうか? それで静かに押せるようにはなるでしょうが、それはネジ機構を使ったら当たり前の話に過ぎません。ネジ機構を使った注射器までも既存だというのですから、それで一体どこが発明だというのか、疑問です。ネジ機構を応用するなど当たり前の話であって、それを「組み合わせることを示唆するもの」が特に必要とは到底思われません。この判示には反対です。

  でも、そうは言っても、この事件で悩ましいと思うのは、被告のやっていることが、先行技術自体であるとか、それに近いとか言うわけでもないところだと思います。「ほぼ垂直」の点もそうですが、発明のエッセンスではいかにもなさそうなところについて、しかも先行技術の通りになっているとか言うわけでもなく、独自に少しだけ違っている、そういう被告製品のようです。こういう場合には、非侵害というのも落ち着きが悪いというのも理解できる所もあります。しかし結論的には、この“発明”は極めて無内容であり(発明と言うのをはばかられるほどに)、これで侵害というのはおかしいと思います。

  もう1点、なんとも腑に落ちないことがあります。発明のエッセンスがこうした「組み合わせ」ないし「結合」だというなら、なんでそれを表現したのが方法クレームなのか、不思議です。

  2001年4月16日  均等侵害を認めた生海苔の異物除去機事件が確定

  生海苔の異物除去機特許の侵害事件について、上告受理の申立がなされていたのですが、平成13年4月11日付けで「受理しない」との決定が下されました。これで、均等侵害を認めた判決が確定しました。

桜

  2001年4月3日  今年の桜

  右の写真は、今朝の当事務所の前の通りです。今年の桜は、咲き始めがかなり早くて、これでは4月にならないうちに散ってしまうかも、……とまで思ったのですが、先週後半が寒かったために(雪まで降ってのには驚きました)、なんとか持ちました。

  昨年も、丁度本日4月3日に、桜の写真を掲載してたんですね(昨年の駄文)。でも昨年は、4月3日で「桜がほころび始めました」なんて言っていますから、やっぱり少々違います。

  2001年3月26日  社債債務の簿外化が特許?

  先週の木曜日(2001年3月22日)の日経新聞に、「東芝、社債債務を簿外化 / 今期200億円 特別目的会社を活用」という記事がありました(朝刊の16頁)。なんでも、過去に発行した社債の債務について、連結の対象の外に設立した特別目的会社を債務者とすることで、東芝の連結貸借対照表から会計上の債務を消滅させる、という話です。

  よく分からないのは、「興銀はこの手法をビジネスモデル特許として出願した。」との説明があることです。東芝が「興銀に新手法の開発を依頼していた。」とのことで、新規に開発? されたやり方のようです。しかし、この手法のどこが発明だというのでしょうか? 謎です。連結対象外の会社(特別目的会社)が、社債の債務者となり、それが会計上も認められるというなら、本体の方が社債の債務者ではないような会計表示になるというのは当然の話で、それ自体が発明とは思われません。「日本公認会計士協会の方針変更で可能になった措置」との説明もあることからいっても、もっぱら会計だけの問題であり、発明が成立する余地がありそうには思われません。

  そもそも、会計の点でもよく分からない話でもあります。償還の原資は、東芝がこの特別目的会社に支払いをすることはかわらず、また東芝自身も第二次債務を継続して負うということで、経済実態は余り(いや、まったく? )変化無く、まただからこそ実行可能という話のようです。それで何で会計上は、違いを生じさせるのか、疑問です。さらに、償還原資を払う以上はその債務は東芝本体の負担であるには違いはなく、これでどういう違いが生ずるというのか、不思議です。「社債」の債務は減るから、そこに意味があるのか? つまらん話だと思うのは、私が経済を知らないからなのか?

  2001年2月16日  アマゾンのワンクリック特許、CAFCで逆転

  Amazon v BN のワンクリック特許を巡る事件で、CAFCは2001年2月14日、preliminary injunction を認めていた地裁判決を破棄して差し戻しました。特許の有効性に疑問があり、preliminary injunction は認められない、との判旨です。Fest のケースや(2000年11月29日、そのコピー)、Littonn v Honeywll(2001年2月5日、そのコピー)に続いて、CAFCがプロパテントばかりではない(or なくなってきている)ことを示す象徴的事件かも知れません。

  ここにCAFCの判決文を載せておきます。CAFCの公式ページからダウンロードしたワードファイルを変換したものです。私も日経新聞の記事で見てそれからインターネットを探したのですが、なぜか、ジョージタウン大やエモリー大の頁には未だ掲載されていませんでした。(3月26日追記: 弁理士の藤野先生からのメールで、私のところで変換したこのファイルには、記載がおかしくなっているところが何か所かあることに気が付きました。MS Word97日本語版で変換したのですが、どうもそれのバグのようです。日本語版でこの英語ファイルを扱うと、フォントについて余計な操作をしたりするようで、そのプロセスで誤表記を生じさせるようです。さほど大したことではないので、そのままおいておきますが。藤野先生、御連絡ありがとうございました。)

  この事件、担当パネルが、CLEVENGER, GAJARSA and LINN なんですね。前2者は、CAFCの中では、明らかにプロパテントではない人たちのようです(もっともなことを言っていると私は思いますが)。リットンの最高裁からの差戻後の決定(大法廷で審理せずに地裁に差し戻す旨)の際に、補正されたエレメントなので均等侵害はあり得ないとの少数意見を出していた人たちですから(PLAGER も少数意見ですが、この時点では必ずしも方向はハッキリしていませんから、CLEVENGER と GAJARSA こそが、筋金入りの厳格説と言えそうです)。そういう意味では、どういう構成のパネルに当たるかで、ずいぶんと方向が変わってしまうというCAFCの状況は変わっていないようですが、それでも、GAJARSA などの議論が力を得てきている、という情勢に見えますね。

  2001年2月13日  最近のインクジェットプリンタ(与太話です)

  自宅のファクシミリの具合いが悪くなったので(送信の際の紙送りがうまくできないうえに、そもそもがきれいに読み取れない)、新しく買いました。カラープリンターとファクスが兼用になっている、ブラザーのMFC7400Jという機械です。スキャナーやコピーとしても使えます。

  これで思ったことが2つあります。まず1つ目は、この機械、プリンターの仕組みはインクジェットなのですが、スペックとしては非常に高速です。毎分12枚。これまで使っていた自宅のレーザープリンターよりも、このスペックは上です(2倍!)。実際、ウソではなくて、そのスピードでの印刷もできるのですが、実はこのスピードはドラフトモードの場合だけであり、それでの印刷はかなり文字がかすれたりにじんだりしていて少々お粗末です。

  やはり、満足できるきれいな印刷をするとなると、レーザープリンターよりもはるかに遅いです。結論:文字を印刷するにはレーザープリンターに限る。

  2つ目は、この機械はカラープリンターとしての機能もあり、それなりにきれいに印刷ができるのですが、インクカートリッジが4色バラバラになっているのです(黒を含む4色)。この、インクがばらばらというのは、良いようでいて、実は面倒臭いですね。どれかの色だけが早く無くなった場合のためには、こうしてカートリッジが分かれていた方が合理的です。しかしながら、実際にはかなり平等にインクを使うようです。つい先日、インクが切れたのですが、各色ほとんど同時でした。そうすると、次々とインク交換をしなければならず、面倒臭いったらないです。

  オフィスにおいてあるプリンターは、エプソンのもので(PM-2000C)、6色インクです。5色のカラーインクは一体で、黒インクだけが別です。これだと、どれか1つの色が無くなっただけで交換をしなければならず、不合理ではありますが、もしもバラバラだと、交換が面倒くさくて仕方がないだろうな、と気が付かされました。結論:エプソンの判断は正しい。

   (2002年2月7日追記: その後、エプソンも独立型の上位機種を出してしまいましたので、判断、というわけでもなかったようです。この新型機種、独立型になっている点について紹介記事ではたいてい好意的に書かれていますが、私にはどうも使いよさそうに思えません。)

  2001年2月10日  導光装置事件(均等侵害否定の事例)

  先日から、弁理士会中央研究所の均等侵害研究会に参加させていただいております。前回は、三山先生のレポートにより、導光装置の特許についてのケース(H12. 3.23 東京高裁、ここにコピーを置いておきます)を検討しました。このケースでは、「全反射」の要件が問題となって、文言侵害が否定され、均等侵害が検討されたうえでやはり否定されました。

  被告装置の場合には、全反射を利用してはおらず、透明プラスチックの上にアルミニウムが蒸着してあって、そこでの鏡面反射が利用されています。この点で明確に違う、とも言えるわけですが、反射させるという点ではいかにも共通しているので、原告の主張にももっともな点があるように見えてもきます。

  しかし、事案をよく見て、本来の発明内容を考えると、これで侵害と言えるわけがないと思いました。特許発明のように光を導く装置は、先行技術としていろいろあるんですね。それらの中で特許発明がそれなりに特徴的なのは、導光部分(キャップ)が透明プラスチックで出来ていて、しかも部分全体として透明に出来ているので、方向がずれた光が少し漏れ出て、それによって照明の仕方が適切にバランスがとれる、さらには横から観察部位を覗き込むことが容易にできて、どこを観察しているのか狙いがつけやすい、という点に特徴があると思われます。

  そういう意味では、透明な部材で全体として透明に出来ているというところに特徴があります。これに対して、被告装置は、これを全く実現していません。光が通過する部分は透明ですが、その上に金属を蒸着してしまっているので(さらにはその外側に金属製の筒が設けられている)、そこで不透明になっており、光が漏れ出てきたりはせず、また横からのぞき込むこともできません。これでは侵害になりようがありません。

  ところが、クレームの言葉との関係でこの点を重要視しての非侵害の議論というのは、いかにも難しいんですね。特許庁での検討の場面では、随所で、キャップ全体が透明であることを前提とした議論がされているように見えますが(例えばオリンパスの先行公開公報に対して、鏡筒が透明でないということを云っています)、クレームに書いてあることとしては、「透明材料」と「全反射」しかないんですね。そうすると、被告製品の場合でも、一応は透明プラスチックで出来ていて、その上に蒸着膜や金属製の筒があるものなので、クレームの要件を満たした上でプラスαがあるに過ぎない、ということになってしまいます。この解釈は、内容的には正しくないと思うのですが、でも確かに、クレームの要件は満たしているという議論の方が通りやすいです。ほんとはここは、少なくとも審査経過との関係などから考えれば、全体として透明であるというのが要件として規定されているものと解釈するのが正しいように思うのですが、そこまで読み込むのは、クレームの言葉を超えての縮小解釈になってしまい、確かに難しくやりにくいところが残るわけです。

  結局は、「全反射」を問題として非侵害になったわけですが、この処置は、「反射」を中心として考えると、ちょっとヘンですけれど、「全反射」の意義を考えれば、これでも良いのでしょう。本件発明が、上記のような意味での透明キャップでも、導光装置としての機能を果たせるのは、全反射を利用すればこそです。鏡面反射を利用したのでは、キャップ全体を透明にすることはできません。そういう所まで考えると、「全反射」はクレームの中で結構勘所であり、またそういう意味での「全反射」であって見れば、鏡面反射では非侵害というのは当然です。このような判断をしているものだと考えれば、やや姑息な部分があるようには感じますが、本件の結論は全く妥当だと思いました。

  それにしても、均等侵害の主張されている事案の多くは、発明の実質的な内容を考えれば、侵害であるハズのないようなものが多いと思います。さらには、どこが発明なのか、どうして特許が成立しているのか、疑問なものも多くあります。それなのに、文言を越えて均等侵害を主張するなんて、欲張りにも程がある、と言いたくなるような。本件は、後者に当たるまでの事案ではなく、未だましな方ですが、侵害であるはずがない、と思いました。

  2001年1月18日  米国大統領選挙と裁判所、その3

  今更ですが、書きかけたので掲載しておきます。米大統領選挙をめぐる紛争で、裁判所が全員一致ではない判決を下していたことについての、毎日新聞の報道が、繰り返し奇妙でした。

  たとえば、毎日新聞の社説(00年12月10日)に、次のようにあります:

「州最高裁そのものが全員一致の伝統を冒して「4対3」の分裂判決に至ったことが一つ。また両陣営の評価も「民主主義の勝利」(ゴア陣営)と「民主主義にとって悲しむべき事態」(ブッシュ陣営)と、民主主義に関して正反する評価を下しているのは象徴的でさえある。反対意見の中でウェルズ州最高裁長官は「長引く司法手続きは国家と州に憲政の危機をもたらし、州最高裁(の正統性)にも実質的害を与えかねない」と、異例の強い表現で多数派の主張を批判している。」
他の記事でも、毎日新聞では繰り返し同様の書き方がされていました。

  しかし、米国の判決に少数意見が付されているのは、ごく普通のことのハズです。特に、近時の連邦最高裁のメンバーの党派的な対立は、周知の事実です。たとえば、CNNのこの記事にも、In issuing the stay, the U.S. Supreme Court split along familiar lines, with Chief Justice William Rehnquist and justices Clarence Thomas, Sandra Day O'Connor, Antonin Scalia and Anthony Kennedy concurring and justices John Paul Stevens , David H. Souter, Ruth Bader Ginsburg and Steven Breyer dissenting. と書いてあります。「split along familiar lines」と言うほどに、分裂するのが常態になっているんです。

  うちではこのところは日経新聞と毎日新聞を取っていて、例の旧石器捏造のケースの報道など、毎日新聞も元気が出てきているのかな、と思って読んでいましたが、以上は、疑問のあることもある、というお話でした。

  2000年12月7日  米国大統領選挙と裁判所、その2

  連邦最高裁の2000年12月4日付け判決 では、やや意外にも、連邦最高裁が事件を取り上げ、フロリダ州最高裁に差戻しました。この事件は、曲がりなりにも州法についての争いであることからすると、連邦最高裁が取り上げたのは意外です。特に、近時のセミノール事件のように、州の独立性を、非常に強く認めている連邦最高裁の判例からすると、本件を取り上げるというのは、余り理屈が通っていないように思われます。

  しかし、後知恵で考えてみれば、こういう結論が出るのも不思議ではありませんね。セミノール事件判決の結論は、理論的と言うよりは、州を訴えることに対しての拒絶反応のような感情的なもので下されているとしか思えませんから、今度はその人たちが、理屈は貫徹しないが、共和党のブッシュを支持する方向を取る、というのもあり得るわけですね。逆に、セミノール事件などで少数意見を書いている人たちは、もう少し理論的ですから(民主党あるいはゴア支持とか言うよりも、という意味)、本件のように、州法が問題となるとはいえ、元々が「連邦の」大統領を選出するプロセスの問題であるということを考えれば、当然に連邦法が問題となり、また連邦裁判所が出てくる場面があり得る、少なくとも州の裁判所が登場するなら連邦裁判所が出てきてもおかしくない、...そういう風に考えるのでしょう。判決書を見ると、確かに連邦法に基づいて州法が出て来るという構図が的確に指摘されており、これを読むと、連邦最高裁が登場するのも当然とも見えてきます。

  それにしても、一連の議論についての報道は、極めて膨大なものがあり、確かに、透明な手続が目指されている、と言えるように思います。混乱してはいますが。たとえば、ここには最高裁での口頭審理の速記録も出ているくらいで、何でもレビューすることが出来ます。こうしたことも、日本の裁判手続では、残念ながら実現できていないように思います。

  日本の裁判所が情報公開に必ずしも積極的でないのには、プライバシーの問題があるという話も聞きます。確かにそういう問題もあるのでしょう。確かに、日本の裁判の実状としてそういう個人的な問題というのが、目立っているようには思います。でもそれだけを前提として、公開に消極的となるのでは、何が重要なのかについて見誤っていることにもなりかねないように思います。議論の内容と判断プロセスを公開することは、司法手続きにとって、最重要とさえ言えるように思われます。それがあって初めて、社会の支持を取り付けることが出来るようになる、司法手続というものの価値の根元がそこにあるのではないか、とすら思います。

  2000年12月4日  米国大統領選挙と裁判所

  米国大統領選挙のフロリダ州における開票をめぐっては、40件以上もの訴訟が提起されていると報道されています。フロリダ州最高裁が開票結果の集計期日の延期を決めたのに対しては、ブッシュ陣営が連邦最高裁へ上訴し、これに対して、早速12月1日に、連邦最高裁での口頭審理が開かれた、とのことでした。

  こうしたやりとりを見ていて、日米の裁判所の間の相違を非常に強く感じます。特に、最高裁の積極性があまりにも違うように思います。

  大統領選挙の直前に、日本の最高裁が、衆議院選挙の無効を主張していた訴訟について、訴え却下の判決を下しました。既に衆議院が解散されたので訴えの利益が無くなった、と言う内容です。この案件は、結論的には請求が認められなくても不思議ではない事案ではありましたが、しかし、解散されるまでに判決を下さなければいけないと思います。当たり前の話ですが。同様に思い出されるのは、田中角栄元首相の収賄事件が、彼が死去するまで最高裁判決が下されなかったことです(死去後に公訴棄却になった)。死ぬのを待っていたとしか思えませんでした。

  これに対して米国の各裁判所は、実に迅速にその権限を行使しているように見えます。最終結論はまだ出ていませんし、また今までに出された各判決にもいろいろと問題はあるようではありますが、それにしても、日本の最高裁のようなことにはまったくなっていないようです。連邦最高裁も、重要であるからこそ、その権限を積極的に行使するという、或る意味で大変にもっともなことをしています。日本の裁判所も、ぜひ見習う必要があると思います。大きな組織の中のことで、また歴史があってのことであり、そう簡単に変えられることとは思えませんが、それにしても、解散や死去を待つようなことは、今後は無くしていただきたいものです。

  ついでに一言。今回の米国の訴訟で、非常におもしろく思っているのは、主張の方向が、入れ替わっている点です。共和党のブッシュ陣営は連邦最高裁において、フロリダ州最高裁の判断に対して、連邦法違反であるという方向の議論をしており、民主党のゴアはこれに反対しています。一般的な立場としては、しかし、共和党の方こそが州の権限を尊重する立場であり、民主党の方が連邦権限の強化を主張するものなんですねぇ。非常に皮肉なことになっているように思います。最高裁の結論は、微妙な分岐になりそうですが、セミノール事件(この事件がまたフロリダ州を舞台としていたことも不思議な巡り合わせです)の判決などからすれば、この件で連邦最高裁が介入するべきとはとても思われません。私にはセミノール事件判決(州の独立性を過剰に認めた判決)があまりにも保守反動的でおかしな判決だったようには思われるのですが、それを下していたのは、保守派(=共和党寄り)の最高裁判事たちであったわけで、今回、各裁判官が一体どういう理屈を付けてどちら側に付くのか、非常に興味深く思われます。

  皮肉と言えば、さらにそもそも、情報ハイウェイなんてものを推進してハイテク賛美の立場を取っているはずのゴアが、手集計を求めている、という構図自体が非常に皮肉ですね。

  2000年12月1日  燒結金属工業事件のCAFC大法廷判決

  燒結金属工業事件のCAFC大法廷判決が、2000年11月29日付けでやっと下されました。米国特許業界の、本年最重要裁判例でしょう。私も未だ殆ど読んでないのですが、どうやら、包袋禁反言をかなり厳しく認める(=特許権者に厳しい)判決となったようです。これは、WJ-HD最高裁判決の本来の意義に沿ったものと理解されますが、CAFCの判決としては、必ずしも予想されたものではないように思います。

  フェデラルサーキットのパネルのこれまでの判決では、むしろ、包袋禁反言から逃れる余地を相当に認めているものが目立っていたように思います。特許性を理由としての補正であっても、その先行技術とは違う被疑品との関係では、均等侵害の可能性を尚認める、といった議論ですね。人数的には、そっちの方がむしろ多いかとも思っていました。仮にそういうCAFC大法廷判決だと、それがまた最高裁で逆転されて、混迷が続く、とも想像していました(傍目では、そっちの方が面白い; 大統領選挙と同じで)。

 実際には、そうではない結論が出たようです。包袋禁反言が改めて重要になったということは、まず、被告側となることを考えると、均等侵害が無限定になってしまうのに対しての、一つの歯止めがかかることになります。また、出願実務については、余り補正をしないで済むような出願プラクティスをするべきになった、とも想像されます。.... これ以上は、判決文を良く読んでからにします。

  2000年10月26日  生海苔異物除去機特許侵害事件控訴審判決

  控訴審判決が出ました。原審維持です。均等侵害の点については、完全に原審判決の通りとしており、控訴審判決書が自身で判示しているのは、控訴審で主張されていた遠心力利用の点だけです(控訴人は、均等の要件たる作用効果同一を争う趣旨で、遠心力利用分離が無いと主張していたが、それが排斥された)

  判決文のイメージを掲載しておきます。ここにドキュワークスファイルをおきます。ドキュワークスのリーダーソフトは、この富士ゼロックスのページからダウンロードしてください(インデックスの4番目から、ダウンロードのページがリンクされていて、その中に閲覧用ソフト(docu-works light)があります。)。OCRはさぼります。すぐに最高裁の頁に掲載されるでしょうから。

10月29日追記 早速、最高裁の頁にも掲載されました。そのファイルをここにコピーしておきます。

  2000年8月25日  ソフトウェア特許の侵害訴訟判決2件

  日本のソフトウェア特許の侵害訴訟の判決2件が目に付いたので、メモしておきます。

  東京地判 H12.07.18.(アッセ対マイクロソフト)(既に少し以前になってしまいました)、文字を弓形にレイアウトするという機能を持ったソフトが対象となっている特許です。被告の「MSワード」でも、簡単に言えば同様の機能があるので、しかも特許のクレームには、レイアウトを指定する手順などが規定されているだけで、実現のための詳細な内容が規定されているわけではありません。途中まで読んだ際には、これだと侵害になってしまうのではないか、しかし、大した発明だと思われず、これで侵害というのは、ちょっとひどいのではないか(もしも侵害なら)、というような感想を最初には持ちました。

  判決は、しかし、ワードの機能とクレームとを厳格に対比して、侵害を否定しました。なるほどもっともな判決、と思います。

  もう一つは、だいぶ古いですが、東京地判 H12.04.10 です。こちらは、なんとも簡単な判決文です。何しろこの判決は、

| 三 裁判所の判断
| 本件全証拠によるも、請求原因事実を認めることはできない。
| よって、原告の請求は理由がないので、主文のとおり判決する。
としか言っていないのです。この特許は、ソフトウェア特許のはしりとして話題になったイエスの特許(特許第1544525号、発明の名称・財務、在庫等の管理のための装置)を行使したものなのですが、原告は、この特許を譲り受けた個人で、その人の本人訴訟なので、かなりひどい主張だったのだと思います。しかしそれにしても、あまりに簡潔な判決文で、批評する立場としては残念です。

  2000年8月17日  「任意的当事者系再審査」をアップ

  「任意的当事者系再審査」を掲載しました。米国の1999年改正法で新設された制度についての概説です。

  2000年8月16日  「円谷プロ事件一審判決評釈」をアップ

  「円谷プロ事件一審判決評釈」をアップしました。判例時報1700号(判例評論)に掲載されたものです。

  2000年8月15日  「ビジネスモデル特許の問題点」をアップ

  「ビジネスモデル特許の問題点」をアップしました。中央経済社の『旬刊経理情報』2000年8月1日号(2000年7月18日発売、ただし定期購読のみらしい)の「クローズアップ」というコーナーに掲載されたものです。

  商業誌に掲載していただいたものにしては早くにアップしてしまいますが、『経理情報』と本ページとでは、読者がまったく重なっていないと思われますので、掲載させていただきます。北大の田村先生に、この文章の話をしたら、“そんなところに書かないでくださいよ、探す労力が大変ではないですか”と言われました。確かにちょっと場違いなところに書いてしまったような気もします。

  本日は、私の電脳環境などの改訂もしました。

  2000年8月14日  北大でのシンポ、侵害訴訟での無効判断

  侵害訴訟での無効判断をアップしました。本年(2000年)7月27日に北大でのシンポジウムでスピーチをした際の準備メモに若干の加筆をしたものです。

  侵害訴訟での無効判断について、米国の歴史を考察して、そこからTI事件最判以降の問題を考えよう、という話です。

  2000年8月13日  不正競争防止法Q&A

  不正競争防止法Q&A(1994年)をアップしました。法改正当時のQ&A本のうちの私の執筆部分です。今頃になってなんですが、参考までにアップしておきます。

  なんとも久しぶりのウェブページ更新になってしまいました。反省。

  2000年4月14日  最近の裁判例(TIx富士通)

  4月11日のTIx富士通の最判(最高裁のサイトへのリンク)は、新聞各紙にも取り上げられ、これは画期的な最判なのだ、と思い直しましたが、実は、最初はあんまりそう思いませんでした。権利濫用となり得るのは、当たり前のような気がして。

  もともとは、この件の高裁判決は、それなりに目立った(異端とは言わないにしても)裁判例だと思っていたのに、このところは、権利濫用があり得るのは当然、という感覚になっていました。というのは、私が出させていただいていた研究会のせいもあるのですが、それに加えて、下級審で既にいくつか出ていたからです。大阪地裁平成11年9月2日(最高裁のもののコピーです)など。

  でも、多数説かどうかは難しいところで、人によって認識がずいぶん違っていたように思います。実務的にも、裁判官によってばらつきが出かねない状況だったように感じています。ですから、今回の最判は、ばらつきを収束する意味があり、やはり大きな意義のある判決ですね。でも、「明らか」というのをどういうふうに扱っていくのか、非常に難しいように思います。

  また、最判の論旨には、その肝心の所よりも細かい話ですが(無関係ではないですが)、疑問な点があるので、ちょっと一言。この最判の論旨は、一見分かりやすいですが、なんか変な気がしました。良く検討してはないのですが。

  高裁判決(東京高裁平成9年9月10日)は、内容が同じだから分割が違法であり、出願日が遡及しないので、新法によることになるから権利期間が満了、また原出願との関係での特許法39条1項でも無効、というのをメインにしていました。原出願が特許されなかったことから見ても、〜というのもおまけで言ってはいますが。

  それが最判では、原審の判断のまとめのところでも、この“新法によることになるから権利期間が満了”というのが見あたらず、専ら、39条1項と、同内容の原出願が不成立(進歩性無しで)だから本件も無効が明らか、とやっていますね。でも、不成立である原出願と内容が同じでも、それは原出願についての審査が間違っている、というのがあり得るわけで、無効の理由としては適切ではないように思います。もともとの高裁の論旨の方が良いように思います。

  なぜ、現実の高裁のような論旨にしなかったのでしょうか? それだと、手続き技術的になってしまって「明らか」というのに相応しくない、という考えでもあるのでしょうか?

(2000年8月13日追記、上記は考えが足りなかったようです、すいません) 最高裁の考えでは、期間満了は、39条1項違反に比べると、要件が余分なだけで、それでいて無効の効果については最初からではないので不十分で、わざわざ取り上げる必要がない、ということなのかも知れません。また、それでは高裁は余分なことをやっていたかと言えば、39条1項で無効となるかどうかは、原出願が成立していないために議論となっているので(ダメそうな主張ではあるが、とにかくTIはこの点を争っている)、高裁の立場としては駄目押し的にも必要となる、ということと理解できました。

桜

  2000年4月3日  

  オフィスのビルの前の通りの桜がほころび始めました。さっき撮影した写真を右にアップしました。お堀の向こう側の方が(これがその写真です)、少しだけですが早いようです。

  2000年3月24日  均等侵害肯定のケースへのコメント

  昨日ご報告した均等侵害肯定のケースの判決文が、最高裁のページの知財判決速報の中の、ここに「H12. 3.23 東京地裁 H10(ワ)11453 生海苔の異物分離除去装置特許」として載りました。2ヶ月で消されてしまうので、ここにコピーを置いておきます。この速報は、始まった当時は殆ど即日に掲載されていた物が、このところは掲載が若干は遅れることがあったので(もしかすると、外字を直したりするのに手間取っているのでしょうか? )、今週中に間に合うかどうか、と思っていたのですが、間に合いましたね。

  このケースについて、もう一言書いておきます。

  本件は、発明の実質というか、先行技術との関係をよく考えるなら、侵害というしかない事案ではあります(特に私の立場からはそう見えるのは当然ですが)。しかしそれでも、クレームの文言だけを見るなら、そこからは外れるという議論があり得るものではあります(事実、判決は文言侵害に関してはそういう結論を取りました)。そうしてみると、侵害被疑者の立場に立って考えれば、これが侵害であるかどうかを検討するのは、確かにかなり結構難しい問題です。ボールスプライン事件最高裁判決が出たときに言われたことですが、侵害の成否についての鑑定が、以前に比べて難しくなった、ということを改めて実感させられます。

  ボールスプライン事件最高裁判決により、均等侵害が認められる可能性は確かに肯定されたはずでしたが、実際に均等侵害を肯定するケースは、なかなか出ませんでした。私が見たものだけでも、東京地裁において、4件で、均等侵害が否定されています(大阪の、注射器のケースでは均等侵害が肯定されましたが、このケースにおける判断はかなり疑問なところがいろいろとあります; ペン型注射器事件についてで書いたとおりです)。しかしこれらはいずれも、本件に比べると、発明の内容が、均等侵害を肯定するにはいかにも不十分なものであったように思います。

  本件判決は、発明内容が、均等侵害にふさわしいだけのものでありさえすれば、裁判所はそれを十分に認めるということを実証した例であると感じています。しかも、アップル対ソーテックのケースなどで強く感じられましたが、このところ知財事件の審理が非常に速くなっています。そうしてみると、日本での知的財産権訴訟は、従来に比べて、原告にとって有利な面が大きくなってきている、と思います。これは同時に、特許権などの知的財産権の実効性が高まっているということでもあります。

  参考になるかと思うので、訴状・答弁書・全準備書面をアップしておきます。被告の分は、私がOCRしたものです。

  2000年3月23日  均等侵害肯定のケース

  均等侵害を肯定する判決を先ほど受け取りました。東京地裁民事46部(三村裁判長)担当の事件で、東京地裁で(ボールスプライン事件最判以降に)均等侵害が肯定された初めてのケースではないかと思っています。

  当方の発明は、海苔(乾燥してシート状にする前の、塩水と混合された状態のもの)から異物を除去するという装置にかかるもので、海苔を極めて細いスリットを通過させることによってこれを実現します(スリットを通れないような異物を除去する)。本件発明の勘所は、この際のスリットとして、回転板の周辺と底板との間の環状のスリットを使う、というところにあります。回転板が回転する関係で、このスリットには動きがあることになり、そのためにスリットを相当に狭くしても海苔は通過していきます。

  クレームでは、この構造を、回転板を「内周縁内に」「クリアランスを介して内嵌め」するなどと表現していたところ、被告装置の方では、多少の立体性を設けて、回転板が内側に入った形ではなくて一部上に乗るような形をとったため、ここが争点となりました。判決は、文言侵害は認められないけれど、この点は均等であるとの結論をとりました。

  判決文はまもなく最高裁のページの知財判決速報に載ると思いますが(3月24日加筆: ここに「H12. 3.23 東京地裁 H10(ワ)11453 生海苔の異物分離除去装置特許」として載りました; 2ヶ月で消されてしまうので、ここにコピーを置いておきます)、図面(物件目録)は掲載されないと思うので、ここに上げておきます。判決文に添付された物件目録は、当方提出のものなので(といっても、四角枠に囲まれた全体の構造図は被告提出のものをコピーしたのであるが)、当方のパソコンの中にあるものをGIFに変換してあげておきます。見出しが判決文添付のものと違いますが、中身は同じです。 物件目録1 物件目録2

  2000年3月22日  円谷プロ事件控訴審判決

  3月15日に、円谷プロ事件の東京地裁判決についての評釈のドラフトをアップしましたが、このケースの控訴審判決が早速3月16日付けで下されました。ここにコピーをおいておきます。

  結論は控訴棄却ですが(このケースは、外国での著作権の帰趨を主たる問題としたもので、地裁は国際裁判管轄がないとして訴えを却下した)、この控訴審判決の理由を見ると、私の評釈での問題の取り上げ方には、ちょっと欠落があったことに気付かされました。不法行為地の管轄を主張する場合、不法行為の存在がある程度でも証明されないといけない、というトピックを私は殆ど無視してしまったのですが、この控訴審判決では、これを大いに問題としています。というか、このケースの事案として、主張されているような不法行為はどうやら無かった(事実としてライセンスがあったらしい)という認定が示されているんですね。

  そんな場合なら、被告としてはむしろ本案判決をもらった方が有利なのであり、管轄を一所懸命争うというのは実益の観点で疑問なわけで、私は議論として無視してしまいました。そういう事実である可能性は、書簡の成否についての話から、一瞬は感じたんですが。

  控訴審がこういう判示をしたことからすると、私の評釈でもこの点をちゃんと考えるべきでした。でも、相変わらず、こんな認定をもらえる事案なら、被告はむしろ本案で争った方がよいのであり、また判決を下す際にも、本案判決の方が不利になる原告が本案判決を求めているのだから、.... という事情を無視して良いのか、という疑問は残ります。(3月24日加筆: でも、被告勝訴でよいことは、非常にハッキリしているには違いありません。そして、却下と棄却は、訴訟法的には大違いですが、実際的・実務的には大した違いではないかも知れません。)

  2000年3月18日  注射器事件について加筆

  ペン型注射器事件についてのコメントに若干の加筆をしました。4.3として加えたのですが、この事件の結論は、どちらかといえば、ネジ機構についての違いを理由として方法クレームの侵害も否定する、というのが正しかったのではないか、という話です。最初からそうは思っていたのですが、判決の結論を前提とするなら、.... という書き方をしていたりしたために、話が見えにくくなっていたかと思うので、書き加えておいた次第です。却ってますます混乱してしまったかも知れませんが。

  2000年3月16日  アスロンの新パソコン

  昨日ちょっと書いた新しいパソコンの話の続きです。新しいパソコンのCPUはアスロンで浮動小数点計算が非常に高速になったため、とくにビアボイスのスピードが改善しました。それ以外のソフトは、以前のCPU(K6-3)でもほとんど問題がなかったということもあり、大した違いは感じないですね。

  それで、音声入力の実用性はさらに高くなったのですが、音声入力の弱点は、やはり自分の方にあります。文字にしておかしくないような文章を口でそのまま言うのは非常に難しいという話を以前にも書きましたが、物理的にも自分の体が問題です。鼻詰まりとかになると、非常に認識精度が落ちてしまうのです。

  このところは、花粉症に続いて最近は風邪もひいてしまい、文書作成に非常に苦労しています。今日はだいぶ良くなりましたが。実は、昨年末に日経ゼロワンのインタビューにお出でいただいた際にも、ちょうど私は風邪をひいていて、音声認識率を実演してみせた際にはさんざんな出来でした。

  2000年3月15日  日経ゼロワン

  『日経ゼロワン』の3月号に、私の紹介記事が掲載されました。..... 既に一昨日には4月号が発売されてしまいましたので、こんな事を今から書いても何の宣伝にもならないのですが。

  掲載されたのは、「私のインターネット活用術」というコーナーで(3月号の場合は78ページから)、使っているパソコンなどが紹介されています。もっとも、この取材を受けたのは昨年の12月のことで、その後に既にいろいろと機材は変わってしまいました。現在では、オフィスのデスクトップのメーンパソコンはアスロン600MHzに変わり、それに伴ってディスプレーも15インチのLCDを買いました。またスキャナーも別にフラットベッドタイプを買いました。活字メディアでは、このくらいの遅れは仕方がないので、どうしてもこうしたことが生じてしまいますね。

  .... と、こんな事だけを書いていては申し訳ありませんので、まじめな話も少し書いておきます。外国での著作権の帰趨を主たる問題としたケースについて、国際裁判管轄がないとして訴えを却下した東京地裁の裁判例(リンク先は私がOCRしたものです)について、評釈を書きました。それのドラフトをここにアップしておきます。この事案としては、却下されるしかないでしょう。

  しかし一般論としては、私は、この種の事案についても、日本の裁判管轄が認められる方向の議論が、どちらかと言えば望ましいものと思っています。国際裁判管轄の問題というのは、ある程度はアグレッシブに考えないと、どこの国でも裁判を受け付けてもらえないという状況が生じてしまう可能性があり、そればぜひとも避けるべきであると思うからです。

  (2002年5月9日に追記: その後の最判は、まさにそのアグレッシブな方向になりました。事案を考えると意外なほどです。また、上記のドラフトは、判例時報に掲載されました。それのウェブページ掲載版が、この

円谷プロ事件一審判決評釈です。)

  1999年12月22日  e−oneについて、さらにその後 (ソーテックに損害はあったか? )

  拙稿「e−oneをiMacと混同する人が居るか?」について、恩田先生(弁理士)(左は先生のホームページへのリンクです、このページにe−one事件についての論文が載っていますからメールをいただいたのがきっかけで(いただいたメールの内容は、研究会において私のページを参考にしていただいたとのこと)、差止を受けたことによるソーテックの損害について、再考してみました。薄々感じてはいたのですが、ソーテックはこのところ業績好調で、差止はちっともダメージになっていないみたいなのですね、実は。

  差止が出た頃には、ソーテックはつぶれるんではないかという雰囲気の報道が目立ちました。しかし、現実はちょっと違っていたようです。まず、差止が出たことでe−oneはまったく無くなってしまうように考えてしまいましたが、色を変えてすぐさま再登場。考えてみれば、混同の判断に当たっては、色の共通性が重要だったのは間違いのないところですので、これで問題はないはずです。また、製造上の都合という点では、色だけ変えるのはプラスチック製品の場合至極簡単です。こうしてすぐに出せたということは、ダメージはかなり軽微です。私の文章で書いたように、1万台ほどのキャンセルが出たという理屈は成り立つものの、それが本当に実害になっているかも、実は疑問かも知れません。

  さらに、商売上の問題としては、却って良い宣伝になったという面があるのですね。日系ビジネスの99/12/21付けの「ソーテックを子会社化するキョウデンの野望」という記事は、次のように言っています(左で同記事を掲載したBizTechNewsのページにリンクしてますが、下に一部を引用します):

 ソーテックは、99年9月に、ディスプレー一体型パソコン「e-one」がアップルコンピュータ製「iMac」のデザインを不法に模倣しているとして、東京地裁から、製造・販売を禁止する仮処分を受けた。これによって、ソーテックのブランドイメージは地に落ちたかに見えたが、一般消費者の多くは、ソーテック製パソコンを支持し、ビジネスの上での影響はほとんど生じなかった。むしろ、アップルによる提訴は、一部マニアにしか知られていなかった「ソーテック」ブランドを全国区に押し上げる、という皮肉な結果となった。
  実際、日経マーケット・アクセスの記事(左は同記事を掲載したBizTechNewsのページへのリンクです; 元々恩田先生のページでリンクされていて知ったものです)では、パソコン購入予定のある消費者を対象としたアンケート調査で、ソーテックはデスクトップ型のトップブランドになっているのですね。

  なるほど、言われてみれば、元々ソーテックは高級ブランドではないですから、マネッコ商品で違法だと裁判所に言われても、それで消費者に厭われるとは限らないわけです。商売上はダメージにならないこともあり得ます。また、裁判所による判断に対する批判とも思うのですが、どうでしょう? (まあ、ホントの偽物商品の場合も、それを承知で買う人はいるので、裁判所批判とかいうのはちょっと違うとも思いますが。)

  なんにしても、現実にソーテックにとっては、差止で損害を受けるどころか、トータルではメリットを享受しているように見えます。こういう場合、裁判所の判断が将来逆転した場合の、アップルが負うべき損害賠償責任はどうなるのでしょうか? (今でも逆転の可能性があると思っています; しつこいですが) これについては、事件に宣伝効果があって利益を受けたから相殺、という理屈はないでしょう。差止の当時にキャンセルを受けた1万台に相当する損害は認められてしかるべきです。それ以降についても、元のママでの方がよりたくさん販売できたというのは、或る程度までは確かでしょうから、それに相当する損害は賠償してもらえてしかるべきです。

  しかし。仮にそうなると、ソーテックは丸儲けに等しいことになってしまいます。それでは、元々がマネッコである上、裁判所に対する対応も悪かったがために受けた自業自得の差止だというのに、なんともおかしな結果になってしまいます。そうすると、不正競争との判断は、意地でも維持してもらった方が、落ち着きの良い結論になる、.....とも思われてきました。それにしても世の中分からないものです。

  1999年12月17日  米国における特許の無効化

  一昨日(12月15日)、上記のような題材についてのレポーターをしました。先日から、神戸大学の小泉先生にお呼びいただいて、(財)知的財産研究所というところの研究会(侵害訴訟での無効判断の可否がテーマになっているものです)に参加しておりまして、そこでのお役目です。こんなレジュメを配布して、お話をさせていただきました。

  この関係で、レジュメにも書いてあるように、本年11月に成立した法改正についてちょっと勉強しました(新法の成立経過や、法文を見るためのリンクは、豊栖康司先生(弁理士)のページをご覧ください)。当事者系の再審査手続き(inter partes reexamination)が新設されたのですが、違憲の疑いが濃厚です。特徴としては、従来からの再審査では第三者請求人が手続きに関与できないのが問題とされていましたので、それに対処して、これが認められるようになりました。一応、上訴も出来ます。ところが同時に、この手続きによって特許が維持された後は、そのエストペッルの効果として、第三者請求人は、民事訴訟においても特許の無効を主張できなくなってしまうのですね。しかもすごいのは、当事者系再審査手続きで上訴が出来ると言っても、PTOのボードへの上訴だけで、そこで特許維持の結論の場合には、もうだめなのです。第三者請求人には、裁判所への道がないのです(特許権者の方は、特許取消の場合にはCAFCへ上訴できるのに)。

  結局、第三者請求人は、この手続きを選択したが最後、PTOで負けても、特許の有効性に関しては裁判所による判断を受けられなくなってしまうのです。これはいかにも、合憲性が怪しいです。裁判を受ける権利がないがしろにされていますから。合憲であるという理屈を付けるなら、第三者請求人は自らこの手続きを選択してのことだから、裁判を受ける権利を放棄しているのだ、とでも言うのでしょうが、かなり疑問です。

  侵害裁判所の方から見たって、裁判所の判断で有効とされた特許でもないのに、有効として扱わなければならなくなるのは、行政庁たるPTOの判断に拘束されていることになりますから、憲法的にかなりおかしいと思います。この点は、裁判を受ける権利の“放棄”では説明が付けられないでしょう。

  こういうわけでだと思いますが、起草者は違憲無効を覚悟しているように見えます。後の無効主張が出来なくなることを規定する「SEC. 4607. ESTOPPEL EFFECT OF REEXAMINATION.」の後半には(Sec.315(c)にもこの趣旨の規定があります)、次のように書いてあります: 「If this section is held to be unenforceable, the enforceability of the remainder of this subtitle or of this title shall not be denied as a result. 」。なかなか大胆です。

  もっとも、レポートしたときには気が付かなかったのですが、もう少し考えてみて、このエストッペルの実際の効果には、よく分からないところがあります。再審査で主張できる無効理由は限られていて、301条にあげられている、先行の特許か刊行物だけなんですね(制限が明示されているのは、Sec. 311 の Request での請求理由だけですが、合理的に考えれば、手続きを通じてこれに制限される趣旨だと思います)。そうすると、エストッペルが働くとされるところの「on any ground which the third-party requester raised or could have raised during the inter partes reexamination proceedings」(Sec.315(c)から)というのも、先行の特許か刊行物に限られることになりそうです。ならば、それ以外の無効理由によるなら、後の無効主張も可能ということになりそうです。

  ここまでは起草時に想定されているのでしょうが、それをリアルに考えていたのかどうか、疑問です。先行の特許か刊行物に限定する(現行の再審査も今度の当事者系再審査もそうなわけです)、というのは意味があり得ますが、その反対に“これら以外”というのは、よく考えてみるとかなり奇妙な状況です。取り上げていた先行刊行物の著者自身の公用を主張したら、どうするのでしょうか?

  他にもいろいろ疑問な点があります。たとえば、Sec.311 には「(c) COPY- Unless the requesting person is the owner of the patent, the Director promptly shall send a copy of the request to the owner of record of the patent. という規定がありますが、特許権者が請求することが出来るのでしょうか? その場合の対立当事者は? またそのものの手続き保障(裁判を受ける権利)はどうなるのか? と考えると、この条項は単なる間違いのようにも思われます。

  と、いろいろ面白がれるところの多い新法です。

  1999年12月8日  e−oneについてのその後

  先日(11月10日)、e−oneをiMacと混同する人が居るか?をアップしたところ、何人かの方からコメントのメールをいただきました。この事件は広く世間の関心を集めているようで、それを反映しているものと思います。

  その中でも、某大学のT先生からのコメントは、ちょっと興味深かったので、ご紹介しておきます。実は、T先生のところに、ソーテックの弁護士さんから鑑定の依頼があったということです。T先生の意見でもこの事件は「法的な判断は微妙かな、」とのことで、どちらかといえばソーテックの方に分があるというくらいのお考えのようなのですが、「なにぶんにもソーテック側の製品はマネッコであることにはかわりはないので、それほど応援する気にもなれず、」で、依頼をお断りになってしまったそうです。

  まったくもっともなお話だと思いました。私も、ソーテックの側の主張が、事件としてはむしろ有力だろうとは思いますが(といっても、反対方向の仮処分が出たことからすると、もちろんそれなりに難しい状態ではあるものの)、だからといってソーテックの代理人を進んでやるという気はなれません。

  ちなみに、ソーテックの代理人をやっているのは私の知人の平出晋一弁護士のようです(T先生に依頼してきたのが彼とのことでした)。私は、彼と司法修習生39期で同じクラスでした。法曹界というのは、実に狭いものです。ついでに言うと、この同じクラスには、タクシー運転手のことを雲助などとわざわざ余計なことを判決文に書いて世間を騒がせている、京都地裁の山本裁判官もいました。.... どうもあんまり調子が良くないですね、私のクラスメートたち。

  1999年11月29日  サミット x ニデック の控訴審判決がありました

  私の判例集に掲載した サミットxニデック のケースの控訴審判決がありました。東京高裁平成11年11月29日判決(左は私がOCRしたものです;最高裁のサイトでもここにでてますね、でも2ヶ月で消されてしまうのでコピーもアップしておきます;ついでに地裁判決のリンクも張っておきます: 東京地裁平成11年1月29日判決(これは私がOCRしたものです)) 高裁では実質審理をほとんどやっていませんので当然ですが(それでも丁度10ヶ月かかっているんですね;これは、サミットの方が翻訳に時間がかかるとか言って期日を遅い目にリクエストしていたのが主な原因です)、原審判決維持でした。

  原審判決では、独立項の訂正の結果、従属項がその実施態様項でなくなったのだ、という判旨でしたが、この点だけは若干違う判決理由になりました(それでも、内容的にはさほど違わない感じではあります)。すなわち、独立項だけで解釈はハッキリしているので、従属項云々で「解釈が左右されるものでないことは当然」、というものです。なるほどもっともな判決です。地裁としては、或る程度過剰な説明も必要ですから(高裁に対する説明として必要)原審判決ももっともですが、判決としては本来は、この高裁判決のように判断するのが必要十分というものでしょう。

  1999年11月10日  e−oneをiMacと混同する人が居るか?を書きました

  アップルによる、ソーテック(e−one)に対しての仮処分決定(1999年9月20日付け)についてのコメント、e−oneをiMacと混同する人が居るか?を書きました。迅速な裁判はすばらしいですが、内容的には反対です。

  1999年8月11日  ペン型注射器事件についてに加筆

  ペン型注射器事件についてに、「6. 補正と均等侵害」を加筆しました。均等侵害が認められた「ほぼ垂直」の要件が、実は補正で加えられたものであったことをすっかり見落としていました。お恥ずかしい。

  1999年7月22日(23日に加筆)  日本製紙の米国独禁法違反事件のその後

  一昨年、米国独禁法(刑事)の域外適用(日本製紙事件)(1997年6月6日記)として、日本製紙が米国市場向けのカルテルに加わっていた(日本で)として米国で刑事訴追されていた事件に関してコメントを書きました。この件、地裁で審理されていたのですが、日本製紙が勝訴したとの話を聞きました(私のページをご覧いただいた大塚さんという方から、メールを頂戴しました)。7月20日付けのウォールストリートジャーナル朝刊(A10)に掲載されているということですが、同紙のウェブページは有料の登録制ですし、他の報道系サイトではなかなか見付けられないでいたのですが、7月22日19時31分付けで、共同通信のハイライトのページに「日本製紙が....発表した」として出ていました(でも日本製紙のページには出ていないのですが)。

 (23日に追加記載: その後、日本製紙の22日付けリリースがこのページに出ました。事件の経過などについても説明がされています。これによると、トライアルは昨年6月から7月に行われたが、陪審の意見が分かれて評決不能(hung jury)になり、これに基づいて無罪の申立をしたのを、連邦地裁が7月16日に認めた、とのことです。)

  大塚さんからは、「実務的には、『本案前の抗弁」』もまた無益ではない、と思います。」といったコメントもいただきました。これについては、次のように思っています(以下は、基本的に私から大塚さんへのご返事メールのコピーです)。

  「実務的には、『本案前の抗弁」』もまた無益ではない、と思います。」というのは、おっしゃるとおりです。私自身も、被告の立場で管轄を争うことはあります(そう何度もやったことはないですが)。ただ、第三者的な立場(または公益の見地)からすると、実体的な正当性が無いのに単に手続きだけを争っている者に対しては、どうしても批判したくなります。

  もっとも、結局勝訴したとなると、「実体的な正当性」もあるわけで(この点、ちゃんと検討したいと思いますけど)、だったら私のような見方からも批判しにくくなりますね。それでも、実体が正当ならそこで争え、とは言えないでもないですが、結局正当なのなら、当事者の立場としてそれを達成するために手続きのところで争うのも、至極もっともな話です。

  1999年7月20日  東芝の暴言のウェブページについて、その2

  私が昨日コメントを書いたら、タイミング良くというか悪くというか、ちょうど昨日、東芝は謝罪の記者会見などをしたんですね。東芝の反論のページも、謝罪(一応は)のページに変わりました。こんなことなら、東芝は、どうしてもっと早くに同様のことが出来なかったんでしょう。仮処分申請をしたことは、わざわざ世の注目をさらに集めて東芝にとってのダメージを大きくしただけのように思われます。マネージメント体制に問題があることは間違いないと言えましょう。

  もっとも、上記の現在の東芝のページを見ても、100%謝罪というわけでは決してなく、会社員氏のページを見ると、記者会見での発言はさらにいろいろあったようです。まだまだ興味深い状態が続いています。

  また、このページを見ると(件の会社員氏のページからもリンクされているページです)、今回のトラブルについては、それなりの技術的問題があって、東芝としては突っ張りたいところもあったように想像されてきます。「簡易S-VHS再生機能と三次元画像改善装置の相性の問題」もからんできて。

  東芝の申し立てた仮処分事件については、まともな事案としては取り上げられないだろうとはいえ、また仮処分事件では大した判示もないのが当然であるとはいえ、訴え出たからには、東芝はさらにあきれた主張をして楽しませてくれるかと思ったのに、少々残念です。

  1999年7月19日  東芝の暴言のウェブページについて

  朝日新聞などが特に大きく取り上げた、「東芝のアフターサービスについて」と題するページをご存じでしょうか? 東芝ビデオの不具合(瑕疵かどうかは争いがあるわけですが)を同社のサービスおよび販売店に指摘したら、たらい回しにされたあげくに暴言を浴びせられた、という経過などを記載したもので、東芝の社員の電話での暴言をアップしていることで話題になっています。

  これに対しては、東芝も反論のページ(追記: 7月19日に謝罪のページに変わりました)を出しているのですが、こちらを見ても、東芝が相当悪いことは否めないでしょう。どれだけ悪いかは議論が残るでしょうけれど、あの電話での一言だけでも、謝ってもおかしくないだけの理由にはなるだろうに(「不具合」が、たとえ東芝の言うように、ビデオの瑕疵ではなかったのだとしても、暴言を正当化するとはとても思えません)、謝るどころか、自分の方から訴えてしまうというのは、いやあ、実に根性がある会社ですね。私には、裁判所をなめているとしか思えませんが。

  仮に私がメーカーにああいう対応をされたら、怒ると思います。不具合を直してもらおうと思ったら、たらい回しにされたあげく、あの暴言ですから。そうなったら、ウェブページで公開して、……と私が彼と同様のことをするのは必然的です。……っていう話は、私もエキセントリックだという事になるだけか?

本件に法律家的な興味は持てるか?

  東芝は、ページの一部削除などを求めて仮処分を申し立てたと報道されていますが、裁判手続きになったとなると、一応は興味が持たれるのは、HPの一部削除の仮処分というのがあり得るのかどうかということ、また、その要件と理論構成です。

  でも、本件の場合には参考となるような議論があり得るのか、かなり疑問ではあります。私には、東芝の事実主張が120%正しいとしても、一体どういう根拠で(または立論によって)差し止め請求権が成立し得るのか、本件については想像できません。というわけで、本件についてそういう興味を持っても、意義ある結論を見る可能性は無いように思っています。

  私の考えでは、記載内容がプライバシーならともかくとして、公的な内容であれば、たとえウソ八百の非難であっても、差止、というのは出来ないように思うのですが(後の損害賠償はともかくとして)。言論の自由市場で淘汰されるべき問題である、というわけです。

  しかも実際は、東芝の主張は事実についてあんまり正しくないようだし。

インターネットでは差止の必要性は出てくる?

  ただ、実はインターネットの場合は、差止の必要性が普通の場合よりも高いのだ、という立論は出来そうな気もしてきました。こういう実例を見ていて想像力が刺激されたためですけど。

  というのは、出版物の場合は、流通などを介する必要があるために、損害賠償が実際あるとなったら、それらが協力してくれなくなってしまうので、差止と同じ事に実際上は成るわけですよね。それで、差止が表向きは出来なくても、その事による不都合は大いに減じられています。

  これに対してインターネットの場合は、特に独自のサイトの場合には(さらにはそれが外国にあったりすると)、こうした事が一切無いために、問題発言が実際に続いてしまう、ということはあり得ます。これは、現実的に言って、差止の必要性を根拠付けます。

  でもさらに言うと、外国にサイトを設けたりされると、差止の実効性は全くなくなってしまうので、この議論の全体の実益が疑問なんですけど。

東芝のカタログの話

  東芝の態度は、自分のところの悪いところを(正当にも)指摘されたことに対して、逆恨みしているとしか思えませんが、あえて東芝が裁判所で主張できる点を探すなら、会社員氏のページの相当に細かな間違いの指摘になるように想像されます。

  しかし、そんな意味での正確さにかけては(あるいは「かけても」)、東芝は、他人のことをとやかく言えるような立場ではないと思います。東芝のランドリー商品/洗濯機・乾燥機の総合カタログ(私の手元にあるのは99年6月の日付の入ったもの)を見ると、洗濯機について「時間約半分」と大書してあります。カタログでは、今までは107分だったところ今度は38分になったとして、ご丁寧にも時計の針を並べた絵グラフも出ています。同じ趣旨の記載は、ウェブページのここでも見られます(余り目立ちませんけど、「時間半分水半分」とロゴで書いてあります)。

  カタログの記載内容をよくよく見ると、5キロを超えるところから従来機種での時間が突然長くなっています(グラフではこれが反映されていないのですが)。どうやら、従来機種では5キロまでしか洗えなかったのが、現在のは7キロまで洗えるので、7キロについては従来機種は2回動かす計算で107分という時間になってるんですね。これは苦笑するしかないです。

  なお、括弧書きで非常に小さい文字で「2〜5キログラムについては33%から44%の削減率となっています」とも書いてあります。書いてあるところをよくよく読めば、以上のように従来機種については2回動かす計算だったということが分かります。積極的なウソはないとも言えるかも知れません。しかし、絵グラフの表示の仕方とかは不正確ですし、与える印象としてはこれは殆どウソと言うべき宣伝であるように思います。少なくとも、ギャグになるくらいヘンなうたい文句だと思います。

  この洗濯機はダイレクトモーター方式で静かだとかことで、かなり好評に売れているものと聞いています。中身は良いようです。だったら、もっと素直に、正直に宣伝してほしいと思います。

  こういう例を見て、私は近ごろの東芝はどうもおかしいと思っています(同種の問題は他にもあります)。決して全部がおかしいとは思いません。実際に、洗濯機の中身も良いのです。でもおかしいところが目立っているようにも思うのです。

  1999年7月15日  ペン型注射器事件について

  最高裁のページ知財判決速報の、大阪地裁のコーナーの第1号掲載特許侵害事件判決について、コメント(ペン型注射器事件について)を書きました。この事件は、均等侵害を肯定したもので、ボールスプライン事件最判の判示した要件に従って検討した結果として、結論的に均等侵害を認めた初めての裁判例だと思います(たぶん)。私のコメントは、充実した評釈とは程遠い、一読した感想をまとめただけのものですが、まあ、早いことに値打ちがあると思ってアップする次第です。

  なお、この判決文は特にひどいのですが、知財判決速報に掲載されている判決文の多くに多数の文字化けがあります。縦書きの判決文において特殊な文字(半角数字を横に並べたものなど)を使っていることが原因であり、いちいち修正するのも手間がかかって現実的ではないのでしょうが、出来れば何とかして欲しいものです。コメントの中でも書きましたけど。同じサイトの判決文でも、最高裁の判決については問題が見られないのはどうしてなんでしょうか?

  1999年7月6日  知的財産判決速報を見る

  正式オープンは昨日からだったかと思いますが、知的財産に関する下級審裁判例がインターネットで見られるようになりました。最高裁のホームページからリンクが張られていますけれども、ここからのリンクを見るとフレームなしの形で見られます。

  いくつか覗いてみました。まず、東京地裁のコーナーには、特許侵害事件は4件出ていますけれども(全部6月30日付けのもの)、いずれも請求棄却です。相変わらず東京地裁は侵害認定について厳格なのでしょうか?

  大阪地裁のコーナーには、均等侵害の成立を認めたケースが出ています。H11. 5.27 大阪地裁 H8(ワ)12220 ペン型注射器等特許均等論です。ボールスプライン事件の最判によって、均等侵害が認められる可能性が確認されたとは言うものの、これまでは、“同最判の示した要件に従って検討した結果、均等侵害が否定される”としたケースばかりが知られていました。少なくとも私は、均等侵害を認めたケースを見るのは初めてです。

  1999年6月17日  リオ/MP3プレーヤー事件 〜日米の著作権法の違い

  MP3プレーヤ「リオ」が、オーディオ・ホーム・レコーディング法の要求(著作権者のためのデポジットとSCMSを備えること)に服するものかどうかが争われていたケースについて、1999年6月15日付で、控訴審判決が下されました。ダイヤモンド社の勝訴です。 Find Law のこの判決文のページ 概要の報道としてはCNNの6月16日の報道参照

判決の論旨

  判決文を検討すると、この結論は、リオは法律の要求の対象である「ディジタル・オーディオ・レコーディング・デバイス」に当たらないということで下されています。リオは、パソコンに接続して(パラレルポート経由で)、パソコンのハードディスクに蓄えられたファイルをリオのフラッシュメモリにコピーして、その後それを聞くという形で使うのですが、この際のハードディスクからのコピー機能では法律の定義する「ディジタル・オーディオ・レコーディング・デバイス」に該当しないとされたのです。これは、法律の定義によれば、「デジタル・オーディオ・コピード・レコーディング」を作り出すものが上記のデバイスなのですけれど、これがさらに「デジタル・ミュージカル・レコーディング」という言葉を使って定義されてされているところ、これに該当するためには音だけが入っているマテリアル・オブジェクトであることが要件とされているのです。ハードディスクには、音以外のものも入っていますから(当然のことながら)、そこからのコピーをするだけのリオは、結局、定義に該当しないという結論となりました。

日本の場合との対比

  こうした米国著作権法の細かい議論もそれなりに興味深いのですが、私にとって非常に興味深く思われるのは、こうしたケースが裁判所で裁かれるという事自体です。米国では、そういう仕組みに著作権法がなっているということが、非常に新鮮に思われます。少なくとも日本の著作権法とは全く仕組みが異なっています。

  日本について言えば、著作権法の私的録音補償金の規定(30条2項など)が、本件で問題となったところにほぼ相当すると言えます(SCMSについては日本では著作権法その他の法律での手当てはされていない)。しかし大きく違うのは、日本で補償金の対象となるのは、「政令で定めるもの」に限られているということです。これに対して米国では、本件がいきなり裁判所で争いとなったことからわかるように、法律においては抽象的な規定が置かれているだけで、それが裁判所で解釈されることが予定されています。ここに政令などは介在していません。

  法律の在り方ということを考えると、確かにこの分野のように新しい技術が続々と登場してくることが予想される場合には、法律自体で具体的な規定を設けることには無理があります。すなわち、MP3だとかCD−Rだとかを著作権法の条文自体に書き入れたのでは、技術の動きに迅速に対応することができず、現実的ではないでしょう。

  その対処法として米国の場合には、抽象的な法律規定にしておいて、それを裁判所で解釈しているわけです。これに対して日本の場合には、政令の指定という形で対応していると言えます。どちらも法律でいきなり具体的な規定をするわけではないという点では共通していますが、では代わりにどこが具体的な決定をするのかというところをみると、全く違っているわけです。日本ではそれが行政庁による政令であるのに対して、米国では裁判所がその機能を担っているわけです。

違憲ではないか?

  米国での議論としては、日本の著作権法のようなことは、憲法上許されないものと考えられています。このように全くのフリーハンドで行政庁に政令制定の権限を与えてしまうのでは、実質的にその点での立法権限を与えているに等しいので、立法権を議会の専権事項とする憲法に違反するのです。立法の権限はあくまで議会のものであり、議会自身といえども、それを他の機関にゆだねてしまうことは許されないというのが米国における憲法理解です。

  近時では米国でも、この問題に基づいた違憲判決はほとんど出されてはいません。けれども、それは多くの場合には、違反するような権限委譲がされていない(少なくとも何らかの形を取り繕ってはいる)ということです。そんな中でも、最近、EPAの大気汚染防止規定に関して、こうした議論に基づく違憲判決(リンク先は1999年5月14日付けDCサーキット判決のジョージタウン大学のページ)が下されています。

  日本の憲法も、条文としては、米国と同様の理解が出来る規定になっています。というか、日本の方こそ、米国での議論のような解釈をするべき文言になっているとすら言えます。憲法41条は、国会は「国の唯一の立法機関」であると規定しているのです。しかし実態としては、実に多数の法律が、政令にその重要部分を委ねています。上記の米国流の違憲の議論を日本で説明しても、現状で何が問題だというのか、全く理解されない状況とすら言えるかもしれません(実際、こうした点を争った裁判例として残っているものも殆どありません;人事院規則について争った最大判昭49年11月6日(猿払事件)(2003年1月9日の加筆: 以前、間違った日付を書いていました。失礼しました。ここにコピーがその唯一の例と見られます)。また、仮にこれを今さらいちいち違憲無効だとしたら、非常に困った事態に至るかもしれません(あまりに多数の法律が無効になってしまって)。しかし、だからといって、この状況がそのままに置かれるというのも、おかしな話だと思っています。

  もっとも、現実的な問題をもう1点考えてみると、日本では、米国のような法制度にはできないだろうとも考えさせられます。

  米国においては、このように裁判所に権限が委ねられていることも、今回のこのケースのように早く判決が下されればこそ、現実的に受け入れ可能になっていると思われます。この米国の制度と同じ法制度が仮に日本で採用された場合、日本の裁判所は、結論を下すまでにどれだけの時間を必要とするでしょうか?この米国のケースと同じように、迅速に結論を下すことができるでしょうか?これは非常に疑問であることを、残念ながら認めざるを得ないように思います。これは、裁判官だけの問題ではなく、弁護士の方の問題でもあります。この事件の手続きでは、非常に短い期限設定で双方が主張をまとめています。だからこそ、裁判所としても早く結論を下せるのであり、これと同様のことが日本の弁護士に出来るか、これも残念ながら疑問と言わざるを得ません。

  1999年6月15日  最近の日経新聞

  倒産銀行の粉飾決算の話の続きです。先週の新聞報道を、複数紙を読んでいて感じたことがありました。特に金曜日について目立っていますが、日経新聞の、長銀旧経営陣に対しての報道が、非常に厳しいです。対比してよく読んだのは朝日新聞ですけれど、こちらですと、他の銀行も大同小異のことをやっているうえに、当時の大蔵省などとの関係からは、大野木元頭取などには他に道が無かったのではないか、といった報道がかなりの割合でなされています。特に、以前の大蔵相の通達に従うなら、問題とされているような不良債権隠蔽も公認されていた、との説明が相当なウェイトを以てなされています。こちらを読むと、彼らの責任はあまり大きくはないということが理解され、同時に、大蔵省などの責任がもっと問われなければいけないのではないか、という考えを呼び起こさせられます。

  しかし私の思うには、曲がりなりにも大銀行の経営責任者である彼らが、まったく粉飾としか言いようのないことをしていたことは、まさに刑事責任に値すると思います。それをかばうような報道するのは、どうかしています。

  さらにしかし、彼らだけに責任があるというのは確かに間違っているでしょう。大蔵省は、銀行の赤字決算を認めなかったとまで言われていますから、粉飾について同罪と言わねばならず、これについての断罪が必要であることは間違いないと思います。

  こう考えると、日経の報道姿勢が実に納得させられます。というか、情けなくなります。こないだまで日経新聞は、銀行に対して批判的な報道をするのを、非常に自己抑制してきたように思いますけれど、ここで突然長銀に関しては非常に厳しい態度になったのは、そのように説明しないと大蔵省に責任が及ぶからでしょう(署名入りの囲み記事では、監督官庁の責任も追及されなければいけない、という趣旨の記載もあるのですが、率直に言って他の記事からは浮いています)。現在の報道姿勢は、大蔵省のシナリオそのものではないかと思えてきます。

  1999年6月11日の2  In Re Zurko の最高裁判決

  豊栖先生からのメールニュースで知ったのですが、1999年6月10日付けでIn Re Zurko の最高裁判決が下されました。破棄差し戻しです。コーネル大学の同判決のページ FIND LAW の同判決のページ 1999年1月1日の2で書いていたところに従うと、「私もCAFCの実務に慣れてしまって冷静な判断力をなくしていた」ということになってしまいました。でも、長官のレンキストが少数意見を書いていて(それに2人が賛成しています)、その言うところが相当にもっともに見えるくらいですから、私が以前にああ考えていたのも無理はないと思います(言い訳ですけど)。

  1999年1月1日の2で書いていたように、この最判に従うと、CAFCのやることは減ることになります。PTOのボードの結論を破棄できるのは、サブスタンシャル・エビデンスの一切無い場合だけですから、何かそれが認められさえすれば、それだけで控訴棄却になるわけです。

  これが特許の成立/不成立にどのような影響を及ぼし得るかといえば、ボードの結論に対しての上訴というのは、特許を認めない結論に対してだけあり得るものですので(reexaminationを含めて考えても、日本の査定系に相当するものしかないから)、そうした訴訟においてPTOの結論を破棄することが減ると言うことは、特許の成立のチャンスが減るという意味になります。もっとも、理屈では一応そうは言えますけれど、もともとそんな経過で特許が成立するということは、滅多にあったわけではないですから、実際的な意味がどれだけあるかは疑問です。

  実際的意味といえば、こうしたレトリックにどれだけ意味があるかも、疑問といえば疑問です。1998年5月26日付けで書いていたところでもありますが、CAFCのこれまでの実務だって、clearly erroneous 基準だという割には破棄する例もあったわけですから(こんな言い方は、殆ど専ら私の主観によれば、というだけのことですが)、それが substantial evidence 基準になってもそれなりに厳しく運用することもあり得ないではないと思います。

  1999年6月11日  長銀元頭取ら逮捕に思ったこと ……東郷元頭取を早く逮捕した方がよいのでは?

  昨日やっと長銀の元頭取らが逮捕されましたけれど、夕刊紙には月曜日ごろから「逮捕」という見出しが踊っていましたよね。実際は昨日になって逮捕されたので、本当に「やっと」という感じだと思います。こういうやり方をすると、また自殺者が出てしまうのではないか、と思っていましたが、そういうことはなくてすんだようです。

  このように逮捕するのに慎重というか、時間がかかるのは、基本的には、相当に嫌疑が固まらないと、やたらとは逮捕できないということではありましょう。これはもっともな話です。また、逮捕してから見込みと違ったというのでは、二十日余りの起訴前の拘置期間のうちに起訴に持ち込むことが難しくなってしまう、ということも理由でしょう。関連する者が非常に多数に上る複雑で大規模な犯罪ですから、逮捕前に認識された犯罪行為と、実際は少々違っていたということになる可能性も多分にありますが、そうなると拘置期間のうちに調べを完了することが難しくなってしまいます。ですから、逮捕前に出来るだけ十分な捜査をしておきたいということになるのは、自然ではあります。

  しかしそれにしても、今回の経過は余りに長過ぎるように思います。これではまるで、自殺するのを待っているようなものではないでしょうか? 中国の古典では、「罪は士大夫に上らず」とかいって、一定以上の地位の者については、嫌疑をかけられただけで自殺するのが半ば制度となっていたような話を聞いたことがありますが(あまりあてにならない、典拠なしの話です)、現行日本の制度はこれとは違っているはずです。もっとも、(極端なことを言うと)そういう制度もそう悪いとは思いませんが、それにしては法定刑が軽すぎまた時効期間が短かすぎてあまりにもバランスを欠いています。

  まともな話に戻りますが(といっても以下でもかなり極端なことを言いますけれど)、日債銀の東郷元頭取は、すぐに逮捕した方が良いのではないでしょうか? 日債銀破綻の日の記者会見で彼は、関連会社は銀行が支援を続けるから倒産をしないので、そこへの融資は正常債権として扱ってよいのだ、ということを強い語気で語っていた(それを認めなかった監督庁を非難していた)のを思い出します。これを聞いて私は、なんてムチャクチャな理屈なんだと思いました(それでよく覚えています)。この理屈に従えば、どんな不良債権でも(この種のトバシの手法を使いさえすれば)隠して問題無しということになってしまいます。

  現在の長銀関係者に対する嫌疑のかけられ方から言っても、こんな事を言っていた東郷元頭取が無罪とは理解できません(商法および証券取引法で)。しかも、あの記者会見での行動パターンから言っても、性格がそうズブトイというわけではなく、むしろヒステリー気質のように見えます。ああいう性格の人は、ジリジリ追い詰めていくと、あの世に逃げ出してしまいそうです。

  逮捕してみたら事件の構図がちょっと違っていた、ということなら、再逮捕すれば良いのです。躊躇せずに早く逮捕してあげた方が、本人のためにもなるように思います。

(2005年3月19日加筆: コクドおよび西武の株主架空名義事件で、西武の小柳前社長が自殺してしまいましたが、この話が繰り返された例のように思えます。小柳社長が最終的な責任者だったとはまったく思われませんが、把握はしていたもので、その意味では問題はあるのですね。それをちゃんと対処するべきだった、と言われるからこそ自殺にも結びついたのだと見えます。毎日新聞の指摘「捜査と自殺 「告白する正義」広めよう」はもっとだけど、ちょっと違うのではないかな。ここにキャッシュ。)

  1999年6月4日  ゲームソフトの頒布権

  既にみなさんご存じかと思いますが、先日(1999年5月27日(木曜日))東京地裁で、ビデオゲームメーカーのエニックスが被告となった事件の判決が言い渡されました。ビデオゲームについて頒布権の有無を正面から争った事案としては初めての判決です。結論としては、映画ではないとして頒布権を認めませんでした。これについての一般的な報道は、PC Watchの記事を見てください。

ゲームは映画ではないでしょう

  判決が言うように、一見して明らかに、ゲームソフトは映画ではないでしょう。以前に私も書いていたとおりです。1998年6月15日の私の記述へのリンク また、インターネット弁護士協議会のレポートでも、ゲームソフトの頒布権に否定的です。

  確かにゲームは、画面上に映像が現れるという点では映画と共通していますから、いろいろ理屈を言えば、映画のように思えてくる面もあります。上記のPC Watchの記事では、「ACCSの顧問弁護士である前田哲男氏も『これからはDVDでマルチアングル、マルチストーリーのソフトが出てくるが、これは映画ではないのか? 判決はゲームを理解していない』と非難した。」とのことですが、こうした議論にも理解できるところがあります。しかしながら、映画と違っている点を指摘するのは容易です。判決が指摘している、ストーリーが変化するなどの点において違うという、明白だけど些細な話に始まって、商品形態において全く違っていると思われます。

  ゲームに頒布権が認められるべきものか、もう少し実質的に考えてみましょう。映画について頒布権が認められているのは、その興業型式が先行して成立していたためだと思います。加戸守行『著作権法講義 改訂新版』157頁でも、映画フィルムについての「社会的取引の実態」が頒布権を認める理由であるように説明しています。映画館で上映して観客を集めてお金をとるという、そういう流通形式があるがゆえに、頒布権はそれを追認する形で認められているように思います。判決が「頒布権は劇場用映画の特殊性から認められた権利である。」(PC Watchの記事より)としているのは、こうした趣旨でしょう。

  これに対しゲームソフトは、プログラムを格納したカートリッジを販売するという形をとっていて、どう見ても映画とは違っています。これについて、映画と同じだとして頒布権を認めるというのは、どうにも無理があります。映画以外の著作物とのバランスから言ってもおかしいです。

  もっともこの点を強調すると、じゃビデオはどうなんだ、という話もあります。しかし、ビデオとの比較論の帰結は、むしろ、本来ならビデオについても頒布権を認めるべきではないということになると思われます。ただ、映画について頒布権を認めていることから、中身において映画とビデオとを区別できないという話に過ぎません(前出の[加戸]158頁以下も同様の説明です)。

頒布権を主張するなら……

  しかしながら、ビデオゲームに頒布権を認める議論というのも、まったくダメだというわけでもないかも知れません。ビデオゲームにやはり頒布権類似のもの認める必然性というものも、次のような議論をすれば出てくるかも知れないと思います。十分な議論がされているわけではなく私が1人で妄想しているだけですので、なかなか議論はまとまっていませんが、私論として以下にご紹介します。

  というのは、中古でもユーザーにとって新品と違いがない、また一方で、複製をするのにかかるコストが非常に小さくなってる、という問題です。複製コストが極端な話でゼロなら、中古品の売買というのは、新品が売れたであろう機会を損なうだけの行為であると見ることができるようになります。

  ビデオゲームの制作会社は、少なくとも結論については、明らかにこういう見方をとっているわけです。製作会社の目では、中古ソフトを買った人というのは、中古ソフトの売買がなければ新品を買ったはずであり、中古ソフトの売買はそれだけ新品の売り上げを損なっている、と見えているわけです。

  しかし普通は、中古の値段は、新品よりずっと安いわけです。中古が買えなければ新品を買うかというと、そうではなくて、何も買わないと言うことも大いにあり得ます。社会全体としてみても、複製をするのにはそれなりのコストがかかっているので、1度造られた複製物を無駄にするわけにはいかないという感覚が強くなりますし、そうすれば中古品が流通するのももっともというか、社会的にみて支持するべき現象ということになるでしょう。

  さらにしかし。仮に、複製をつくるのにコストが殆どかからず、しかも中古でもユーザーの使用においてまったく劣化がなくて新品同様の値段で取り引きされるなら、上記の製作会社の見方ももっともなものになってきます。

  この訴訟においては、製作会社側に、こうした観点の主張/立証が欠かせなかったのだと思います。しかし、上記のPC Watchの記事では「福嶋康博エニックス代表取締役社長は『夢にも思わなかった判決』と今回の決定に関して驚きを隠さなかった。」となっています。これが本当なら、製作会社側は、こうした観点の主張/立証をまったくしなかったのでしょう。それが敗因と言えるのではないでしょうか? (これをしたからといって勝てるとは限りませんが……)

  1999年5月27日  相澤英孝編著「電子マネーと特許法」

  相澤英孝編著「電子マネーと特許法」(弘文堂、1999年)を読みました。勉強になる点もいろいろありましたが、ちょっと文句を言いたくなり、また若干の批判をしたくなりました。

  まず、文句です。第4章が「国境を越えた電子マネーの流通と特許」と題されていて、国際的に使われる(ことになる)電子マネーの関係での、各国の特許権の効力(その及ぶ範囲)について検討がされています。この中で289ページ(「3. 外国における行為への特許法の適用」というセクションのでだしの部分)において私の論文が言及されているのですが、無視されなかったのはありがたいところですけれども、このリファレンスの付け方にはちょっと文句を言いたくなります。私の論文が言及されているのは、次の箇所です:

3.外国における行為への特許法の適用
 (1)日本における国外の行為への特許法の適用
   日本の代表的学説によれば、日本の特許の効力は日本国内に限られるものと考えられている。中山教授は「特許権の効力は、日本国内においてのみ効力を有しており、その効力は外国には及はない」としている(注147)。この考え方によると、日本の特許によつて保護されている発明が国外で実施されたとしても、特許の侵害とはならないことになる。この考え方は、直接侵害でも間接侵害でも異なるところはないとされている(注148)。(以下引用略)

  上のような本文になっていて、このうちの注147で典拠として中山先生の本があげられていて、これに対しての反対説として私の論文「特許権の効力に関する国際的問題」の後半(2)があがっています。しかし私としては、この147が付いている本文の記載内容に対して反対していると言われるのは、心外です。特許権は日本国内においてのみ効力を有しているというのは、原則的には私も賛成です。当たり前です。ただ、その限界について微妙なところがあるということを指摘したのが拙稿です(まあ、多少は広い目に考えるのが自説であるということは否定しませんけれども)。

  中山先生の本にしても、私が書いていたような、日本国内での侵害行為への、外国での行動による関与に日本の特許法が全く及ばないということを意識して論じているのではないと思うのですが。もっとも、上記の注148が中山先生の指摘による、とされているので、そうお考えなのかも知れませんが。

  1999年5月27日の2  準拠法選択の問題と効力の地理的限界との関係 〜特許法の域外適用を巡って〜

  相澤英孝編著「電子マネーと特許法」へのコメントの続きです。今度は批判です。上記のセクション3は、外国における行為への特許法の適用の限界を論じているわけですが、それとは別に、その前のセクション2が「特許侵害訴訟の国際裁判管轄と準拠法」という題名になっていて、このうちのサブセクション(4)で、準拠法の問題が既に議論されています。これらの相互関係は全く意識された形跡がありません。

  この2つの問題は、同じ類の話です。ある事案を前提として、それにどの国の法律が適用されるべきなのか、という捉え方をすれば準拠法の問題ということになり、それぞれの特許権なり特許法なりを中心に考えてそれがどこまで及ぶのか、という捉え方をすればセクション3で議論されているような話になります。

  単に並べてあると、あたかも、1つの事件について両方が検討されることになるかのようですが、そんなことはないはずです。たとえば、日本での行動が対象となっている事案において、準拠法を検討してそれが日本法なり米国法なりになったとしましょう。その上で、その特許権の地域的限界を検討することになる、ということのようにこの記述からは見えてしまいますが、そんなことはないはずです。選択された準拠法が主張されている特許権と一致していればそれだけで侵害があり得ることになり、これが不一致なら侵害はあり得ない、ということだと思われます。そして、準拠法選択の問題を考えない場合には、地理的限界を考えることになると思います。

  で、こないだの原稿で書いたことですけれども、どちらの捉え方をするべきかは、実は権利の性格によって決まると思うのです。特許権の場合には、各国の権利が独立していて、それぞれが原則的にはその国の中でだけ通用するものであることが明白ですから、これについては準拠法選択ということを考える必要は無いと思うのです。単に、主張されている特許権による独占権が、主張の対象となっている行動にまで及ぶのかどうか、ということだけを考えればよいはずです。

  ついでに書きますが、最近になってこれを説明するのに良い対比例を思いつきました(本当に良いかどうかは若干問題があるのですが)。著作権については、特許権の場合とはやや違って、各国において認められるべき著作権相互をどのように考えるかについて、ハッキリしないところがあります。特許権の場合には、各国での特許権がそれぞれでの出願に基づいて審査のうえで登録されて認められるものですから、いかにもバラバラなものであることに争いの余地はないのですが、これに対して著作権の場合には、方式主義とかいうこともあるとはいうものの、それでも特許権のような審査や登録などがあるというわけではなくて、創作や固定や公表などの要件を具備することによって勝手に成立するものであるところから、バラバラな権利であるという認識をする必然性は薄いところがあります。

  むしろ、1つの著作権という権利が成立し、それが各国で認められるものの、実際の権利行使にあたっては各国の著作権法の規定するところに従わなければならない、という性質の状況であるかのように理解することも不可能ではありません。刑法施行法27条が、著作権犯罪について国民の国外犯を処罰する旨を規定しているのは、こうした状況理解を前提としているようにも思われます。仮にこのように著作権を理解するのであれば、この場合は、各国の著作権の地理的限界というの議論するのではなくて、どの国の著作権法が適用されるべきかといういう準拠法選択の問題として把握するべきことになるはずです。

  著作権についてもこのように考えるべきか大いに疑問ですが(私はむしろ、著作権についても各国によって得認められた高校独立の権利があるものと認識した方がよいと考えています;ですからこの対比は本当には良くない例なのですが)、特許権については、各国における特許権がバラバラなものであることはほぼ異論がないでしょう。

  ならば、準拠法選択の問題と理解するべきではありません。特許権侵害について、準拠法を議論しようという事自体がわかりません。四極管事件がおかしかったのはまさにこの点に原因があると思うのです。また、近時の東京地裁の裁判例(平成11年4月22日)が損害賠償請求に関してこの点を踏襲してしまっているのは非常に残念です。

  さて「電子マネーと特許法」284ページでは、準拠法について検討している中で、「アメリカ合衆国のHoneywell事件やMars事件も同様である。実際、特許侵害に関し、準拠法が争われた例は極めて少ないように思われる」とされています。これは上記のような認識に立つ私の目から見ると、米国では、特許権の独占権の地理的範囲の問題として意識するから、準拠法の問題が出てこなくなるという理の当然の結果であるように思われます。

  1999年5月26日  警察官の拳銃の使い方について

  昨日(1999年5月25日、火曜日)の夕刊各紙に、亀戸駅近くで発砲騒ぎがあったという報道がされています。容疑者と警察官が拳銃の打ち合いになったとのことですけれど、この記事を見て、日本の警察官の拳銃の使い方は本当に禁欲的で、これでは危ないのではないかと思いました。少し以前にニューヨークでの警官による射殺事件の話を書きましたが(「ザ・ファーム/法律事務所」における郵便詐欺と連邦の権限の5.4に転記)、米国での警官のピストルの使い方とはエライ違いです。全体としては、米国の現状はとんでもないもので、日本があんな風になって欲しくはありませんが、犯人がピストルを持っている場合の対処については、少しは見習った方が良いと思います。

  朝日新聞の報道だと、職務質問をしたという説明に続いて、次のような説明になっています:

 杉田容疑者は免許証を示して名乗ったが、巡査部長が車内にあったカバンを開けさせたところ、中に覚せい剤のような白い粉と注射器があるのを見つけた。
  「何だ、これは」と問いただすと、助手席の女と後部座席の男が走って逃げた。杉田容疑者は車から出て、巡査部長に向けて発砲し、走って逃げた。巡査部長も威嚇射撃しながら追いかけたが、杉田容疑者がさらに発砲したため、足を狙って発射したところ、背中に当たったという。
 (引用中略)
 城東署の諸田修三副所長は「容疑者は警察官に対し発砲したため、威嚇発射した。さらに発砲してきたので相手に向け発射したものであり、適法妥当な短銃使用だ」とコメントした。

  ピストルを発射していた犯人に対峙している場合に、まずは威嚇射撃をするというのはどういうものでしょうか。犯人が武器を持っていないのであれば、威嚇射撃をすることによって抵抗や逃走をあきらめる可能性があります。しかし、ピストルを持っている犯人に対しては、威嚇射撃というのはむしろ、さらに発射してくることを誘うばかりのように思われます。

  ピストルを撃ってきた犯人に対しては、仮に射撃するなら、ちゃんと胴体の真ん中をめがけて撃つべきです。または、そうする必要がない(そうまでする必要はない)というなら、威嚇射撃もしない方が良いように思います。まずは威嚇射撃をするべきである、というのが警察官の行動準則になっているように記事からは見えますが、仮にそうだとすると、これは警官にとって非常に危険な話のように思われます。

  本当にそういう行動準則なのでしょうか? 警察官職務執行法7条は武器の使用について次のように規定しています。「人に危害」を加えるというのは、犯人に対する攻撃も含むものと思われ、犯人に対して武器を持って攻撃することを確かにかなり限定している条項です。

第7条(武器の使用)
 警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。但し、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十六条(正当防衛)若しくは同法第三十七条(緊急避難)に該当する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。

一 死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁こにあたる兇悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる充分な理由のある者がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合。

二 逮捕状により逮捕する際又は勾引状若しくは勾留状を執行する際その本人がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合。

  昨日のケースの場合には、相手はいったん発砲してきたとはいうものの、警官が銃撃したのはその後逃走しようとする段階ですから、このタイミングでは正当防衛というのは難しいのかもしれません(もっとも、記事中の他の箇所での経過説明では、逃走しようとする犯人を追いかけたところ発砲してきて、それに対して警官も発砲した、という経過のようにも読めるのですが)。

  では、警職法7条の1号はどうでしょうか? この犯人は、発砲してきているので、既に殺人未遂を犯していると考えられ一号の前提要件に相当するものと思われますが、犯人はその上で逃亡しようとしているとはいうものの、「これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がない」とは言えるかどうか問題です。こういう考えで、直接攻撃は許されないと考えて、威嚇射撃をしたのかも知れません。

  仮に本当にこういう場合であれば、威嚇射撃もしない方が良いようにも思われます。しかし、現場での判断としてやはり発射することが必要だったのかも知れません。そうなら、そうした場合には躊躇することなく胴体を狙えるような指導と訓練をした方が良いように思われます。これは必ずしも法律の問題ではないように思われますが、さらに考えてみればこの法律は相手が武器を持っている場合のことをちゃんと想定した規定にはなっていない、そうした規定ができればあった方がよい、と言えるとは思います。

  1999年5月24日  最判平成11年3月9日について

  私の判例集に掲載した東京高裁平成11年5月13日判決に関係した最判が3月に出されていたことを知りました。最判平成11年3月9日(最高裁のサイトの該当ページへのリンクです)です(この最判が出ていたことは森弁理士のページで知りました)。この最判があったから、5月13日の判決では、訂正後のクレームの内容に一切言及がなかったのかも知れません。

  従前は、本ケースの原審判決と、 粒状物質塗装法事件(東京高裁判決、昭和59年9月27日、昭53(行ケ)213号、無体集16巻3号669頁、判時1136号138頁、判タ543号179頁)とが、無効審決の後で審決取消訴訟係属中に訂正審決があっても、当然には無効審決を取り消すことにはならないとした(そして実際に無効審決を維持した)裁判例として知られていました。これに対しては、昭和51年の大法廷判決に矛盾するという見方が強く、この点では今回の最高裁判決は予想されていたところと言えます。しかし、東京高裁の判決にはもっともなところもあり(そもそも疑問なのは、どうしてああいう訂正審決が認められるのか、ということですが)、今回の最判もよく分からないところがあります。さわりを引用すると、

  もっとも、訂正後の明細書に基づく発明が無効審決において対比されたのと同一の公知事実により無効とされるべき場合があり得ないではなく、原判決は本件がこのような場合であることを理由とするものであるが、本件において訂正審決がされるためには、平成五年法律第二六号による改正前の特許法(以下「旧法」という。)一二六条三項により、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならないから、訂正後の明細書に基づく発明が無効審決において対比された公知事実により同様に無効とされるべきであるならば、訂正審決は右規定に反していることとなり、そのような場合には、旧法は、訂正の無効の審判(一二九条)により訂正を無効とし、当該特許権について既にされた無効審決についてはその効力を維持することを予定しているということができる(現行法においては、一二三条一項八号において、一二六条四項に違反して訂正審決がされたことが特許の無効原因となる旨を規定するから、右のような場合には、これを理由として改めて特許の無効の審判によりこれを無効とすることが予定されている。)。

 2 したがって、無効審決の取消しを求める訴訟の係属中に当該特許権について特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審決が確定した場合には、当該無効審決を取り消さなければならないものと解するのが相当である。  これを本件について見ると、本件訂正審決による本件明細書の特許請求の範囲の前記訂正のうち「一枚板鋼板」を「一枚厚肉鋼板」に訂正する点は特許請求の範囲の減縮に当たるものであるから、本件無効審決はこれを取り消すべきものである。

  これで論旨がつながっているものなのかどうか、よく分かりません。訂正無効審判(または訂正が違法であることを理由とした無効審判)があるからといって、それがどうして、東京高裁の判示したように“訂正があっても、実際上何もクレームが変わっていないから、従前の無効審決を維持できる可能性がある”とすることを否定することになるのでしょうか?

  1999年5月18日  ノートパソコンの修理

  先日、酒の席でノートパソコン(パナソニックのS21)をいじったところ、運悪くビールがキーボードにかかってしまい、故障してしまいました。ビールがかかった直後には、スイッチを入れてもキーボードやトラックボードがまったく反応せず、電気回路は生きているようだがまったく使えない、という状態になりました。それでも、乾けば治るだろうと思っていたのですが、2日たっても、多少は改善したもの、正常に起動しません。キーボードまたは基板の1部の接触不良またはショートが起こっているようです。

  仕方がないので、昨日秋葉原のPanasonicのサポートセンターへ持っていきました。購入したのが昨年(1998年)の7月で、まだ1年たっておらず保証期間中であり、加えて、レッツノート保険という損害保険に入っていて、自分の過失で壊した場合にも保険でカバーされるはずなので、それで修理してもらおうと思いました。

  サポートセンターでは、基盤の交換が多分必要になるので、数万円かかるからね、と言われましたが、上記のように保険のカバーがあると思われたので、修理をお願いしました。パソコンは、機種の新陳代謝が激しいので、少し古くなると、トラブルの場合にも、お金をかけて修理をするのが採算に合うか、微妙になってしまいます。しかし今回の場合は保険があるので、修理しないという選択肢は事実上ないですね。

  1両日中に見積もり金額を連絡してくれ、さらに修理にはそれから1週間くらいはかかるという話だったのですが、今朝さっそく電話がかかってきて、それが見積もりの連絡ではなくて、既に無料で修理が済んだという話でした。

  早速受け取りに行って来ましたが、内部にまではビールは入り込んでいなかったようで、キーボードだけが交換されていて、それで無料で済んだということでした。それにしてもキーボードは交換したというのに、無料というのはPanasonicはなかなかサービスがよいです。実に迅速ですし。

  考えてみると、キーボードは以前に右端の方にワインをかけたりして、調子が悪くなっている点が既にあったので、今回のビールのせいで新しくなってってちょうど良かったです。本体裏面のビスが1つ無くなっていたのも、ちゃんと補充されていましたし。

  1999年5月13日(14日に加筆)  審決取消訴訟の判決

  本日、自分の受任していた審決取消訴訟(厳密に言うと、特許取消決定取消請求事件なんですけど)の判決がありました。請求認容(つまり勝訴)でした。東京高裁平成11年5月13日判決 これで私は、自分が中心になってやった審決取消訴訟は、3戦3勝です。もっとも本日のケースは、訂正審判が認められたための請求認容なので、単純な勝訴とは違いますけど。

  本件では、取消訴訟の提起の後に、訂正審判を請求したのですが、この訂正審判の審決が非常に不思議なものです。当方の請求を認容してくれた審決ですので、文句を言うべきものではないのですけれど。

  本件の事情からすると、この訂正審決において最も重要な問題点は、独立特許要件を満たすかどうかということです。というのは、取消決定があった特許が対象ですから、はたして訂正後の請求項については(それとは違って)特許が認められるものかどうか問題となるということです。当方ではこれが認められるべきものと主張し、その主張が認められたのですが、ところが、審決書では、その判断の内容がまったくといってよいほど示されていません。審決書は、

 「これらの訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではなく、また訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。」

としか言っていないのです。私は、この先に判断内容が書いてあるのだとばかり思ったのに、それがないので、読んでいて拍子抜けしてしまいました。

  それなりの時間をかけて審判手続きをした末の結論ですから、もう少し充実したものにしてほしいと思います。その方が、異議申立人も納得するというものです。特許庁の手続きは、時間がかかることが問題であるということ以上に、その時間に見合っただけの内容を持っていない場合がままあるように思われ、つい批判をしたくなってしまいます。処理件数が膨大なもので困難があることは承知してはいるのですが。また、本件の場合には、この審決自体に対しては不服申立はあり得ないので、詳しく書く必要もないと考えたと言うこともあるのかも知れませんが、実際は、異議申立人に対する説得の意味があってしかるべきです。

  これに比べれば、裁判所の方が、やはり時間がかかるという批判は受け入れなければならないとはいえ、ちゃんと中身のあることをやっている、……というのは裁判手続きに関与する者の贔屓目でしょうか?

  1999年4月29日  デューク大学の同窓会

  本日、佐藤さんのお宅であった、デューク大学ロースクール90-91の同窓会におじゃまさせていただきました。私はデューク大学ではなかったのですが(ニューヨーク大学に行きました)、90年夏の同大学のサマースクール(どういう訳かデンマークで行われました)に行っていたので、仲間に入れてもらっています。細井さんの管理しているデューク大学の非公式ホームページにすぐに写真が掲載されると思います。佐藤さんのお宅のすぐそばの埼玉県こども動物自然公園も、卓也(長男・3歳)に好評でした。特に馬に乗せてもらったのが大喜びでした。

  1999年4月24日  米国特許権の域外適用を否定した裁判例(日本の)

  (ここに、東京地裁平成11年4月22日判決について書いていましたが、「私の判例集」のコーナーに移しました。私の関与した事件ではありませんが、私の文章「クロス・ボーダー・インジャンクションについて」と関係のある判決なので、番外として載せました。)

  1999年4月22日  日本の最高裁の大法廷回付手続きについて

  昨日の夕刊に、衆議院議員定数不均衡違憲訴訟事件が、最高裁において大法廷に回付される旨が決まったとの報道がありました。この報道では、大法廷に回付することを決めたのは「第一小法廷(藤井正雄裁判長)は」ということになっています(少なくとも日経新聞の場合は)。これを見て、以前に、日弁連の会誌である『自由と正義』に掲載していただいた自分の原稿のことを思い出しました。ここにアップしておきます。

  今読み直してみると、私の見解は、岡原長官の言っているようなやり方を批判しながら(この批判においては最高裁規則を根拠とした)、同時にその現行の最高裁規則も批判してしまっており、両方を批判していてちょっとおかしいかもしれないとは思います(少なくとも誰からも賛成してもらえなくなってしまう危険があります)。それでも、透明性のある手続きを最高裁自らが模範となって実践するべきだ、というのが私の言いたいエッセンスであり、その限りでは矛盾ではないと思っています。

  もっとも、CAFCの場合も昨日書いたWJ-HD最判の理解のように統一が上手くいっているわけではなく、しかもセクスタントのケースの1999年2月26日付けCAFC判決(ジョージタウン大学へのリンクです)のように少数意見が判決になってしまっている場合もあるくらいで(このケースはこれからでもインバンクにならないのだろうか? もっとも、私自身はGarajrsa裁判官の言うことの方がもっともだと思うので、このコメントは非常に難しい)、なんとも……、なんですけど。

  1999年4月21日  WJ-HD最判後の均等論

  ワーナージェンキンソン対ヒルトンデービス事件についてで書いたように、WJ-HD事件最判の直後に、これを前提として再審理をするようにとのことで最判からフェデラル・サーキットに3件の事件が差し戻しになっています。このうち2件(ヒューズ対US、リットン対ハネウェル)についてはすでにCAFCの判決が出ていましたが(ヒューズについては先日certiorariが却下されて確定しましたね;このあたりについては豊栖先生のページに解説が出ています)、一昨日(1999年4月19日)付けで、残る1件である Festo v. Shoketsu Kinzoku 事件についてもCAFCの判決が出されました。ジョージタウン大学の同事件判決のページ エモリー大学の同事件判決のページ 

  リットンのケースでの1998年6月18日付けCAFC差戻し審決定(エモリー大学へのリンクです;この決定で、リットンからの(インバンクでの)リヒアリングが申し立てられていたのが却下されました)や、セクスタントのケースの1999年2月26日付けCAFC判決(ジョージタウン大学へのリンクです)でかなり明らかですが、CAFCの内部において、WJ-HD最判の理解について対立があるようです。プロセキューション・ヒストリー・エストッペルが成立するとした場合に、問題の要件(審査過程で付け加えられた要件)についてはもはや均等侵害は全く成立しないことになるのか(これがGajarsa裁判官などの少数説)、それとも、問題となった先行技術とは違う形での被告の行為については均等侵害成立の可能性を残すのか(これがCAFCにおける多数説)、というのが争点のようです。近日中に、全体的にまとめて検討したいと思います。

  1999年4月20日  カーマーカー特許事件

  今朝裁判所に行ったら(審決取消訴訟事件の口頭弁論です)、私が出席した事件とちょうど同じ東京高裁第6民事部に、例のカーマーカー特許の審決取消訴訟が係属していることを知りました。平成11年(行ケ)25号、です。本日の予定表に出ていました(カーマーカー特許事件は本日午後2時から準備手続き)。この事件の審決は、既に特許庁のページに出ていますが(平成9年02452号、直接のリンクをしたかったんですが、フレーム+CGIなので上手くできません;左のリンクは特許庁のホームページです)、取消訴訟においてさらにどういう主張がされるのか、興味が持たれます。

  私は、ソフトウェアについての特許の成立には、どちらかというと懐疑的というか、慎重というか、の方向のスタンスです。ソフト自体に“発明”を認めるべき場合というのは、そうやたらとあるわけではないように思います。それなのに、ツマラナイ“発明”について、従来技術のデータベースが整備されていないために強力な特許が成立してしまう、という困った状況がおこらないと良いのだが、と思っています。金融ビジネス用システムの特許性 〜 State Street Bank v. Signature(1998年7月23日付けCAFC判決)について〜 で書いたような米国の現状については、私は原理的には反対ではないのですが、それでどんどん詰まらない特許が成立すると不当であり困ったことだと思うのです。

  カーマーカー特許事件の原告である今井先生は、ソフトウェア特許に反対である点では私と共通ですが(……これじゃあ僭越な言い方だな、“先生が否定的であるというところは、或る程度は私も賛成したいのだが”といった方が良いな、ウン)、中身はずいぶん違うように思っています。今野浩先生の『カーマーカー特許とソフトウェア/数学は特許になるか』(中公新書/1995年)を読むと、問題となっているカーマーカーの発明は、本当に画期的なんですね。今井先生の議論では“だから特許を認めるべきではない”となるようですが、私には“だったら特許を認めてよい”と思われてきます。

  1999年4月18日  新コーナーを作りました

  新しく、私の判例集というコーナーを作りました。今後、自分の担当していた事件の判決を掲載したいと思います。とりあえず、サミットxニデックのケース(既に2月から掲載していたものですけど)へのリンクなどを入れておきます。

  1999年4月16日  また論文をアップしました

  「クロス・ボーダー・インジャンクションについて」をアップしました。新日本法規現代裁判法体系第26巻『知的財産権』の1節として書いたものです。

  未だ出たばかりの本に掲載していただいたものなので、ウェブページに出すのはいかがなものかとも思ったのですが、でも、この本は30巻揃いでしか売らないというもの。だったら、私の文章だけをアップしてもしなくても、新日本法規の商売に影響が出るとは思えませんので、アップします。クルーグマン教授に触発されたということもあります。ちなみに、同教授のページには Special page on Japan (direct links to Japan-related pieces) なんてのもあって、勉強になります(賛成しがたい所も多いけど)。

  1999年4月12日  久しぶりに論文をアップしました

  「侵害訴訟における無効判断と多項制そして年金の関係」(初出: 『特技懇』(1999年7月号))をアップしました。要約すれば、侵害訴訟において無効判断を積極的に行うためには、多項制が活用されていることが前提になる思われるが、そうした状況に移行するためには、現状では年金が多額になることが障碍になる、という議論です。

  1999年4月10日  自宅のパソコンをセレロン300Aにしました

  自宅のパソコンをやっと新調しました。ソケット370のマザー(MSI-6154、マイクロATXです)にセレロンを載せています。セレロンは300Aですが、当然のように450MHzで動作します。とても快調です。

  しかし、このオーバークロック耐性は尋常ではありませんね。大変にありがたいことではありますが、この位なら何で450MHzのチップとして売らないんでしょう? その方がずっと高く売れるのに。仮に“選別にコストがかかる”というのなら、この売り方も合理的です。しかし噂されているところによれば、そういう訳でもないらしい。

  どうやら、インテルの利潤の極大化を追及するとこういうことになるのかなぁ、というふうに思います。インテルにとっては、もちろん、現在のペンティアム2やペン3の値段ですべてのプロセッサが売れることが、1番のもうけになります。しかし、この価格ではそれほどたくさんのCPUは売れません。低価格パソコンのためのニーズは、AMDサイリックスの方に流れてしまいます。それではインテルの生産能力が余ってしまいます。

  それなら、値段をもっと下げるというのが普通です。製造のためのコスト(限界費用)は低いので、かなり低い値段ででも売れれば、売れただけはもうかります。しかし、高い値段ででも買ってくれる人がいる以上は、その人たちにはその高い値段で買ってもらえれば、インテルは1番もうかります。

  このためには、なんでもいいから商品の種類を増やせばいいわけです。高い値段のものと、そうでないものと。

  …といった判断がなされているのだろうか、と思えてくるような現状です。経済学のテキストブックに出てくるような、普通にはあまり現実的ではない考察ですけれど、インテルの現状ではあり得るような気もします。

  1999年2月21日  サミットxニデック事件の判決について

  2月10日にご紹介した判決を、OCRしました。(以下略、私の判例集を見て下さい。)

  1999年2月10日  米国会社(原告)のニュースリリースにおける誤解

  (エキチマ・レーザーを使って近視などの治療を行う装置(レーザー光のエネルギーで角膜表面を削って屈折異常を矯正するというもの)に関する特許の侵害訴訟の関係で、原告のサミット・テクノロジーが出したニュースリリースについて書いていましたが、サミットのニュースリリースにおける誤解に移しました。)

  1999年2月6日  米国の警察は威嚇射撃をしない、初めから体の中心を狙う

  (2月6日付け読売新聞の夕刊に、ニューヨークでの事件の報道として、丸腰ギニア人を警官4人が41発の弾丸を撃ち込んで射殺したという事件があった、という記事が出ていたのを材料に、米国の警官は威嚇射撃をしないという話を書いていましたが、「ザ・ファーム/法律事務所」における郵便詐欺と連邦の権限の中に移しました。この際についでに、FBIのページへのリンクとかも追加して、体裁も整え直ちまちた。2年ぶりの改訂ですね、映画コーナーへの。)

  1999年1月20日

  (1999年12月13日付けで、CAFC判決 State Street Bank v. Signature (1998年7月23日付けCAFC判決・ジョージタウンのサイトへのリンクです、特許性の認められるサブジェクト・マターの範囲についての、かなり画期的なCAFC判決) について、解説を書きましたが(金融ビジネス用システムの特許性 〜 State Street Bank v. Signature(1998年7月23日付けCAFC判決)について〜 )、この件について最高裁へのサーシオラリーの申立がなされていたところ、これが取り上げられませんでした。1999年1月11日付けの Orders list (コーネル大学のサイトへのリンクです)に出ています。ホンの1行、それも他の事件とまとめて、denied とされているだけですが(それでもこの事件の場合には関与しなかった裁判官がいるので、まだ言葉は長いようですね)。

  毎度書いているように、certiorari denied というのは、最高裁が事件を取り上げなかったというだけであり、CAFCの本件判決の内容を認めたということではありません。取り上げなかった理由は、覆す必要がなかったからかも知れませんが、そういうことはまったく関係ないことも大いにあり得ます。私が思うには、本件は事案として抽象的すぎるレベルにとどまっていることが一因かも知れません(本件は地裁判決がサマリージャッジメントですから)。それでも、すぐには覆さなかったのは事実であり、当面、この裁判例はCAFCの判例として生きることにはなります。

  1999年1月3日

  先日、デジカメを買いました。サンヨーDSC-X100というものです。小型軽量で、かつ動作が極めて高速で、連写機能があって、さらに動画も撮れるというのがウリです。

  これで連写したものを、animation gif にしてみました。普通のブラウザーだけで動画が再生できます。ただし100K近くあるのをご了承下さい。animation gif のサンプルの入ったページ

  1999年1月1日  あけましておめでとうございます。

  昨年(1998年)11月に、米国特許法102条(b)35 USC §102(b))が規定する on-sale bar についての1年の起算点について、最高裁判決が下されました。PFAFF v. WELLS ELECTRONICS, INC.(コーネルのサイトへのリンクです)です。

  米国では、基本的には発明時(出願人自身のそれ)における新規性などが特許の要件とされており(これを規定するのは米国特許法102条(a)(35 USC §102(a))、日本を含む大多数の国で出願時の新規性などが要求されているのと相違しています。これがいわゆる米国の先発明主義の問題ですが、これを補完するように、米国特許法102条(b)35 USC §102(b))は、出願が一定の事象(文献公知や国内公用や国内販売開始)から1年以内になされたものであることを要件としています。実効的に考えれば、発明時基準主義の範囲は1年に限られているわけです。拙稿「『先発明主義』の内容」参照。

  本件で争点となったのは、102条(b)の「国内販売開始から1年以内」の要件について、発明が実際に実施されるに至ってはいない段界(reduction to practice が未だされていない段階)でもこの1年が起算され得るのかどうか、という問題です。CAFCの結論は「yes」でCAFCの判決atジョージタウンのサイト、無効主張を認め、地裁の判決を逆転して控訴人=被告の勝訴とした)、最高裁も今回これを支持しました。

  発明の種類あるいは内容によっては、なにも実際に実施してみてはいなくても、“既に発明が完成していて、出願もできれば販売もできて、102条(b)の1年の起算もされる”という状態があり得る、という判示です。本件では事実、実施はしていなかった段階で既に、販売のオファーをして実際に注文を受け付けていたのです。CAFCおよび最高裁は、こうした場合について1年が起算されるとしました。

  このケースの被上告人(=被告、勝った方)の代理人は、私が以前に勤務していた Brown & Bain 事務所がやっていたもので、ちゃんとBrown & Bain のサイトB&B Successful in U.S. Supreme Court Patent Case: Pfaff v. Wells Electronics, Inc.という解説文が掲載されています(実は私は、これを見て最高裁判決が出ていることに気が付いたんですが)

  1999年1月1日の2

  もう1つついでに、まじめなお話。In Re Zurko の1998年5月4日付けCAFC判決(ジョージタウン大学のサイトに掲載されている同判決)に対して、PTOが上告(certiorari、本当は上告というと不正確ですね、最高裁の裁量で取り上げられるだけですから)を申し立てていましたが、これが1998年11月2日付けで認められました(取り上げられて、実質審理がされる事になったということ)Supreme Court of the United States Questions Presented October Term 1998 の中のこのページに、最高裁で審理される問題点が出ています。未だ弁論期日などは設定されていないようで、1999年10月からのタームになるのだと思われます。

  争点は、PTOのボードの決定に対してCAFCへの上訴がなされた場合に、どういう基準でPTOの事実認定の見直しをするのか、ということです。現状(そして本件でのCAFCの結論)は、「clearly erroneous standard」です。明白に誤っている場合だけ、PTOの決定を取り消す、ということです。これに対してPTOの主張は、Administrative Procedure Act の規定(5 USC 559など、直接には5 USC 706の(2)の(E))を根拠として、PTOにとって更に甘い「substantial evidence standard」によるべきとするものです。これは、実質的証拠がかけらもない場合だけ破棄するということです(多少あらっぽくいうと、「証拠の信用力を考えるなどの評価をせず、どういうロクデモない証拠でもよいから、PTOの結論を支持する証拠で実質的と言えるものがありさえすれば、破棄しない」という基準です)

  私は、PTOの主張は荒唐無稽と思っていましたが、certiorari が取り上げられたところを見ると、案外そうでもないような気もしてきます。まさかとは思いますが、逆転の可能性もあるのかも知れません。万一そうなると、私もCAFCの実務に慣れてしまって冷静な判断力をなくしていた、という事になりますね。

  なお、少し以前の NEW のコーナーに入ってしまっていますが、この事件のCAFC判決について5月26日付けで簡単に説明を書いていました。ご参考まで。

  12月13日

  ずいぶん遅くなってしまいましたが、本年(1998年)7月に下された、特許性の認められるサブジェクト・マターの範囲についての、かなり画期的なCAFC判決 State Street Bank v. Signature (1998年7月23日付けCAFC判決・ジョージタウンのサイトへのリンクです) について、解説を書きました。金融ビジネス用システムの特許性 〜 State Street Bank v. Signature(1998年7月23日付けCAFC判決)について〜

  11月29日

  10月28日の2としてこの欄に米ダイヤモンド社のMP3プレーヤーについてのRIAAとの訴訟の話を書きました(少し以前のニューのコーナーを参照)。その際には、ダイヤモンド社の主張が受け入れられたかのように書きましたが、ちょっと違うようですね。RIAAによる仮処分命令申立が認められなかったのは確かにその通りですが、その判断内容は、かなりRIAAの主張を受け入れているようです。もっとも、最終的にはRIAAの申立を認めていないので、RIAAの主張を肯定しているように見える部分も、留保付きの話であると読む余地も皆無ではありませんが。

  実際、RIAAの1998年10月26日付けのニュースリリースを見ると、負けたくせに決定に対してとても肯定的です。というか、RIAAの主張を殆ど認めた決定だと説明しています。これが実際どこまで本当の説明なのかどうかなど、近日中にレポートします(だいたい書いたんですけどね、著作権法のこのあたりの規定についての日米比較を含めて)。

   10月28日

  ページの更新が随分と久しぶりになってしまいました。どうもすいません。ちょっと書きたいなぁ、と思ったことはいろいろあるのですが、あまり雑文ばかり書いていてもいけないと思うと、まじめに勉強するのもなかなか大変で、更新できないままになってしまいました。お恥ずかしい。

  本日は、まずはページのレイアウトを少々変えました。まず、リンクのコーナーは、別のページにしました。また、雑文のコーナーをインデックス・ページの後ろにもうけていましたが、これも別のページを作りました。どちらも、このインデックスのページがあまりにも長くなってしまって、見づらくまた不便になってしまっていたようなので、このように変えました。

   10月28日の2

  PCウォッチの記事で知ったのですが、ロサンジェルスの連邦地裁(カリフォルニア中部地区)は、RIAAが請求していた、ダイヤモンド社のMP3プレーヤーの発売差止請求をしりぞけたようですね。この記事からリンクがありますが、ダイヤモンド社のプレスリリースに説明が出ています。

  この請求は、もともと Audio Home Recording Act (コーネル大学のTable of Popular Namesのページに、こうした一般的な名称から法律を見つけだすための索引が出ています;これで調べると、17 USC 1001 以下を指すことが分かります)に基づいたものです。この条文を見ると分かりますが、非常に簡単にいうと、digital audio recording device について、SCMS (Serial Copy Management System;デジタルでの孫コピーを作れなくするという制限) に従うように求めている法律です。

  ダイヤモンド社が発売しようとしていたプレーヤーは、パソコンからのデータを取り込むことで、フラッシュメモリーに音楽情報を入れて、持ち運んで聞けるようにするものです。この際のデータのフォーマットが、MPEG1オーディのレイヤー3、通称MP3というもので、非常に能率的に高音質のオーディオを圧縮することが出来ます(10分の1くらいに圧縮できて、普通に聞く分には殆ど劣化がないと言われている)。近時、こうしたフォーマットを使って、不正コピーを供給するインターネットのサイトが数多く出現しているようで、RIAAの主張ではMP3プレーヤーはそうした著作権侵害を助長するものだと言うことで、差止請求に踏み切ったようです。

  しかし、法律の規定に照らして考えると、規制対象になっているのは recording device であり、求められているのはSCMSに従うことです。このプレーヤを recording device だというのは無理がありそうです。それでも、フラッシュメモリに入れるところが record だという主張もあるかも知れません。でも、たとえこの主張にのったとしても、このプレーヤーからの孫コピーというのは元々出来ないはずです。パソコンから落とすことが孫コピーを作ることになっているというのかな? RIAAの主張がどうなっているのか、私も未だ十分な研究が出来ていません(RIAAのリリースには訴状なども出ているんですが、pdfファイルでしかもやけに大きくて見難いんです)。

  ダイヤモンド社のニュースリリースによれば、結局、裁判所はこうした点についてのダイヤモンド社の主張を全面的に認めたようです。すなわち、recording device ではないとして、 Audio Home Recording Act に違反しないとした模様です。RIAAの主張にはもっともな点もあるとは思いますが、現行法はこうしたプレーヤーを規制対象とするようには出来ていない、というほかないでしょうね。さらに、そもそも規制するべきかどうかも問題ではあります。

  そのうちに、日本の著作権法の場合と比較して検討してみたいと思いますが(8月18日に書いたクリエーティブメディアの件なども、比較の対象になりますよね)、ナカナカできそうにないなあ。


   9月29日

  先週の土曜日(1998年9月26日)の日経新聞の夕刊の第1ページにこんな記事がありました。見出しは「銀行の駐車場時間貸し」というもので、パーク24という会社が銀行などの駐車場を借り受けて時間貸しサービス(例の、自動販売機のような機械で駐車ができるようにするサービスですね)を始めるという内容です。記事の中にも説明されていますが、なるほど銀行の好立地からすると、こうした駐車場は便利そうです。

  どうして今までなかったのでしょうか?と思うのですが、その理由はこの記事の末尾に書いてありました。「金融機関の営業用不動産利用には大蔵省の金融関連通達による規制があったが、規制緩和の一環で6月に撤廃されている。」と。

  この通達の内容をちゃんと検討したわけではないのですが、どうやら、大蔵省の規制があったがために今までは出来なかったようです。あきれてものも言えませんが、役所というのは、いったい何をやってるんでしょうね。本当に存在自体が無駄で有害なのだと思えてきます。こんな規制などなくして当然です。大蔵省汚職報道に接しての個人的な発見でも書きましたが、金融関連部局は全部廃止してしまえばよい(その存在自体が有害無益)と思わせる1つの事例だと思います。

   9月24日

  東京高裁平成10年9月22日判決をアップしました。審決取消訴訟を私が主任でやって勝ったものをOCRしました。そのうちにコメントを書こうと思いますが、特許法29条の2の括弧書き(先願に記載された発明と同一だと特許性が無いとする条文の中で、発明者同一ならOKとするもの)の関係で、先願がこっちの発明の冒認出願であり括弧書きの発明者同一にあたるとの主張が認められたという、なかなか珍しいケースです。

  これで、私は自分が中心となってやった審決取消訴訟は、2戦2勝となりました(こんな書き方をすると、次に単に「3勝目」とか書いたら、その間で負けたんだなあ、と推測されることになりますね、Hi)。

   9月6日

  日銀の水増し給与疑惑について今日の疑問に書いていましたが、日銀の給与水増し疑惑〜日銀との往復メールによって深まった疑問〜として別ファイルにしました。

   8月18日の2

  クリエーティブメディアのサイトに、大変興味深いお知らせが出ていました。私も、PCウォッチの記事で知ったのですが、Sound Blaster Live! というサウンドカードの新製品についてのもので、次のとおりの内容です(さわりをコピーしておきます):「録音については法的な問題がクリアになっていない現状を踏まえ、 現時点ではクリエイティブはこの端子からの音源の入力について機能をサポートしていません。/クリエイティブはこの機能の法的な局面について現在調査をおこなっています。今しばらくお待ちください。」

  その後、この問題は解決したとのことで、現在のクリエーティブメディアのサイトのお知らせでは、新しいドライバ(デジタル端子が使えるもの)のダウンロードが出来るになっています。

  「法的な局面」についての「調査」というのが一体どういうことをやっていたのか、詳細は明らかにされていませんが、これは著作権法や特定デジタル機器についての賦課金に関しての問題なのでしょうね。

  この製品のような、著作物の複製に使用できる機材は、著作権の問題の無いものを複製するのに使うか、または私的使用複製(著作権法30条)として合法的な複製行為に使用するのかを前提として販売されています。

  問題となるのは、この私的使用複製です。現行の著作権法では、私的使用複製が許されていて基本的には対価支払いの義務もありませんが、30条2項により、「私的使用複製のためのデジタル機器で政令で指定されたもの」での複製行為については、補償金を支払うことが義務づけられています。実際には、同法104条の2により、この補償金請求権は権利行使団体によって行使されるべきことが規定されており、録音については「社団法人私的録音補償金管理協会」がこの権限を有しています。さらに、104条の4および5に従った規定により、メーカーからの出荷時に賦課金が徴収されています(結局、30条2項の本来予定しているように見える複製行為ごとの支払というのは、現実には存在しない)。

  このあたりの条文・規定は結構複雑なことになっており、特に30条2項の文言と、104条の2などを経た賦課金の実際との間には、かなりの差があるというか、印象としては食い違っているようなところさえあります。こうした関係もあって、いろいろな団体の主張などが交錯したものとなっている場合もあるようです。このクリエイティブの件での各関係者の主張がどういったものかはわかりませんけれども、著作権団体としては、そもそもがあまり高性能なデジタル複製機器が出荷されることのないことを望み、次善には出来るだけ賦課金を徴収しようとしている、と思われます。逆にメーカーの側では、一定額の賦課金を払って解決ずみにしようとしている場合もあるかもしれません。

  しかし疑問に思ったのは、ユーザーとの関係では騙して販売しているようなことになっていたことです。デジタルの入出力端子があることは、この新製品の大きな特徴であり、それが使えないのに十分告知されないまま、既に秋葉原では販売されていたようです。著作権法の問題も大事ですが、こちらも重要な問題です。信用問題ですし、極論すれば詐欺の刑法犯ですから。でもまあ、それも、新しいドライバをダウンロードすれば期待通りに使えるようになったようですので、そう大きな実害にはならなかったわけですね。

8月18日  長銀の破綻危機の話について雑文を書いてしまいました。「長銀についての風説〜合併報道こそ風説でしょう〜」です。

6月28日  ワーナージェンキンソン対ヒルトンデービス事件についてを加筆しました。リットンxハネウェルのCAFC差戻し審決定についてなどの記述を加えました。

6月24日の2  この日付で、リットンxハネウェルのCAFC差戻し審決定について書いていましたが、拙稿ワーナージェンキンソン対ヒルトンデービス事件についてにまとめました。もっとも、状況が錯綜してしまって、ちっともまとまっていないかも知れない。(1998年6月)

6月15日(その後少し加筆)  各種報道によると、先週、家庭用ゲームソフト会社が中古ソフトの販売の差止を求める訴訟を提起したとのことです(たとえばPC Watchの記事、この記事の見出しは「告訴」となっていますが、ご愛嬌ですね。告訴では、刑事事件になってしまいます)。しかし、インターネット弁護士協議会のレポートでも見られるように、この問題はどちらかというとソフト会社の主張の方が無理なところがあるのに、ソフト会社は強気ですねえ。

  もちろん、どちら側にもそれなりの理屈があり、私としてはどちらに与するつもりもありません(どっちからも依頼されてないし……)。ただ、本件の争点は、ゲームソフトが「映画」に該当するのかどうかだということを確認しておきたいと思います。ゲームソフトのパッケージには、確かに中古販売を禁じる旨の表示があるのですが、著作権法上の「映画」にあたらなければ、こうした表示があるからといって今回のソフト会社の請求が認められるわけではありません。

  このあたり、今回の訴訟では、原告であるソフト会社自身も認めているようですが(上記の記事などではそういう報道になっている)、時々そういう理解をしていない人を見かけることがあるので、一言書いておきます。たとえば日経新聞の記事を見ても、6月12日付け朝刊13頁の記事で、見出しが「中古ゲームソフト/販売差止提訴へ/SCEなど5社/著作物に該当」となっています。記事の内容と合わせて読めばこれでどこも間違ってはいないのですが、「著作物に該当」というのが見出しに来るのは如何なものかと思います。この見出しでは、被告の業者らが「著作物に該当」しないと主張して勝手に販売している事態を想像させられますが(そうならもちろん被告の業者が悪いということになりましょう)、しかし、そうではありません。「著作物に該当」というのは、誰も争っていないのです。ここは、「『映画』に該当すると主張」との見出しでなくてはいけないと思います。これなら、どっちがもっともなのか難しい話であることを、予断無く伝えると思います。

  ソフト会社の著作権が尊重されなければいけないのはもっともですが、果たしてゲームソフトが「映画」かというと、どちらかというと、「映画」だと主張するソフト会社の側に無理があるように思うのですが、どうでしょう?

6月12日の2  私の電脳環境をアップデートしました。

5月26日  In Re Zurko(……この当事者名は、一体なんて発音するのでしょう?)の1998年5月4日付けCAFC判決(ジョージタウン大学のサイトに掲載されている同判決)での議論が、PTOとCAFCの関係を考える上で(また米国訴訟手続きにおける事実認定の仕組みを考察する上で)興味深いと思いました。

  PTOのボードの結論(日本で言えば特許庁の審決に相当しますね)に対してはCAFCへのアピールが出来ますが、この際のPTOの事実認定についてのCAFCによる見直しの基準は、「clearly erroneous standard」とされています。すなわち、事実認定に関しては、“PTOの判断が明白に誤っている”という場合に限って、CAFCはそれを理由としてPTOの判断を破棄する、ということです。この基準自体、clearly erroneous という文字をその通りに捉えれば、控訴人にとってはかなり厳しい(PTOに甘い)基準であるわけですが、本件ではPTOは、さらにPTOに甘い基準が適用されるべきだと主張しました。いや、単に「主張」したのではないですね、CAFC判決の表現だと、PTO長官は基準を変えるように campaigned agressively したのだそうですから。

  PTOの主張は、Administrative Procedure Act の規定(5 USC 559など、直接には5 USC 706の(2)の(E))を根拠としてのもので、「substantial evidence standard」によるべきとするものでした。これは、“実質的な証拠が(曲がりなりにも)ありさえすれば、その判断を尊重する”という基準で、「clearly erroneous standard」よりも一層控訴人にとっては厳しい(PTOに甘い)基準になります。実質的証拠かどうかを考えるに際しては、信用できるかどうかなどの証拠価値は顧慮しないとされていますから、確かにPTOに甘いものとなるはずです。ちなみに、substantial evidence standard は、陪審の事実認定に対しての控訴審での見直し基準であり(裁判官の事実認定については clearly erroneous standard)、PTOの主張は、陪審の場合と同様に扱え、ということでもあるわけです。

  CAFCの結論は、APAの規定はPTOの判断の審査には適用が無く、この場合の判断基準は従来の実務の通り、「clearly erroneous standard」が適用されるとするものでした。

  PTOの目標のようにまで甘い基準にはならなかったのですが、元の「clearly erroneous standard」でも、結構PTOに甘そうですよね。でも米国の裁判の面白いところは、このように厳しい判断基準のハズなのに、実際にはどんどんと破棄されることがあることです。日本でこんな判断基準を適用すると言ったら、どっちの場合であっても、まず破棄はあり得なくなると思うのですが(曲がりなりにもプロが判断したことを、“明白な誤り”なんて言ってしまうのは、日本人のメンタリティからすると無理だと思います)、米国ではこうしたレトリックから予想されるところとはまったく違って、実際には(少なくとも私の感覚では)、結構破棄されることがあります。

4月9日の2  この日付で、ヒューズ事件およびリットン事件の4月7日付けのCAFC判決について書いていましたが、拙稿ワーナージェンキンソン対ヒルトンデービス事件についてにまとめました(1998年6月)。

4月9日  1998年3月31日付けで、陪審裁判を受ける権利についての連邦最高裁判決が出ています。フェルトナーxコロンビア事件です。著作権法が、法定賠償について裁判官に決定させているのが、陪審裁判を受ける権利を定めた連邦憲法修正7条に違反する、と判示しました。

  この判決は、他にも影響力を持つことが考えられると思います。たとえば特許法でも、加重賠償について3倍までの範囲で額を決定するのは裁判官の権限となっているわけですが、これについても修正7条違反となる可能性があるわけです。逆に、加重賠償が修正7条違反でないというなら、それは penal だからだ、ということになるでしょう。この後者だとすると、日本での執行の可能性はまったくなくなるでしょうし(近時の最判で既に難しくなっているわけですが、それがダメ押しされます)、日本で特許法改正によって三倍賠償を導入しようという動きの妨げにもなるでしょう。

4月4日  一昨日(1998年4月2日)の各紙夕刊に、ポーラ・ジョーンズさんがクリントン大統領を訴えていたセクハラ訴訟において、5月下旬に予定されていたトライアルを待たずに、原告の請求が退けられたとの報道がありました。日経新聞の報道ですと、リード部分では「原告側の訴を証拠不十分として却下する決定を下した。」となっていますが、本文では「『原告の主張は法律違反を立証する厳密な根拠にかける』と指摘。そのうえで、大統領の行為がたとえ原告の主張通りでも『犯罪を構成しているとはいえない』と結論づけた。」となっています。一体どういうことなのか、証拠が無いのが理由なのか、それとも原告が主張していたような行為があったとしても違法でないと言ったのか、よく分かりません。読売新聞を見ても、こちらでは「棄却決定」となっていますが、一体どういう判断なのか分かりません。

  CNNの伝える記事を見ると、これは、サマリー・ジャッジメント(summary judgment)なんですね。判決文も見られます。CNNの判決文へのリンクのページ ただし、この判決文は、テキスト情報ではなくイメージで出ているので、読みにくいです。

  この判決文を見ると(読みにくいので私も最後までは読んでませんが)、基本としては、本当にサマリー・ジャッジメントです。つまり、原告の主張している事実が本当だったとしても、原告の請求が成り立たない、ということです(事実が原告の言うとおりだとしても、原告の請求が認められないのだから、トライアルをする必要がない、というわけです。証拠が無いから云々、というのは、少なくとも基本としてはトライアルをしないで判断することは出来ません。証拠調べはトライアルでやるのですから。)

  しかしこの判断は、まったくもって非常識というか、とにかくすごいです。判決文の5ページ目にまとめられているところだと、州の職員である原告が勤務中に呼ばれてホテルの部屋に行ったら、州知事のクリントンがいて、「lowered his trousers and underwear, exposed his penis (which was erect) and told [her] to 'kiss it'」云々といった事実がすべて本当だとしても、原告の請求は成り立たない、という判決なんです。その理由は、forcible compulsion が無いから、だそうです(第1の法律構成について)。こんな判断がどうしてされたのか、まったく理解しがたいですが、唯一想像できるのは、この地裁裁判官はこの事件をやるのがいやになっちゃったんですね、きっと。何しろ、この認められるとは到底考えられなかった申立(motion)(もっとも、結果としては認められてしまったわけですが)について、原告側の反論が700ページ、被告(クリントン)側の再主張が200ページだそうですから。でも、大量なのがいやだったら、どうしてページ数制限とかしなかったのか……?

  この判決は余りに超常識のものなので、理解できる報道にならなくてももっともだと思います。次の興味は、控訴審裁判所がどのくらい素早くこの判決を破棄するか、という点です。

4月1日  1998年3月31日付けで公正取引委員会が再販についての見解を発表した、というニュースが、昨日の夕刊各紙で報じられていました。2月18日に、今日の疑問に、三輪教授と日本新聞協会との戦いについて一言書きましたが、この度の新聞記事を読んでも、相変わらずですね。“再販を維持しなければならない”という主張と、客観的な報道とが渾然一体となっていて、かなり偏った理解をさせられます。

  新聞の大見出しは、「著作物再販は存続」(読売新聞)などとなっています。しかし、公正取引委員会のページにでている、オリジナルの文書では、研究会からの提言の第1項は「@ 競争政策の観点からは,現時点で著作物再販制度を維持すべき理由に乏しく基本的には廃止の方向で検討されるべきものと考えられる」であり、これを受けての公取の見解も基本的には「廃止の方向で検討されるべきものである」です(まあ、この先に検討を行う必要があるとの記述が続いてはいますが)。これを「著作物再販は存続」とまとめてしまったわけで、このミスリードは、ほとんどウソと言うべきレベルに達しているのではないでしょうか? 「著作物再販 廃止先送り」(日経新聞)もかなりのものですが、これなら一応ウソではないと言えるかどうか?

  東大経済学部の三輪教授のページでまた解説が出ると思いますので、楽しみです。

3月28日  金融不祥事に関連して、雑文を書きました。かなり感情を込めてしまいました。 大蔵省汚職報道に接しての個人的な発見

3月22日  ちょっと以前の事件になってしまいましたが、エチコンxUSサージカル事件の1998年2月3日付けCAFC判決は、特許権が共有されている場合の権利関係についての興味深い判決です。米国では、共有者のうちの一部の者だけでも、他の共有者に断り無く、第三者にライセンスを与えることが可能です。日本の特許法73条(特許庁のサイトの条文にリンクしてみました)が「〜他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。」としているのとはまったく違っているわけです。この制度には不合理なところがあることは、米国内でもかねて指摘のあるところなのですが(第三者としては、共有者相互間に競り合いをさせれば、とても安くライセンスを得られてしまう可能性があるわけです)、この事件は、普通に考えられる以上に問題のあることを(あるいは、特許侵害訴訟の被告として“活用”の方途があることを)示してくれました。

  この事件は、腹腔鏡手術のための医療用具についての特許を巡る争いです(両当事者はいずれも、この分野のトップメーカーです)。この事件の特許権は、Yoon 博士という人物が権利者で、エチコンはその専用実施権者です(この両者が原告になっています)。実は、この発明の研究段階では、Choi という電子技術者が協力をしていた(特許出願はYoon博士が単独で行った)という事情があったのですが、特許権を侵害しているとの主張を受けた被告(USサージカル)は、そうした事情を見いだして、 Choi を特許権の共有者とする更正をさせ米国特許法256条では、こういうことが出来るんですね)、その上で遡及的なライセンスを受けました。この事件では、遡及的なライセンスというのが認められるかどうかが実質的な争点となり、結局CAFCは、遡及は認めず、原告の請求をこの分については認めました。

  この事件としては、遡及は出来ないということで限界が示されてしまいましたが、米国では、特許侵害事件の被告には共同発明者を見つけてくるというこんな作戦もあるということで、非常に面白いと思います。

3月20日  1998年3月17日付けの後藤弘茂のWeekly海外ニュースによると、インテルS3を買収するとの噂で、S3の株価が高騰しているとか。後藤さんの記事では、インテルは既に2月に米Chips & Technologies社を買収したばかりで、同じグラフィックスチップメーカーをもう1社買ってどうするんだ、という否定的な見方も強いようだとなっているけれど、これはもしかすると、S3が買った Exponential のマイクロプロセッサーの特許がキーなのかも知れませんね。1998年2月3日付けのニュース・コムの記事によると、昨年(1997年)倒産した Power PC 互換チップのメーカーである Exponential の特許が競売にかけられ、それを大方の予想に反して(本命はインテル、対抗はAMD、穴狙いでもサイリックス、というところだった)、S3 が競り落としてしまったとのことです。同じくニュース・コムの1998年2月4日付けの解説記事だと、S3 が取得したところでどうするんだろう、という感じの解説になっています。

  インテルがS3を買収しようとしているというと、これが目当てなんじゃないか、という気がしてきます。拙稿「サイリックスとDECの対インテル特許侵害訴訟」でも書きましたけど、米国企業はそういうダイナミックな形での知的所有権問題の解決を図ることがありますからね。また、仮にこれが本当だとすると、S3はなかなか上手な買い物をしたということになると思います。

3月20日  ナイキとウォルマートとの間の事件についての1998年3月12日付けのCAFC判決は、有名企業間の争いであるからというだけでなく、内容的に興味深く思われました。

  事件は、ナイキの「Air Mada Mid」という靴のデザイン・パテントについてのものなのですが、この判決で扱っているのは、米国特許法287条の表示義務が履行されていない場合の損害賠償請求権の制限についての問題です。地裁は、表示義務が果たされなかった場合の制限は、289条の規定するデザイン・パテントの侵害についての代替的(追加的)救済(獲得した利益 profit の賠償)については適用がない、としました。これはかなり非常識な判断ですが、それなりの理屈はあるようです。米国法における用語の問題として、profit と damage は峻別されており、287条で制限しているのは damage だけだ、といった理由付けが為されていています(以上の説明は、すべてこのCAFC判決中の要約によります)。CAFC判決は、結論は破棄差し戻しで常識的ですが(地裁では、ナイキが表示義務を履行していたかどうかの事実認定がされなかったため)、地裁の理屈に答えるために、特許法とコモンローとエクイティの関係をかなりよく説明しており、勉強になります。

  また、本件で表示義務の履行が問題となったのは、権利の成立時に既に製造されていたりその準備が進んでいたものについての表示であり、表示義務の履行について限界的な問題を含んでいるようです。差し戻し後の判決が、いろいろと参考となるものになりそうです。

3月18日  昨日(1998年3月17日)の日経新聞の夕刊の社会面の記事に、面白い間違い(おそらく間違いだと思います)がありました。以下には、日経新聞のウェブページに出ていた記事で再掲します(夕刊に出ていたのと基本的に同じですから・短い記事ですから全文になってしまいますが、あくまで批評のためですから、著作権侵害ということにはならない積もりです):

ケネディ署名文書は偽造・詐欺の容疑者逮捕
 【ヒューストン16日=攝待卓】米郵政当局は16日、ケネディ元大統領が女優のマリリン・モンローに、2人の関係を表ざたにしないよう口止めしたことを示す文書などを偽造、売りさばいていたとして、コネティカット州在住の元法律事務所職員、ローレンス・クーサック容疑者(47)を郵便などを利用した詐欺の疑いで逮捕した。 / 当局によると、クーサック容疑者はモンローや元大統領署名のほか、ロバート・ケネディ元司法長官の筆跡などをまねた文書を、数十人の投資家に合計約700万ドルで売却した疑いが持たれているという。当局はジョージ・ワシントンやトマス・ジェファーソンら歴代大統領の筆跡を練習したと見られるノートも押収した。

  これは要するに、“ケネディ文書”を偽造してそれを高値で売るという詐欺で荒稼ぎをしていた男をメールフロードで捕まえた、という話ですね。ところが、この記事の冒頭には「米郵政当局は」とあります。メールフロードをホントに郵政当局が捕まえても、もちろん構わないんですが、この事件の性格からいって、あんまりありそうにない話です。拙稿「ザ・ファーム/法律事務所」における郵便詐欺と連邦の権限 をお読みいただいていればお分かりのように、メールフロードというのは、「郵政当局」とは余り関係なく適用されることが多々あります。実際この件は、CNNのページに出ている同じニュースについての記事を御覧いただくと分かるように、この件は U.S. Attorney (のオフィス)が捜査しているようです。読売新聞は「捜査当局」としていましたし。私も、「郵政当局」ではないということを本当に確かめたわけでもないので、余り強くは言えませんが、どうも、「郵政当局……逮捕した」というのは、日経新聞の記者が勝手に作ってしまったのではないかと思われます。……気を付けないといけませんね。

3月1日  ボールスプライン事件の最高裁判決が出ました(すいません、ホームページの題名とは違って日本の話ですけど、大事件ですから……)。 最高裁のサイトのボールスプライン事件最高裁判決 内容以上に感心したのは、日本の最高裁のサイトが、迅速に判決を載せるようになったことです。2月28日の土曜日の朝に覗いたときには、27日の判決まで出ていましたから、即日に載せているんですね。感心感心。

  内容ですが、破棄差戻しでした。先行技術とイ号物件との関係についての審理不尽が理由です。均等侵害の可能性を認めつつ、その要件をハッキリと判示しているもので、非常に意義の大きな判決だと思います。破棄差戻しの直接の理由となったのは、「(4) 対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから右出願時に容易に推考できたものではなく、」との要件なのですが、米国のウィルソンゴルフボール事件を思い起こさせるもので、一応はもっともな要件だと思います。ただちょっと引っかかるのは、「容易に推考できた」というところですね。まあ、これも、「同一」というのを異常に厳しく考えた上で、それを補う意味で付け加えられた言葉のように思われますので、そう思えば不思議ではないですが。

2月18日  今日の文句(疑問)に、三輪教授と日本新聞協会との戦いについて一言書きました。

1月9日  近頃の金融不況に関して、雑文を書いてみました。 山一証券の自主廃業について 金融機関の人には怒られそうですね。何しろ私はフリードマン流ですから。

12月中旬  1997年12月11日付けで、ワシントン連邦地裁がマイクロソフトに対して、ウィンドウズ95を購入・販売するパソコンメーカーにIEの配布を強制することを暫定的に禁止する命令を出しました。 差止命令を伝える PC Watch の記事同じく Internet Watch の記事同じく CNN の記事  ウィンドウズ98においてブラウザ機能を統合することがいけないかどうかは、判断していませんが(これは最終判決に持ち越しということのようです。なお、日経新聞の夕刊の見出しには「ウィンドウズ98にも適用」と書いてありますが、意味不明です;そりゃ、ウィンドウズ98との関係でも、それと別体のIEを抱き合わせ強制するのは禁止されるでしょうが、問題は“本当に一体化した場合にどう考えるか”なのであり、これについて11日の仮決定をどう適用するというのでしょうか? 後継ウィンドウズにも適用される、と書いてあるのは、OSR2.5とかを主として考えてのことでしょう)、まずは司法省優位の訴訟の展開といえそうです。
  ウィンドウズ95とIEは、確かに元々別の製品として提供されて来たものですから、今回の命令のように、パソコンメーカーに対しての強制を禁ずるというのは、米国の独禁法実務からすれば当然のこととも思われます。しかしながら、社会的影響の大きい事件を、このようにチャンと“影響の大きい”タイミングで処理していく米国の司法機関の機能には感心させられます。これは、当たり前といえば当たり前なんですが、日本の裁判所の現実を考えると、単に当たり前とはとても言えません。
  ウィンドウズとブラウザを統合することについては、IE4.0についても、山下編集長の火曜コラムのように、「なんて余計なこと」という見解もあるようです。私は未だ試してないんですが、同じような考えです。

  1997年10月6日は、10月の第1月曜日ですので、米国の連邦裁判所が新年度の手続きを開始する日です。タームが始まると、一般紙でも非常に頻繁に大きく最高裁の話が取り上げられます。インターネットでも、今期の最高裁が扱う事件について概説するCNNのページ のように見ることが出来ます。

  私がかつてシリコンバレーで勤務していた Brown&Bain 法律事務所がホームページを開設しました。 Brown&Bainのホームページ 同事務所の勝訴したTI対サイプレスのCAFC判決


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